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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第6章
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61話 3人と回想3


 外の喧騒が聞こえて飛び起きる。激しく鐘が鳴り響き、魔物が攻めてきたと伝達されていく。戦える者は城壁近くに集まり撃退に動いている様だった。例に漏れず、私とヴェロックも戦闘準備を進めていた。そして、数万という軍勢を連れた魔物が叫び声を上げながら国へと一直線に向かってくるのに対し、士気を高め攻撃しようとそれぞれの得物に力を入れた。


 瞬間、数万の半分が体と頭を別れさせた。ただその光景を私達だけでなく、魔物さえも驚き、呆然としていた。



「..........。」



 それを成したのは一人の男。黙ったまま最前線に音もなく着地をすると、迫って来た魔物の軍勢に向かって駆けて行った。短剣を逆手に構え、短剣という短いリーチの得物にも関わらず、一撃で屠っていく。


 次第に状況に気付いて来たこの場にいた全ての者らは、互いの敵を打ち倒すべく動き始めた。片方は歓声を上げ、士気を高めながら。もう片方は恨むかのような怨嗟の叫びをあげながら。



「戦闘に待ちなんて効く訳が無いだろう。正面から戦う馬鹿が何処にいると思ってるんだ。阿呆は魔物だけでは無い様だがな。」



 呟いたその言葉の後、その男から大量の刃が放たれ、魔物を打ち洩らすことなく倒していく。



「まあ、こんだけやれば後は何とかなるな。」



 数万の軍勢をほぼ一人で数百まで減らすとどこかへと姿を消したその男を残党が残っているというのに私は無意識に追っていた。


追い付いた先でその男は自分の姿を見て浴び過ぎた返り血を拭き取っていた。黒い髪の筈なのに血が付着しているのがよく見え、嫌そうな表情を浮かべていた。私が近付いてきている事にも気付かず物音を立てた瞬間にバッと顔を向けて少し怯える様な何かに恐怖している様な表情と態度を示した。



「何だ、あんたか。」


「何だって何よ。知り合いが急に現れて無双したら驚くでしょ。」


「何故追いかけて来た。」


「特に。」


「.......。」



本当に何も考えていなかったのでそのままを伝えるとぽかんとした表情を見せた。


今までムスッとした表情を見せるくらいで殆ど無表情だった彼が初めて見せた色んな顔だった。自分のした事が分かったのか咳払いをして視線を逸らす。



「......普通怖いモノだろう?」


「え?」



 暫し言葉を出せず静寂が続いていたこの場で先に言葉を発したのはノトリアだった。けれど、質問の意味がピンと来なかった為、聞き返すと前の彼では考えられない程饒舌に話し始める。



「魔物を楽に殺せる力。殺す事を厭わない考え。..........そして、それをたとえ同じ種族でも向ける事。」



 俯いたまま言ったその言葉に私はあっけからんとした態度で直ぐに返答する。



「それが何だって言うのよ。何か悪い事してるの?」


「悪いに決まってるだろ! このせいで俺は()()()んだからな!!」


「死んだ....? どういう意味よ。」


「っ!」



 失言をしたのか自分の口を噤んだ彼からはそれ以上その場で語られる事無く、追求しようとしたら私を追ってきたヴェロックが追い付いた。有耶無耶になったまま国へと帰り無事戦闘が終了し被害が0で終わった事を告げられたが私は複雑な心情を抱えたまま数日間を過ごした。



 数日後、国から莫大な賞金がノトリアに配分されることが決まったものの一度たりとも姿を見ていなかった。仕方なく旅を同じくしていた私たちに預かりという形で渡された。



「何処行ったのかしらね。」


「さあな。」



 ヴェロックの何とも浮付いた生返事を聞きながら宿にいったん戻る事にした。するとヴェロックが何かに気付いた様に私の手を取って国の外に走り出した。


 驚き、戸惑いながらヴェロックに呼びかけるも返答が返ってこず、国近くの林の中まで誘導された。



「ちょっと! ヴェロック、一体何なのよ!」


「あんな大金素顔で受け取ったら狙われるからな。」


「まさか。」



 ヴェロックが鼻で笑い、指を鳴らすとその正体が露わになる。



「ノトリア。」


「まあ、しょぼい報酬金とは思ったが魔王騒ぎの聖剣遣いを探していたら金なんて少なくて当然か。」


「.......。」


「面倒事は嫌いだかな。これ以上、この国には居られねえし、いる気も無い。」



 袋のお金を見つめながら言った後、「だから、」と言葉を紡ぎ、私をしっかりと見据えた。思えばそんな事初めてだったかもしれない。



「いいっ!」



 言葉の続きを言わせないが為に言葉を遮ると、すぐさま彼は踵を返し林の奥の方に歩いてやがて姿が見えなくなった。



「変わらなかったわね。」



 そう呟いた言葉は静かに霧散して何も残らなかった。











「え、ずっと旅をしていた訳じゃ無かったんですね。」


「ええ、そうね。ずっと昔の事だから改めて思い返すと少し間、また二人旅に戻っていたかしらね。勿論、ヴェロックには何があったとは追及されたけどテキトーに誤魔化していたけど話しちゃったわね。」


「そんな事があったのか!! オレはその日ずっと宿にいたし何でサラだけ王城に行くのか不思議では有ったんだ!!」


「.........。」


「師匠?」



 何も間に割って来なかった師匠に私は顔を覗き込むと規則正しい寝息を立てて寝ていた。何時寝たのかも気付かなかった程集中して聞いていたのかもしれない。若しくは居たたまれずに寝たふりをしている可能性もありそうだが、どっちにしても少しでも寝て体力を回復させていた方が良いという結論からそのままにしておいた。



「優しいわね。」


「そんな事は無いと思いますけど。それにサラさんにもきちんと感謝していると思いますよ。」


「....献身的は変わらない筈だけど。一緒に住むという事が良かったのかしら。」


「サラさん?」


「.....いや、若しくはどこかに共通点が......?」



 サラさんは何かを思いついたかのようにブツブツと何かを言い始めた。助けを求める様にヴェロックさんを見るとお手上げという形で肩を上げ、竦めた。



「ねえ、ユリナちゃん!!」


「は、はい。何でしょうか!?」



 急に声を掛けられた私は驚いてやや裏声で言葉を発した。



「ちょっと話はずれるんだけど小休憩という事でユリナちゃんに聞いてもいいかしら?」


「え、はい。答えられる事であれば。」


「うん、大丈夫。答えられるものしか聞かないと思うし。」



 楽しそうな笑みを浮かべて私をじーっと見つめてくる。私はその意味が分からずに苦笑いする。



「直球で聞きます。ユリナちゃんはコイツの何処が好きになったの?」


「ん!!?」


「大事な所。かつてのパーティーメンバーとしては、特にね。」



 思わぬ質問で戸惑う。サラさん的には別の意味も含みそうだけど深い笑みの前では断ることが出来ずに観念して話す事にした。



「最初に言っておくと私は召喚されてこちらに来た異世界人です。この前の勇者騒ぎとかで知っていたとは思いますけど。」


「ああ、偽魔王騒ぎのあの時ね。勇者じゃなくて一人の可憐な少女がキングを倒したとか何とかは噂程度に聞いているわ。ギルドのトップだから本当の事なんでしょうね。一体誰の事かしらねえ。」


「ゴホン、一体誰なんでしょうね。見当もつきません。皆強いですから。」


「ウフフ、それであなたもそのチートとかいう名の能力を持っていた一人という訳ね。」


「いえ、最初からそれを持ち合わせていた訳ではありません。」


「そうなの?」


「強い能力が有ったら私は今頃エルシリラにいますよ。落ちぶれ、捨てられたんです。この世界だけでは無かったですけどね、こんな事。」



 下を向きながら呟くとサラさんは察してくれたのか何も言わずにいてくれた。



「捨てられた先で師匠に会ったんです。素っ気ない態度に最初は怒りを感じましたけど今じゃいい思い出かもしれませんね。捨てられ絶望の淵に落とされていた私に手を差し伸べて面倒を見てくれました。本人は否定するかもしれません。前の世界では感じられなかった楽しさがそこには存在していました。例えそれがサラさんに比べて圧倒的に短い付き合いだったとしても。」



 顔を上げ、サラさんを見つめると無表情のまま私の事を見ていた。



「楽しく、時に厳しく。そして、馬鹿をお互いにやって。.......相手に合わせずに気楽に接する事が出来る相手でした。だからこそ惹かれたのかもしれません。私はそういう相手がいなかったので無意識的に求めていたのかもです。」



 サラさんが納得顔を見せて笑顔を見せる。私は望んでいた答えを言えたか不安だったのでサラさんが笑顔を見せた事でホッと息を吐いた。



「一生独り身だと思ってたのに。」


「そんなこと言ってやるなよ! サラも相手を見つけたらどうだ?」


「アンタに言われたくないわよ。」



 私事で申し訳ないのですが繁忙期の中書く時間が無く更新が止まっていた事をお詫び申し上げます。


 今後について、本文が短くなりますが週に1度は投稿できる様努力していきたいと思います。気長に次の投稿を待っていただければと思います。早く出来たら2本投稿したいなと切望している感じです。


 すみませんが、そのように認識していただけると幸いです。

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