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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第5章
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42話 帰り道と改装

 第5章スタートです。



「漸く帰ってこれたって感じだな。なんか懐かしい感じさえする。」


「確かに、城に行ったら成り行きで討伐に参加させられて、ウィッチェとルギシニラの街を転々と移動してましたしね。」


「げっ、そんなに開けてたか。んー。折角だしちょっと変えた方が良いか?」



 指折りで行った所を思い返してると師匠はぼんやりと考え事をし始める。今エルシリラの街の外れにある家に帰ってきた。私が帰ってきたと言うとちょっとむず痒い感じもするけどこの世界での私の家は此処だから帰ってきたと言えると思う。今は家の中に入らず外観を眺めている。



 さて師匠は考え事に没頭して暫く動く気が無く、何かをするみたいなので私は此処までの道中を思い出す。道中と言っていいのかそんな帰りだったけど。先ず、ウィッチェでの観光した夜、宿で一泊してからエルシリラへの帰り支度を始めた。まあ荷物はバッグの中に仕舞っていて纏まっているので殆ど手ぶらだけど。


 街の外に出て暫く歩くと



「どう帰ろうか?」


「どうって?」


「歩くと2週間以上は掛かった気がするなと思ってな。」


「えぇー、野宿は嫌ですよ。」


「そういえばステータス見せたし自重する必要性無くなったっけ。」


「一体何をっ!?」


「安全で時間がかかる方法とちょいと怖い思いするかもしれないけど時間がかからない方法とどっちが良い?」


「急ですね。うーん。師匠的にはどっちがお勧めですか?」



 私はこの時師匠に聞いたのはいけないことであり、間違いだった事に気付かなかった。師匠の性格を知っていれば。ちょっと浮かれていたのかもしれない。



「そりゃあ、勿論早い方だろ? 俺は怖い思いしねえし。」


「私がそう思うって事ですよね。因みに怖いってのは教えてくれるんですか。」


「選択したら教える。」


「まあ、そう言われると思ってましたよ。とは言え、私も早く帰りたいですし後者の方で良いですよ。てことで、教えてください。」


「まあまあ、身を持って体験した方が手っ取り早い、だろ?」


「え?」



 さっとお姫様抱っこされた直後フワッとする感覚が有った。何て言うかエレベーターに乗ったときのあの浮遊感というか。ギギギと首を下に向けると、



「フヘッ。」



 そんな変な声が洩れてしまう程高所に師匠は平然と立っていた。



「よし、そんじゃあ軽く飛ばす、ぞっ!」


「え、ちょっと、待っ.......。」



 ギューンと音が聞こえる勢いでエルシリラがある方角に飛んでいく。だけどこんなスピードが出ていても息苦しくない。勿論、障害物も無いし、曲がりくねった道が有るわけでも無いのでただただ一直線に向かうだけ。下の景色が目まぐるしく変わっていくのを眺めても別段何か有るわけでも無いので視線を上に戻す。そうすれば否応無く視界に入るものが有って、



「あ? 何か有ったか?」


「いや、思ったより怖く無かったなと思って、割りと冷静でいますし。」


「残念だな。こんだけスピード出して高所を飛んでると言うのに。」


「わざと、ですか。」


「別にアスレチックしても良いぜ?」



 私が呆れた表情を見せたので高度を下げていったので何をするか察した私は止めさせた。



「いや、お空の旅で大丈夫です。」


「そうしたいが、ちょっと問題が発生した。」


「何ですか、っ!!」


「気付いたか、行くぞ。」



 進行方向に魔物の反応と生きている複数の人の気配、魔力の反応が薄い、つまり死にそうになっている人もいる。スピードそのままに向かって目的地で丁度止まれる様減速して着くや否や、杖を取り出し魔術を発動させ敵を打ち倒していく。その時間僅か数十秒。



「ありがとうございます。」



 襲われていたのはエルシリラに向かっていた商人さんでお礼を言われた。何故か握手も求められたので握り返した。どうやら、雇った冒険者はいたが、なにぶん数が多く手間取っていたようだ。



「いえ、通り掛かっただけですのでお構い無く。」


「あの、」


「何でしょう。」


「出来れば護衛として雇わせて欲しいのですが。戦力は多いだけありがたいので。勿論報酬はお出しします。如何ですか?」


「えっとー。」



 返答に悩んでいると魔物の素材をしれっと回収している師匠と目が合う。何を言われたのかを察したようで顔を顰めた。私はその表情で意味を察す。



「申し訳有りませんが私たちは急いでいますので。それに此方にいらっしゃる冒険者さん達はお強い方たちですよね? 先程も私たちが助力しなくても勝てていたでしょうしね。」


「そうですか、残念です。」


「話は終わったか? 行くぞ。」



 師匠のさばさばした態度に商人さんは一瞬眉をひそめたが直ぐに取り繕い笑顔を向けた。そして歩き出そうとした師匠がぴたりと動きが止まる。



「どういうつもりだ? 商人。」



 離れていた距離を一瞬で詰めて商人さんの額に此方の世界では存在しないと思っていた”銃”が当てられている。それを握っているのは師匠だ。声も低い。



「な、何の事ですかな?」


「ちょ、ちょっと、師匠。何してるんですかっ。」



 突然の事で呆けていたが慌てて私が声を掛けると、周囲も状況に気付き一触即発しそうな雰囲気に様変わりする。冒険者達はそれぞれの得物に手を掛け直ぐにでも攻撃に移りそうだ。



「何の事、ねえ。それはお前が一番分かってんじゃねえのか? ユリナに『魅了』なんてしてくれてよ、商人は商人でも奴隷を扱う奴だったか?」


「な、何を根拠にそう仰られているか.....」


「誤魔化すか。」



 怒気を露にし凄まじいプレッシャーと殺気が一帯に降りかかる。危機を察したかの様に周囲の動物の気配が去っていくのが分かる。師匠に握られている銃も商人さんの額に押し付けられていく。いつの間に魅了なんて掛けられようとしていたのだろう。全然気付かなかった。ちょっと緩んでいたのかな。そう呑気に考えている間も話は進んでいく。



「くっ.....」


「あぁ、思い出した。お前。いや、お前ら全員の顔。どっかで見た顔だと思ったら数年前に獣人を奴隷にしてた奴等だ。あの時は獣人達を逃がすのが最優先で逃げていったお前らを殺し損ねたが。運が良いなあ。それとも新しく増やせる()()()女の奴隷が捕まえられるとでも分かっていたのか、なあ? 教えてくれよ。」


「!? 何故それを知ってっ.....!」


「おお、こうしたら思い出すってことは当たりか!」



 普段の黒髪から一転白くなり短くなった髪、紅い眼を見て震える商人、だけでなく此処にいる全ての人が震え始める。



「ユリナ、目を瞑れ。」


「臭いが鼻に付きますし此のままでも多分大丈夫です。あ、返り血を服に付けないで下さいね。」


「ハハハ、逞しくなったな。魔物とは違うけど良いんだな?」


「んーと.....それじゃあ、泣いたら慰めてください。」


「おう、気が済むまで泣くと良い。」



 そんな軽口を叩いている間に逃げようとしていた彼らは容赦なく銃の餌食になる。銃撃音が響く中、一撃で脳天を撃ち抜かれ次々に絶命していく。私は先程の師匠の言葉をリピートしていたせいか棒立ちしていた。そんな風にしながらボケッと眺めていたら後ろから手が伸びてきているのを視界の端で捉える。


 「あ、やば。」と気付いた時は既に遅く捕まると思い身構えた。けれど予想と違い後ろでは無く前の方に引っ張られた。先程よりも銃撃の音が近くで聞こえる。棒立ちで眺めていたとは言え脳天をぶち抜かれ絶命していく状況は案外宜しくなかったので、引っ張られた時に師匠の正面に収まった事もあり、外界の情報をシャットアウトするように顔を埋めた。片手で銃撃して殲滅させていたので空いていたもう片方の手で頭を撫でられた。こうしていると視線だけでなく臭いも感じない。ちょっと変態発言になるかもしれないけど師匠は良い匂いがする。



「ふう、終わった。流石に臭いは酷いな。まあ燃やせばいいか。」



 周囲に静寂が広がると周囲の温度が少し上がった。燃やすって言ったから多分火の魔法でも使ったのだろう。



「終わったぞ? 奴隷についてはギルド経由で報告すれば大丈夫だろう。」


「.......。」


「おい? 聞いてるか。」


「え、すみません。何ですか?」


「聞いてなかったのか。まあ、良い。もう終わったから大丈夫だぞ。」



 まさか良い匂いがして嗅いでたなんて言える訳もなく。しどろもどろになった私に怪訝そうな顔を見せたが次の瞬間には既に空の旅を再開していた。変えた髪も戻している。



「ユリナも大概だよなあ。」


「急に何ですか。」


「俺が人殺しするのを止めねえし。普通忌避するだろ。」


「別の事考えてたっていうのも有るんですけど。私が止めてたらやめてました?」


「いや、多分変わらねえな。」


「ですよね。それよりも銃を持っている事の方が驚きなんですが。」


「.....プッ、クハハハ。いやーホントおもしれぇわ。それよりも、か。」


「失礼です。何も無差別じゃないと思ったからですよ。」



 笑う師匠に頬を膨らまして抗議するが流される。



「まあ、銃はバッグに入れてる訳じゃないしな。それにリロードするのに魔力を消費するし、時間もかかるしで、効率悪いからあんまし使わねえだけでそれなりに使えるぞ。」


「こっちの世界では無いですよね。」


「魔術を組み込んだ銃ならあるが。これは俺が作製したやつだ。」


「私にも使えますか?」


「慣れれば大丈夫じゃないか。反動とか魔力を込める感じとか案外コツがいるからな。」



 その後は何事も無く障害物も無い空を凄まじいスピードで飛んだこともあり夕刻前に到着した。



 そして今に戻る。私が回想している間に考えが纏まったらしい師匠は両手を掲げ手のひらを家の方に向ける。何をするか、ワクワクしながら見ていたらゴゴゴという重低音が聞こえ若干揺れも感じる。1、2分ほどで止んだ音と揺れ。じっと家の方を見ていたが吃驚した。



「よしっ、大きさそのままに改装完了。やっぱ自重しなくなると色々楽で良いな。」


「規格外過ぎますよ、これは。」



 多分家の内装を変えていたのだろう。その内装を変える時に窓の位置などが変わってくるので見た目も変わっていった。大きさこそ変わってないが外観が変わったことで一気に知らないお家に遊びに来た感じになった。家の内装とかが変わる感じで、ちょっとあのアニメを想像してしまった。有名なアニメだったと思う。名前忘れたけど。



「ん? 入らないのか。」



 戦慄しながら考えを巡らせて、見ていたので話し掛けられて、我に返る。家の方へ数歩歩いた所で師匠がこちらを振り返る。



「いえっ、入りますよ。」



 我先にと玄関の方まで走って先に中に入る。そんな様子を微笑ましく見て息を吐いた師匠には気付かなかった。



「うわあ、すごく広く感じる。」



 リビングが吹き抜けになっており前は二階があったせいで圧迫感が少し有ったのもあるのか、広く感じてしまう。



「それも分けていた部屋を繋げたりしたお陰だ。部屋の方だけ二階作ってその二階の部屋から行けるバルコニーを作ったし結構大きく改装したな。」


「へえ、そうなんですか......ん? 部屋を繋げた?」


「繋げた。」



 そう言って師匠が指差した方を見ると前は廊下が有って左右それぞれに扉が有った場所が廊下が無くなり扉が一つになっている。私は急いで扉を開け中に入ると部屋の半々くらいで私物が分けられており中間くらいにはテーブルや椅子が置かれていたり本棚が置かれたりしていた。唖然と見ていると後ろから声を掛けられる。



「まあ、今更教える事なんて無いだろうが書き物は此方でやるようにした。蔵書も俺の解放したから読んでもらって構わない。仕事道具も含め俺の持っている大量の蔵書は全部地下室に持っていったから危険なものは無いはずだ。」


「ち、地下?」


「前に俺が部屋に入るなって言ってるの覚えているか? その理由は散らかっていたというのも有るんだが地下室に入られたくないからというのが大きな理由でな。その中に入られれば今まで喋らなかった色々がバレるからな。今はもう魔王で有ることがバレたし隠すものは無いからな。とは言っても俺の許可無く地下室へ入る事だけは禁止させてもらうけどな。色々実験中の不安定な物質とか有るし。」


「へ、へえ。」



 何と答えれば良いか分からず曖昧な返事を返してしまった。驚きの連続で容量オーバーになっているのかもしれない。



「さて、この後は話せる事を話しておこうか。明日はあの大規模戦闘についての諸々を聞きに城に行く予定だからな。」


「は、はーい。じゃあ何か食べるものを用意しましょう。」








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