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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第4章
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38話 魔王との謁見と似た者


 腕輪の認識阻害は魔力を流してる。賢者様から渡されたローブの効果も効いてる筈。なのに()()で有ることがバレてしまった。その魔王様の言葉で歩みを止めて畏まってしまう。悪魔達は反応が特にないけど重鎮達はざわっとして何やら話している。



「互いに強張らなくても我がいる故どちらにも手出しはさせんよ。それに賢者の連れがヒトとは言え客人だ。まさか手荒な真似をしようなどは思ってないだろう。」


「も、申し訳ありません。私が賢者様に頼んだのです。不快でしたら直ぐにでも出ていきます。」


「何を言っている小娘。我も一応ヒトに分類される身だ。例え賢者の連れでなくても即に追い出すなどせんよ。それに畏まられるのは苦手でな、賢者の様に気楽にしてくれ。」


「ワシは気楽にしている訳ではないじゃがなあ。相変わらずよなあ、ルギシニラ王。」


「我がそう簡単に変わると思うてるのか、心外だ。小娘よ、立つが良い。」



 そう言われてもプレッシャーや周囲のざわめきで言葉がきちんと頭に入って来ないため震えながら畏まったままでいると息を吐く音が近くから聞こえ、どよめきが多くなる。恐る恐る顔を上げると目の前に魔王様が立っていて硬直した。すると私と視線を合わせる為に膝を付く。



「っ!」


「全く、力が入らなくなったか。楽にして良いと言うのに硬直してしまったのか? ルピ、椅子を持ってこい。」


「承知しました。」



 ルピと呼ばれた悪魔の女性は素早く椅子を持ってきて私の直ぐ後ろに設置する。設置し終えると一礼して元の場所に素早く戻っていった。それをボケーっと眺めていたら魔王様に支えられていつの間にか椅子に座らされ、フードを脱がされていた。それを終えると玉座の方へ戻っていった。



「す、すみませんっ。」


「椅子に座ったままで良い。用件は早く済むのだろう? 賢者よ。」


「勿論じゃよ。彼女にこの街を散策させたくてのう。許可を貰いに来たんじゃよ。身元もワシが保証するし、差別意識も無い。問題が有ればワシが責任を持つ。」


「ふむ、そうか。賢者がそこまで言うなら大丈夫だろう。だが、おいそれと許可を出しては問題だからな。此方の方で少し審査をする。ルピ、レイト準備を手早く終わらせ分かりやすく説明し実施しろ。」


「「承知しました。」」



 もう一人の男性の悪魔はレイトと言うみたいだ。何やら動き始めたと思ったら私の目の前にテーブルが置かれ、大きい透明な宝玉と細いが何やら紋様が描かれてる腕輪を設置した。椅子に座ったままじっと眺めていると二人の悪魔は私の真正面に立ち説明を始める。



「これからこの街での活動を許可できるか判断致します。先ずは此方の宝玉を両手で持ってください。」



 渡されるまま両手で受けとるとずしりとした重みがあり一瞬落としそうになる。すると淡い白い光が宝玉内で光出す。



「わぁ、綺麗。」


「離して頂いて大丈夫です。これで活動が許可されましたので街での活動ができる為の設定をしていきます。レイト頼みます。」


「では、オレから説明します。」



 ひょいと宝玉を取り上げられた。あの一瞬で許可が出たらしい。何ともあっさりし過ぎていたがさっきので何が分かったのか謎だ。そんなことで悩んでる暇はなくもう一個の腕輪について説明される。


 この細い紋様が描かれてる腕輪はこの街に滞在できると魔王様が認めたという証。いかなる行為も魔王様によって認められるという割りと犯罪になったらどうするのって思うアイテム。だけど、どうやら先程の宝玉を触った時点で悪事や企みは白日の元に晒される様になるとか。私は白い光だったので問題無かったが、何か有れば黒く光るそうだ。程度によって色濃く出るとか。そして、もうひとつの腕輪の効力が”ルギシニラ”の街限定だが、なんと自分が望んだ獣人や魔族の姿に成れるそうだ。いくら認められたとは言えヒトが堂々と歩くのは止めてほしいそうだ。何が起きるか分からないし責任も取れない場合が有るかもしれないからと言われた。



「後は、街では魔具は外して下さい。魔具を付けている事で敵対の意思があると思われ攻撃をされることも有りますから。腕輪が付いている事で魔王様より認めし者という理解をする者だけでは無いので、過去の差別によってまだまだ偏見の目で見る民は減ってきているものの、少なくないので注意してください。以上です。」


「は、はい。説明ありがとうございました。」



 説明を終えるとテーブルなどを片付けてしまった。手元には腕輪がある。それを早速付けて腕を掲げて眺める。



「賢者、滞在予定は?」


「明日の夕刻に帰る予定じゃよ。」


「ふむ、街の中には宿はない故、城に泊まると良い。」


「そういえばそうじゃったな。」


「え? でも良いんですか。」


「何を言っている。無いのだから仕方ないだろう。それに、我が良いと言えば良いのだ。遠慮せず必要品は言うと良い。」


「....何から何までありがとうございます。」



 お礼を言うと話を終えたとばかりに魔王様は先に出ていってしまった。出ていく寸前に少しだけ疲れた様な表情が見えた気がするけど腕輪をじっと見ていて横目でしか捉えられなかったし、気のせいだよね。その後、てきぱきと滞在の部屋の案内などをされたりすると賢者様も特に話さなかったので部屋には静寂が広がった。居たたまれないので、これから何をするかという話を賢者様に振って色々と街の様子を知ってる範囲で聞きながら相談して予定を組んでいった。









「....疲れた。」



 ルピとレイトは片付けや案内に回っているので暫く戻ってこないだろう。俺は執務室で独り言を洩らす。羽織っていた服を脱ぎ捨てたまま髪をもとに戻してから机に突っ伏している。多分、服に関してルピに見られたら何かを言われるだろうがそんな事よりも疲労感が大きくて動けそうに無い。



「俺、ヘマしてないよな。」


「大丈夫だと思いますよ。」


「うわっ、いつの間に戻ってきてやがった。」


「? 今しがたですが。声を掛けたのですが反応が無かったですので部屋に入りました。」



 ルピがいつの間にか戻ってきて俺がそのままにしている服を拾い上げ片付け始めていた。特に咎められなそうで安心した。それにしても、気が緩みすぎて声を掛けられた事にも気付かなかった。吃驚して上げていた頭を再び下げて溜め息を吐く。



「あ、そうだ。忘れない内に言っておくが、どう言われようが客人が帰った夜更けに俺も帰るからな。」


「きちんと仕事が済んでいれば構いません。....そういえば、今度此方に帰られる時は会ってくださいね。立派に見えるよう見栄を張っているだけなので時折寂しそうな表情をしてます。まだ子供なのですから分かってあげて下さいね。元はと言えば魔王様が連れてこられたんですから。」


「ルピの言う通りっすよ。今回は秘匿で帰って来てるみたいですけど、今度は知らせて上げてくださいよ。たまにオレに魔王様の状況聞かれるんすから。2、3日前位にも聞かれて困ったんすよ。」


「はあ、分かった、分かった。仕事は済ませて帰るし今度は正式に帰ってくるよ。悪いとは思うが今回は緊急だったんだ。どうにか対応しといてくれ。」


 再び深い深い溜め息を吐き、顔を上げ椅子の背もたれに体を預ける。するとレイトがじっと見ていたので視線を向けると興味津々の様子で質問される。



「あの子、やっぱり知り合いだったんすね。あの顔何処かで見た気がするなあと思ったらいつも魔王様の近くにいる女の子っすよね?」


「そうだな。どうせあの爺が俺を驚かせようとか何か画策して来たんだろ。お陰で此方は無駄に緊張しまくって疲労がいつもの倍以上だ。爺も楽しそうな表情を見せて俺に余計な事しやがる。」


「賢者様と魔王様はそういうところは似てますからね。いえ、賢者様が似せたのかもしれませんね。中々面白い性格してますし、魔王様は。」


「そうかい、貶されてる感じもするが気にしないでおくさ。さてと、それじゃあ帰れる様にするためにもさっさと仕事を終わらすか。」








 今後の予定を決め終わり、部屋でボーッと考え事をしていると賢者様より話し掛けられる。



「どうしたんじゃ、ユリナ。」


「え? いや、何か限界突破の影響かは分からないんですけど今日接した人が凄く違和感を覚えたんですよね。全員では無いんですけど。何か本来のその人じゃないみたいな感じがしたなあと思っていて。」


「ほう。」


「あくまで何となくなのでそんなに気にする事でもないかなあと。」



 再びボケーっとして椅子に座って足をぶらぶらとさせながら違和感の事を考え暫く首を捻っていた。









「「クシュンッ。」」



 執務室で仕事を始めてから暫く経ってから、俺とレイトは同時にくしゃみをする。



「魔王様もレイトも風邪を引きましたか。」


「え? 俺、こっちの世界で風邪なんて引いた事無いんだけどなあ。そもそも風邪なんて状態異常この強さが有って今更なるとかねえだろ。」


「魔王様は一応ヒトっすから可能性としては有るかもしれないっすけど、悪魔が風邪引くとか聞いたことないっすよ。ルピだって引いた事無いっすよね? もしかしてですけど、誰かが噂でもしてるんじゃないっすか?」


「俺とレイトにだけ、か? 何でルピは何も言われてないんだよ。」


「魔王様もレイトも人前では大きく態度が変わるから、ではないでしょうか。」


「必要だからやってるのにそれで噂されるって訳わかんねーな。文句言いてえよ。」


「確かにそうっすね。オレも文句言いたいっす。」



 誰に何を言われたかは分からないがストレスが少々溜まった。やっぱり早く帰って寝てえよ。ストレスの無い生活に戻りたい。その為にも残った仕事を済ませなければ。














「何故我に聞くのだ。交流を図りたいというのであれば街の者に聞くのが良いのでは無いか。」



 次の日の朝。早く起きてしまったので少しだけ部屋を出てこそこそと見て回っていたら迷子になり悩んでいたらたまたま魔王様とばったりと会ってしまった。その魔王様は私をキツく睨んでいたので興味本意で見て回った結果迷子になったと本当の事を言えず誤魔化そうとして言った言葉が「こ、この街では何が有名なんですか。」というものだった。私は、冷や汗を流しながら視線を泳がせ聞いたところ、冒頭の台詞を返されたのだ。



「街の発展に関して当初こそ我は関与したものの、今では民に任せている。発展させるに辺り、案を見たりすることは有るがな。だから今の街の状況を我が詳しく説明することはできまいよ。それよりも、本当の目的は違うのだろう。」


「えっとー。」



 思わず図星を突かれ、激しく視線をさ迷わせていたので肯定と取ったのだろう。目の前で溜め息を吐かれた。何かデジャブを感じる気がするのでじっと見てしまっていた。



「....我は見られることを無礼だとは言わないが些か見過ぎだと思うが。早く本当の用件を言うと良い。」


「し、失礼しました。えっと...部屋に戻れなくなりました...。」


「そんな事だろうと思っていた。付いてこい、部屋に案内してやる。」



 踵を返し歩いていく魔王様に付いて歩いていく。昨日初めて会った筈なのに初見の感じがしなかった。それどころか安心感、この人は裏切らないと思える。誰に似てるんだろう。うーんと首を捻って考えているとポンと頭に浮かんできてつい口走ってしまう。



「師匠か!」


「...む?」



 声に出ていた事に気付き少々遅れて此方を振り返った魔王様が反応する。歩みも止まる。何故かじっと見られているので少し首を傾げる。



「何でしょうか?」


「それは此方の台詞なのだが。急に声を上げたのは小娘、そちらだぞ。」


「あ、いえ気にしないで下さい。ちょっと考え事とか独り言が大きくなってしまっただけなので。」


「そうか。」



 前を向き直り歩き始めた魔王様を追い掛ける。装いも、特徴的な髪も、話し方も違うが纏う雰囲気や何となく感じる安心感が師匠に似ていた。まあ全く見た目が違うからこの人独特の強さとかが安心できるのだろう。そう結論付けてそれ以上深く考えなかった。










 滅茶苦茶吃驚したと先ず言おう。朝を迎えた時、寝ずにやった甲斐があり8割方仕事が終わったので一旦休憩と思って自室へ戻ろうとしたら気配を感じた。しかもその気配がユリナと気付けば焦りも高まる。気怠くても誰とすれ違っても良いようにと、装いは整えていたので大丈夫だがこの眠い状態でボロを出したらバレると焦燥が酷かった。少し深呼吸してリラックスさせる。


 そして、あたかもバッタリ会ったように振る舞い、何となく目的は察していたが迷子になるとは思っていなくてちょっと呆れつつも部屋へ案内してやると歩き始めた。何か視線を向けたら逸らされたのだがそんな睨んでいる様にでも見えたのだろうか。(眠くて目が細くなっていた事には気付かなかった。)歩いていると、急に「師匠か!」と大きな声で言われて、バレたかと思い、少し動きがぎこちなくなってしまった。幸いバレたりしなかったが心臓に悪かった。一瞬呼吸が止まった位だ。何とかぎこちなさを誤魔化して部屋までの案内を無事終えることが出来た。ミッションコンプリートだ。



「着いたぞ。城内が気になるのは分かるが他の者に見付かればただでは済まないことを覚えておくと良い。会ったのが我で良かったな。次からは自分の行動をよく考えてから動け。」


「はい、すみません、肝に命じます。そして此処までわざわざ案内ありがとうございました。」



 そう言うと一礼して部屋の中に入っていったので俺は仮眠を取るため自室へ向かって、だらしなく大きな欠伸をしながら歩いていった。昨日以上に疲れた。







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