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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第4章
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37話 ルギシニラへの訪問と魔王との謁見へ



――”ルギシニラ”という街について


 先ずこの世界にはヒト以外の種族もいるとの事。ヒトもヒトで色々と有るには有るが今回は割愛する。


 ヒトにとっては自分と違う存在に畏怖したのだろう。丁度出現してしまった”魔王”が獣人からで有ったこともあったのだろう。勇者に討伐されたとはいえ、いつしかヒトは彼らを亜人と呼び遠ざけたそうだ。かつては共存していたが亜人の力は高い為余計に恐れられ虐げる者も出てきたとか。そんな世界を恨んだ亜人達だったが元々は温厚な事も有りどれだけ虐げられても反抗はせず耐えていた。何時しか亜人達は住んでいた場所を離れ本能なのかどの者も南を目指して宛てもなくさ迷い歩き続けると広大な海が見えた。地続きである土地にいては何も変わらない。そう思った彼らは海へ出たそうだ。すると大きな島が有ったそうだ。そこは食べ物も有り豊かな土地だった為彼ら独自の文化を発展させた。集落から村の規模へ。


 やがて、そんな土地に一人のヒトが現れた。最初こそ、そのヒトは亜人達に煙たがられたが、どんなに邪険に扱おうが気にせず色々と発展の為に手を尽くしてくれるそのヒトに対して観念して受け入れたそうだ。いつしかそのヒトによって村から街へと発展して他の街と同じく”王”として立てたそうだ。そのヒトは手伝っただけでそんな資格無いと断ったが亜人達はそのヒトからしつこく色々とされた事を愚痴の様に口を揃えて話し出し王と認めて承認してくれるまで仕返しとばかりにしつこく頼み込み漸く了承される。


 それから200年程王位はヒトであるとされている。その王は実はハーフであるとか何とかで噂されており200年もの間、全く王位継承されておらず王が変わっていないとか。あくまで噂なのでこの辺は分からないそうだが。賢者様にも分からない事が有るのかと思ったが何となく口ごもるので知っていて言わないのかと思いつつも聞いても笑って誤魔化されたので真相は分からない。話が逸れたが、亜人達も長生きで生まれた数少ない子供へも語り継がれており王を慕っているが王しか知らぬ子供によっては他のヒトが自分達をどの様に思っているかは分からないため街の外へ行きたがっている者も多かったそうだ。


 そして大規模に発展した街は賑やかになり王は自ら色々な街に出向き虐げられた亜人達を救いに行きその度に街へ連れていき安心して暮らさせ笑顔が溢れる街に成長した。しかしそんな救いを良しとしないものもいた。所謂、奴隷商人と呼ばれる彼らは自分達の商業の邪魔をされるため取り返そうと捜索し至ったのだ。亜人達が住む街に。奴隷商人らは自分達の都合で拐おうとしたが亜人達は一致団結し自分達の街を守る。王より「どんな奴でも腐っていなければ殺してはいけない」と言われていたし、街への被害も大きくなかったため追い返したに止めたそうだ。その街の存在が追い返された奴隷商人や傭兵によって広まっていき多くの街の商人ら、果ては王までもが野心を抱き手を出してはいけない街に手を出してしまった。


 一度手を出され少しの被害から王は防壁を築き上げどんなに大軍が押し寄せようが街への被害は無く亜人達の強さ等、それら様子から”魔の住まう街”を”ルギシニラ”と呼ばれるそうになった。誰が名付けてそう呼ぶようになったかは分からないけど。そして、ルギシニラの王は反撃をせず一切の干渉を受け付けなかった。当時こそはピリピリとしたが今では大きな騒動も起きず過去の野心を持った者の末路や亜人達の強さを知っているからこそ積極的に手を出そうとはしていない。たまに会わせてくれとか消極的に関わりを持とうとする街は有るそうなのだが。




「王が変わってないって凄く長生きしてるんですね。何だか歴史が語れそうですね。200年くらいは。」


「あの王は変わり者じゃから過去の話など語ろうとはしない筈じゃ。そんなことよりも、じゃ。ワシは知り合い故、王に会ってからユリナの街への散策の許可を貰わんとなあ。城に向かうまでは街を歩く事になるがユリナへの視線は良くないものが多いじゃろう。その腕輪が有ればあまり心配は要らぬと思うが念のためじゃからこれを着ると良い。今はまだ昼間じゃそんなに長くは滞在できぬと思うから明日の夕刻ほどに帰って来るようにしようかの。王への許しさえ有ればいつでも何処へでも街の内部へ入れるようになるからの。」



 渡されたのはローブ。それを羽織ると賢者様は後1つと付け加える。



「ワシの本体はここを離れられぬ故付いていくのはワシの魔法で作った分身、思念体と言ったものかの。準備が良ければ向かうぞ。」


「はいっ! お願いしますっ! 楽しみだなぁ。」



 そう言うと賢者様は魔法を発動させる。



「『転移』」










「はぁぁー、んでこんなめんどいんだよー。帰りてぇぇ。」


「そう言わずもう少しお願いします。」


「そうですよ。今帰られたらこっちも大変なんすからお願いしますよ。」


「お前らがもう少し頑張れば済む話じゃねえか。ちょっと戻ってきただけなのになんで1週間も軟禁状態みたいにされてんだよ。俺トップだよ? 分かってる?」


「存じてます。」「存じてるっす。」



 机に突っ伏して文句を垂れる俺を励ます(?)二人の姿が有る。俺が戻ってきてから早1週間。少しごたついてるのをさっさと片付けて帰って、爺に修行を任せてるし俺はゆっくり寝ようと思ってたのに逆に殆ど寝れずに問題解決に奔走(室内で書類整理だったり会議だったり外に出てないので奔走と言えるか分からんのだが)していた。何度か逃げようと逃走を謀ったのだがあっさりバレて捕まった。俺はトップの筈なのに首根っこ捕まれて凄まじいスピードで執務室に戻される。



「....帰りたい。」



 そう言って顔を少し上げて二人を見る。ルピは真顔で溜め息を吐き、レイトは楽しそうに笑っている。人前こそきちんとした姿を見せるがルピは元から真面目過ぎるのであまり素が分かりにくいが俺らだけの時は疲れたような、呆れたような表情を見せることがある。逆にレイトは普段チャラチャラしている。


 正反対の2人だが実力は高いので仕事を任せておけるのだが彼等なりの俺への意趣返しかは知らんが帰ってくると無理難題、大量の仕事の片付けを押し付けられる。しかも一方は真顔、もう一方は笑顔で。辛ぇよ。再び下を向き溜め息を吐くと扉をノックする音が聞こえてくる。「どうぞー」と間延びした声で言うと「失礼します。」と言ってそのまま用件を伝える。基本的に執務室に入ることは禁止されているからだ。



「魔王様。謁見を願っている者がいます。」


「あぁ? 誰だー?」


「森の賢者様です。」


「....は?」



 俺の聞き間違いかと思い、机に顎をつけたまま顔を上げて聞き返すと同じ答えが返ってきた。



「......何で爺が来んだよ(ボソッ」


「それともう一人連れている者がおりその者にも会ってほしいと言っておりました。」


「....おい、まさかだがそいつ若い女じゃなかったか?」


「え、いえ。顔まで見えませんでした。また、話してもいないので分かりません。申し訳ありません。」



 冷や汗がぶわっと出てくる。そして焦る。何故来た? 思わず白い目になり再び机に突っ伏す。頭からは白い煙が出ていただろう。取り敢えず後で返答する旨を伝え、指示すると遠ざかっていく気配がする。するとルピとレイトは俺に向き直り話し掛ける。



「魔王様。森の賢者様にお会いにならないのですか? 折角来てくださったのに。」


「そうっすよ。魔王様、準備しましょう。」


「.......やだ。」


「「え?」」


「やだって言ってんだよおおおおー!!!!!」



 俺、再び逃走を謀る。


 ガシッと無慈悲な音が聞こえ首が絞まる。俺トップだよ?



「グヘェッ。」


「魔王様。森の賢者様の謁見を断るなど言語道断です。」


「何が嫌なんすか? もしかして連れの事っすか?」


「ウダウダせず、覚悟を決めてください。」


「ルピ、魔王様が間接的に首絞められて気絶しかけてるっすよ。」


「えっ? 魔王様! 大丈夫ですかっ。」


「.....お、おう、一瞬死にかけたが大丈夫だー。」



 掴んでいた手をルピが離したことで復帰した俺は手を振って無事を示す。手を離されたお陰で後ろに倒れて頭打ったが。滅茶苦茶痛かった。



「はぁ、まあ仕事は中断してたし、憂鬱な気分が変わる、かも、しれない.....ヤッパリ ムリカモ シレナイ。.....会いたくねぇぇぇぇぇーーー!!」


「さあ、魔王様準備しますよ。」


「オレは賢者様のとこ行って案内してきます。ルピ、ここは頼むっす!」


「レイト、貴方も粗相無いように。」


「大丈夫っすよ。」



 今だ放心状態でブツブツと呟く俺を無視して謁見用の服に手際よく着替えさせるルピ。レイトはそそくさと執務室を出ていった。



「魔王様。準備を終えたので()()()くださいね? 後はシャキッと...」


「.....分かっている。ヘマはしない。」


「はぁ。普段からそうして下されば格好良くて良いですのに。」


「それは疲れるから無理。」


「左様ですか。では行きましょう。」


「そうだな。」










「此処でお待ちください。」



 転移の魔法で一瞬で”ルギシニラ”に来た私は賢者様の案内の元、お城に来ていた。黒を基調とした荘厳なお城。賢者様は顔見知りらしいので直ぐに中に入る事ができ立派な応接室で待っている様言われ、私はソワソワしながら待っていた。そういえば此処は魔の住まう街だから王様の事は魔王様というらしい。一般的に知られている災厄の魔王とは違うらしい。まあ災厄の魔王の方は見境無く殺戮するらしいからそんなのが理性持って街を作っていたら驚きだけどさ。.........何か誰かに白い目で見られた気がする。


 暫くしたら一人の魔族の男性が迎えへやって来た。角が生えてる。目が黒地で赤い。私がヒトと分かったのかは不明だがどうやら知識が無さそうに見えたらしい。彼が自分から話してくれたのだが、魔族では無く”悪魔”と呼ばれる者らしい。何でも魔王様の側近であるとか。こんな案内など普段はしないらしいが賢者様だから案内しにきたとかって真面目な口調で言われた。何か凄く違和感を覚えたが何でだろう。本来の、というか素の彼の姿じゃない?


 そうしている内に一個の大きな扉の前に着く。多分謁見室だろう。



「失礼します。」



 案内してきた悪魔の男性が言うと扉が開き中の様子が見える。私は今だローブを着てフードを被っていた。そして顔を上げて見ると上座に歩いていった悪魔の男性ともう一人側近として女性が立っていた。目を瞑って黙っていたが此方の視線に気付いたのか目を開ける。彼女も彼と同じ目と角が有ったので悪魔なのだろうか。彼女は暫く私をじっと見た後、何を思ったかは知らないが表情を一切変えること無く再び目を閉じる。幾人かの重鎮と思わしき獣人や魔族、エルフやドワーフ達? なのかな。この世界では何と呼び分けるか分からないけど。静かに脇に控えている。賢者様、いや私の事をじっと見ている人が多いがヒトだと見透かされてる? 力は強いらしいし。


 そして、玉座に膝を組んで細い目でこちらを見定めるような目を向けるこの街のトップである魔王様。白髪で短髪、両目が隻眼の美形の青年。堂々としたその態度と目線に気圧されるも私も負けじと胸を張り、歩いていく賢者様に付いていく。何故負けたくないと思ったのかは謎だが凄く対抗心というか負けず嫌いが出てくる。そして進んでいると魔王様は口端を上げ大袈裟に両手を上げ言った。



「ようこそ、魔の住まう街であるルギシニラへ。我が街に一体何用だ、()()。」






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