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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第6章
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60話 3人と回想2


 サラさんが寝ている師匠の顔を見て優しく微笑んだ。私はそれをじっと見ていたがサラさんは私の視線に気付いて軽く咳払いをして視線を下に向ける。



「サラさん、もしかして、ですけど。」


「それ以上の詮索は禁止よ、いくらユリナちゃんでも、ね。」



 「さっきの続きを話しましょうか。」と先程の表情から一転し明るい笑顔を浮かべて話を再開する。







 村に戻って討伐の報告をする間、一応部屋の中にはいたんだけど壁際で腕を組んで立っているだけで一言も発しなかったわ。倒したのは私でもヴェロックでも無いから状況の説明がしにくいってのに私たちがどもってても手助けなんて一切しなかったわ。



「....今日は村を上げて宴会を開きますのでどうぞ参加なさってください。」


「大変でしょうからお構いなく。」


「いえいえ、これ以上の被害を被らなくて済むと考えれば今日くらいは......」



 その日は結局宴会をすることになって村の人達が私たちに感謝を述べてきたりお酌してきたりとワイワイと騒いでいたんだけど、彼の姿が見えなかった。ちょっと酔っていた事も有って文句を言ってやりたいと思って私は探したわ。


 盛り上がりの中心部から遠くに周りに酒瓶を幾つか散らしておきながら木の幹に体を預けて座っている彼を見つけて近づいて行ったんだけど下を向いたまま腕を組んで動かないから顔を覗き込んだら寝ていた。



「....寝顔は可愛いのに。」


「....絡み酒か。」



 寝ていると思っていた彼は私がぼやいた言葉に起きたのか、右の黒目だけを開けて此方を見てきた。彼は薄目を開けたまま呆けていた私が何も言わない事を確認して目を閉じた。



「用が無いならそこにいないでくれ。迷惑だ。」


「むっ。私何もしてないんだけど。」


「....いるだけで気が散る。」


「勝手にしろって言ったのはそっちだもの居たってかまわないでしょう?」



 彼は「チッ」と舌打ちして立ち上がりキョロキョロと周りを見渡すと近くに有る中で大きめの木の枝に腰掛け酒を煽り始めた。



「何で逃げるのよ。」


「.......。」


「聞こえてるでしょ? ねえ!」



 その後は話し掛けても一切何も返答してくれなかったわ。返答代わりに面倒くさそうな、でも迷いがあるような表情を浮かべていた。凄く印象的だった。



「.....変な奴。」



 下から私は彼を見て聞こえる様な小さな声で言うとちらっと私を見てから興味無さげに言い返さず黙っていた。



「サラー!! こんなとこにいたのか!!」


「ヴェロック、どうしたの?」


「次の目的地決まったぞ!!」


「どこ?」


「東の地方だ!!」


「東か......」



 世間では魔物が活発になりつつあることから魔王の復活が近いのではないかと言う噂が飛び交っていた。今の所魔物の被害以外では目立ったことは起きていないので割と能天気で暮らしている人が多かった。魔王と言っても自分には関わりが無いと思っていたからかもしれないけれど。そして、その東では勇者の選考が行われているというのも噂として一緒に聞こえてきていた。



「このまま南を進んでいく感じでいいかしらね?」


「そういう進路はサラに任せるぞ!」


「フフフ。楽しみね。」











「この時南にいたんですよね、今の此処の街、バルディア位に。確かに東に向かうのにそのまま進めば近いでしょうけど、何でこのまま進むって決めたんですか?」


「それはね......」


「サラの俺への当てつけだ。」


「師匠! 聞いてたんですか?」


「まあ、少しは。」


「失礼するわね。何の意図も無いわよ。ユリナちゃんが、現に近いから通るのは別に変な事じゃない事言ってるじゃない。」


「....狸。」


「何か言ったかしら?」


「ナニモイッテナイ。」



 サラさんの方を全く見なくなった師匠の態度で少し考える。勝手に付いて回ると言っておいて進路を決めるのはちょっと疑問を浮かべる。



「もしかして、推測ですけど。」


「何かしら?」


「師匠は北の方から村に着いたことを何かしらで知ったとか。」


「賢いな!!」


「本当にね。」



 どうやら予測は有っていた様でヴェロックさんもニコニコと笑顔を浮かべていた。



「どうやって分かったんですか!?」


「「........。」」



 興味があったので聞いてみるとサラさんもヴェロックさんも曖昧な表情を浮かべ視線を逸らす。その意味が分からず疑問符を浮かべるとその解答は師匠からもたらされた。



「俺が当時貴重でその村には存在していたこの世界の地図で経路を考えるのに幾つか指し示しながら頭にその経路を記憶していったんだ。元々東に行こうとしていた訳では無かったが噂は気になってたし行こうと考えていたのを全部盗み見、盗み聞きしてやがったんだよ。しかも察知に気付かれない様にそこにいる馬鹿の技術力でな。」



 そうするとバツが悪そうな表情を浮かべて、が変わらず大きな声でヴェロックさんは話す。



「オレは機人だけ有って機械の扱いは得意だったからな!! 偵察用にちょいちょいと作ってみたが意外にもバレず上手く行ったという訳だ!!」


「本当に悪いと思っている人間はそんな表情しながら大きな声では喋んねーよ。」



 私もその考えには同意せざる負えないと思ってしまいました。そういう所は地球より技術が有ったという事なのか、それとも魔法というモノが存在していたからこその技術力なのかは昔の事なので検討がつかないが。



「ゴホン、そろそろ続きいいかしらね? まだ始まったばかりよ。」


「そうだったな!!」


「サラは話を捏造しそうだからこっから俺も口を挟ませてもらうぞ。」


「ご自由にどうぞ。」










 東へ向かう事を決めた私とヴェロック、そして理由は分からないけど東に向かう予定だったノトリアの3人でその村を出た。


その間、私とヴェロックの会話は有れどノトリアが口を出す事は一切無かった。



「ねえ、貴方は話したがらないから聞くけど聞いたら答えてくれる?」


「........。」



 話し掛けても先を歩いているノトリアは返答すらしてくれなかった。



「聞こえてるんでしょ!返事くらい返しなさいよっ!」


「勝手に話してれば良いだろ。勝手に付いてきているお前らに何故俺が言葉を出さなきゃ行けないんだ。面倒くせえな。」


「~~~~っ!」


「俺は必要以上の馴れ合いはしない。名前を知ってるだけで不便ないだろう。」



 そう言っていつの間にか止めていた歩みを再開し始めていた。首だけ振り返っていたという不遜な態度だったんだけど当時の彼としては仕方ないとしか言いようが無いのも事実だった。



「たまたま、目的地が一緒だったってだけじゃない。魔物も魔王の影響かは分からないけど強くなってるんだもの。協力、共闘したって損は無いと思うけど?」


「別に手助けされるほど弱くないし落ちぶれてもない。」


「素直に受け入れられないの? .......捻くれ者。」


「........。」


「サラ、もういいだろ、言い過ぎだっ!」


「ふん。」



 私がむくれた所で話が終わるかと思ってたけど小さな声で、だけど私たちに聞こえる声でノトリアは言った。



「素直なんて純粋な物、俺に残っている訳が無いだろ。」


「「........。」」



 その時の表情は見えなかったけど低い声が更に低く声音には諦めが含まれていた気がした。それに気付いたからそれ以上は私も追求は出来なかった。



「チッ。」



 舌打ちを一つして歩みを早めたノトリアに黙ってついて行った。








「後からノトリアのことを聞いた時に全て合点がいったけど、今は割愛させてもらうわ。それに、」



 サラさんはそう言って師匠を見て視線を逸らす。師匠は分かった様な分からないような表情をしてチラリと見たサラさんを見返していた。ヴェロックさんも気まずそうな表情を浮かべている。状況が分からず話の続きを話し出さないサラさんを戸惑って見ていると私に近付いて来て耳打ちする。



「この辺の詳しい話はその内、ね。ちょっと自慢話とは違うからね。」


「.....。」



 こくんと頷いたのを見てサラさんはにこっと笑みを浮かべ話を続ける。








 暫く旅を続けて東の大国に辿り着き休息をそれぞれ取り始める。結局旅路は必要最低限の会話と敵の殲滅のみで踏み込むことは無かった。ノトリアが前を歩いているお陰か私たちは殆ど力を振るう事は無かったけど、ただただ圧倒の一言だった。



「噂は本当なのかしらと疑いたくなるレベルの発展度ね。幻覚に捉われているんじゃないかと疑ってしまうわ。」


「本当にそうだな!!」



 私たちが感嘆の声を上げ国の城壁前に審査の列で並んで待っているといつも通り何の返答も無いノトリアが珍しく声を上げる。



「....魔王対策としてこの国に〝聖剣〟が与えられたそうだ。そして強者に見えるような者を審査する為、王城に呼んでいると言っている。」


「へえ。まあ、私達には関係ないと思うけど。」


「そうだな!」


「.....そうだと良いな。」



 ノトリアが含みのある言葉を返したので私とヴェロックは顔を見合わせて疑問符を浮かべていた。そうしてその列が私たちに差し掛かると何やら水晶玉に手を翳す様言われた。何でもこれをしないと国には入れないと言われてしまった。渋々手を翳すノトリアだったけど何も反応せず通された。


 そうしてヴェロックも何事も無く少し光ったかな?という位の反応があったように見えたけど通され私が触れる事になった。



「え?」



 私が触れるとその水晶玉は眩い光を放った。



「.....だと思った。」



 そう呟くノトリアにどういう事か尋ねる前に取り仕切っていた衛兵さんに丁寧な言葉遣いで対応されあれよあれよの内に私.....だけでなくヴェロックと巻き込まれたノトリアも王城に招待されていた。



「この者らか?」


「左様です。」



 謁見室の頂点で玉座に座るこの国の王は私達を見まわした後近くにいた者に合図を出してから向き直り話し出す。



「そなたらも噂程度では聞いたことが有るだろうが魔王の復活の兆しがあるとの事でこの国では聖剣に選ばれし勇者を探しておる所なのだ。そしてこの国の入国の際に触れた水晶がその者の強さを表わす物だったのだ。眩い光を放った其方ならば今度こそ適正が合うだろうと思い招いた次第だ。」


「.....事情が分かりましたが私たちはしがない旅の者なのでそこまでの強さを持ち合わせていません。お役に立てるか分かり兼ねます。」


「何、聖剣に触れるだけでよい。難しい事では無かろう。一応同じく旅をしていた其方らにも触れてもらうぞ。」



 王は私だけでなくヴェロックとノトリアも見る。



「オレはそういう選ばれし者とは遠そうなんだがな!!」


「念の為に行うのだ。すまないな。」



 仕方ないかと諦め頭をガシガシと掻いて了承するヴェロック。


 が、ノトリアの反応は不躾で無礼極まりないものだった。



「断る。」


「むっ? 理由を聞かせて頂いてもよいかな。」


「何故俺が面倒な事をしなければならない。それに俺は此奴らと一緒には来たように見えただろうが赤の他人だ。勝手について来たのは此奴らだからな。」


「触れるだけで良いのだが。時間は掛けんよ。」


「それを断ると言っているのが分からないのか? あまり俺を苛つかせるな。あまりしつこいと、」



 王を見据えノトリアは冷えた声で一言。それは周りの王の護衛を動かせない程に。



「......殺しちまいそうだ、原型を留めないまでに。」



 静寂が訪れ、誰も言葉を発しない空間に拒否を受け入れたと思ったのかさっさと出て行ってしまった。


 そんな空間の後に私たちは聖剣に触れたけど結果反応は何もなく選ばれし者では無かった事が分かった。大変な役回りを回避できたことにひっそりとほっと息を吐きながら先に出て行ったノトリアを探す為私達も直ぐに王城を後にした。


 暫くノトリアを探し回ったけどその日は結局見つける事が出来なかった。思ったより国が大きかったというもあったけれど。疲労感から直ぐに眠りにつけるだろうと思いながら宿でうとうとしているとそれは前触れなく起こった。








急に投稿が止まってしまいすみません。

繁忙期の為、更新遅くなります。

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