表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第2章
26/103

25話 夜の騒動とゆったり過ごす1日



「やはり来たか。さてはて、わざと泳がしておいたが行動に出るとは。冗談とでも思っているのか。」



 深夜、静かな城内の部屋の一室で呟く俺。ベッドから出てユリナの様子を見るとぐっすり寝ていた。当たり前と言えば当たり前か。風呂にリラックス効果がある色々を入れておいたからな。お陰で俺も風呂で寝るという事態になったが。


 そんな事はさておき現状何が起こっているか。結果から言えばこんな深夜なのに部屋を訪ねてきた人物がいる。最初から言うと風呂を出てゆったりと部屋に戻っているのを付けられていたのだ。俺は知っていながら、気付かない振りをしておいてわざと部屋の場所をばらした。そこに入っていったとなると何かを弄してくるかと思い事前にドアに俺だけが気づけるよう警報を仕込んでおいたのとユリナには気づかれない様に察知を惑わす様にしていた。そしてその警報が動いたのだ。俺は無意識下でも察知を使っているらしくかなり前に悪戯をしようと近づいた奴を寝たまま絞めたらしい。一瞬自分の両親が川の向こうにいて必死に此方に来るなと言われたとか何とかいって後で文句を言われた事があった。その文句を言われた時に首を絞められて大きな声で騒いだり腕を叩いたりしても起きなかったらしい。なので警報がなるときに起きるような仕組みをつけた。潜在意識への働きかけみたいな? 上手く説明出来ないが兎に角物理じゃない起こし方だ。まあ起こされることには変わり無いので今は苛々してる。


 唯の来客者だったら問題ないが深夜に複数で来て扉の前で行動指針を確認してる。こいつらアホか、そんなの済ませてこいというか気配が消せないようじゃバレるだろうに。まあ迷宮でも使ってる奴いなかったし教えてもらってないのか管理する上で不要になるか。その辺の事情はどうでもいいな。そろそろ行動に出そうなので俺は扉を開けたとき目が合うような位置に椅子を置き足を組んで中に入ってくるのを待つ。一応城は俺が関与できないが一部の場所、例えば専用の訓練場やこの部屋は俺の持ち物の一つとされそこに踏み入れたら処罰は俺に一任してもらえるようにした。流石に条件に禁止事項の一つとして、殺しを定められたが、



―――「ばれなきゃ、問題ないよなぁ?」



 その時の状況を色々と思い返しながらクツクツと笑っていると部屋に武器を構えて入ってきた。俺が笑って余裕そうに椅子に座って待ち受けていたことに動揺を示す。顔ばれ、身ばれしない様にかローブを着て、フードも被ってる上、素材や付与されている効果で認識を阻害させるような仕組みになっているみたいだった。一瞬動揺を見せたものの自分たちがバレていないと思って余裕そうな雰囲気に一転させた彼女らだが、俺の一言で態度が一変する。



「誰の許可を得て俺のテリトリーに侵入したんだ? 勇者君のお仲間さん。」



 そう言うと感情を隠しもせず動揺を顕にして俺に対して敵対心を見せる。俺はそんな様子を残念そうに見ながら風魔法で被っているフードを吹き飛ばす、といっても窓も開いていない部屋で急に風が吹くわけが無いのでそよ風程度に抑えてだったが全員の顔が晒される。流石に暗いので俺の後ろにある窓のカーテンもあけて顔をよく見る。



「「「「!!?」」」」


「? おっと見えてしまったか。」



 風を吹かせていたせいで前髪が少し横に流れて右目が見えてしまった様だ。暗いのに見えた理由は暗視効果でもローブについていたのだろうか。ちょっと迂闊だったがそんなに驚くということは、



「特徴でも教えてもらったのか? .......まあ、当たり前といえば当たり前なのか。復活の兆しなんてある訳がないのに。知的好奇心からの行動は取り繕うのが大変なこって。」



 独白する様になってしまったが、誰一人も言葉を発することは無かった。凄く顔が青ざめて来ているがそんな死を悟るみたいなのやめてほしいなぁ。まるで”怪物”、いやこの世界での恐怖の権化である”魔王”を見たような反応じゃないか。俺は笑みを浮かべつつ立ち上がると明らかに彼女たちは腰が引けて今にも逃げ出しそうだったので面倒になった俺は逃げられない様に障壁を後方に張り一歩づつ歩みを進める。



「殺りに来るっていうのは殺られる覚悟も有るって事だ。この世界じゃ、知らなかったじゃ済まされないんだよ。死は身近に存在してるのさ。既に俺のテリトリーに踏み込んだ時点で生かす何て柔な選択肢は無い。折角だし君達に言葉を送ろう。一応無関係と言いつつユリナとは同郷者な訳だし。」


「「「「…………っ。」」」」


「女神様に祈りでも捧げて来世にでも御期待下さいっ。」



 そう言って右手を掲げてニヤリと笑い、魔法を打とうとしたらはっきりとしない言葉が俺の耳に届く。



「それは駄目ですぅ………私がやるんですからぁ………」


「………。」



 発動寸前だった魔法が霧散される。起きている筈が無いが今のはユリナの声だ。もしかして寝言、か?



「………プッ、アハハハー。どんな夢見たらそんな寝言出てくるんだよ、ククッ。あぁ、駄目だ、興が削がれたしこれはユリナのやることか。やめだ、やめ。」



 俺は一頻り笑うと張り積めていた雰囲気が崩れ彼女らは腰を落とす。そんな様子を見下しながら静かな声で告げる。



「良かったなぁ、お前ら。どうやらお前らが嫌ってやまないユリナのお陰で助かったみたいだぞ? 本当なら存在ごと抹消されていたのになぁ。ユリナが楽になりそうだし、殺ろうとしたんだけど夢でもそれを望まないらしいから見逃してやるよ。だけど次に変な行動、今日のこの事も含めて、か。喋ったり、何か動きがあれば次はこの世界どころか元の世界の地も踏めなくなる事になる、ということをよーく覚えておけ。」



 彼女らは、何も言えず唇を強く噛んでいて下を向いたまま動かず出ていってくれないので、ああ、障壁張っているからか。チッと舌打ちしてから障壁を解除してから暴風を発動させ強制的に部屋の外に彼女らを追い出し扉を閉める。


 再び静かになった部屋。カーテンを開けた部屋の窓から外を眺める。今日は満月だった。やけに光が入ってくると思ってたがそりゃそうなるわな。月の光が強いにも関わらず、ふと窓に映る自分の姿を見る。そして右手で前髪を横に流し両目をみやる。映るのは日本人らしい黒の左目と血のように真っ赤に染まっている紅色の右目。どんな事を教えてもらったかは分からないが恐らく両の目の色が違うとどちらか片目は”魔眼”と呼ばれるもので、それは”魔王”である証明になるとでも言われたのだろうか。そんな事を考えながら俺は自分の考え事に面白おかしくなり笑いながら眠れぬ夜を過ごしたのだった。









「!? おはよう、ございます。」


「なんだ、その間は。何故驚く。」


「いや、師匠が早起きとか。もしかして今日は大雨とかですか!?」


「たまには俺が早起きしてたって別に良いじゃねえか。」


「の割りには眠そうですけど。」


「そりゃあねみぃよ。早起きなんてするもんじゃねえな。」



 朝、起きて寝ぼけながらふらふらと洗面所に向かおうとしたら何故か視線を感じふと横を見てみると窓の方に腰掛けて此方を面白そうな表情で見ている師匠と目が合い、薄目だった目が段々と開いていった。流石にボケッとしていた私も私だけど誰だっていつも長く寝ていて、起きるのが遅い人が起きていれば驚くものだと思う。珍しい事も有るなあと吃驚するが眠そうな表情で時折欠伸をしている姿に笑いながらスッキリした頭で朝食をてきぱきと用意していく。そんな様子をいまだに窓に腰掛けたまま料理の様子を眺めてくる師匠が口を開く。



「そうだ、昨日面白い事あってな。」


「何ですか?」


「いやー、ユリナが急に「私が勇者達を倒すので師匠は手を出さないで下さいっ!」って大声で寝言を言ってたんだ。」


「!! それ嘘、ですよね?」


「さぁ? どうだろうなぁ。一体どんな夢だったのか気になるねぇ。」



 夢の内容は全く覚えていない。けど日本にいた時言われたことがある。私の寝言ははっきりと喋るらしく起きてると疑うレベルだと。それを考えると本当ではないかと考えてしまう。でもそんな寝言をピンポイントで聞いてるのって師匠の多少の物音で起きない性質を考慮すると非現実的だと思う。という事と眠そうに欠伸をしている状況から、



「もしかして、ですけど。」


「何だ?」


「寝てない、とか、じゃないですよね?」


「もし、そうだって言ったら?」


「辻褄が合いますね。」


「そうか。」


「で、どうなんですか。」


「………。」



 聞こうとしたら外に視線を向けた。肯定と取ろう。誤魔化す時や図星の時はよく視線を逸らしているので。そのまま外を見ながら師匠は問う。



「寝言通りにしたいのか?」


「え?」


「いや、勇者達倒したいとかの奴だよ。発言的には、完全に敵対勢力が言いそうだけど。」


「無意識でもそう思ったならそうなんでしょうね。確かに昨日迷宮にいるときあのウザさとかに苛々してぶん殴りたいとかまとめて成敗! とか思ってましたし。」


「殺りたいなら用意するけど。」


「そんな物騒なことまではしないですけど打ち倒して二度と関わって来ないようにしたいですかね。実力見せてないから弱いままだと思われて余計絡んできてるんだろうし、特に勇者は。師匠は実力見せたんですよね?」


「何で見せたって分かるんだ。」



 私は昨日の迷宮での見解を伝える。10階層で勇者達に会って一悶着あって20階層に行くまでに不機嫌さが増して中にも入るのはそういうことかなと。そしたら「何で彼奴はあんなに俺を目の敵にしたり突っ掛かるんだ。」と頭を抱えて真剣に悩んでいたのでアハハーと笑っておくに留めた。


 因みにどうやって実力を見せたか聞くと「魔術で氷の礫で敵を撃ち抜いたけど時間かかったから別の魔術使えば良かった」と言ったので「何分掛かったんですか?」と聞いたら「8秒位? 忘れたけど10秒は掛からなかった。」と言われた。そもそも単位が違かった。というか数秒で倒した敵を最短秒数で倒したら何秒になるんだと思っていたらその考えを読まれて「1秒かからない。」と人差し指を一本立てて言われて料理中だった私が包丁を持ちながら倒れそうになった。間一髪、窓際から一瞬で移動してきた師匠が包丁だけ私から取り上げて大事にはならなかったけど私の体も支えてほしかった。思いっきり頭をぶつけたせいで痛い。



「今日も迷宮行くんですか?」


「どうするかなー。また面倒になるのも嫌なんだよなあ。」


「それじゃあ、剣術の方、まだまだ上達し無さそうですし、苦手な分野なので、一日鍛えてください。」


「眠い俺をこき使うのかよー。」


「寝てないのは師匠が悪いんじゃないですか。迷宮行かないならそれで。勿論魔法も魔術もやりますけど。」


「別に俺のせいだけじゃないんだが。まあそれでいいや。ちゃんと訓練してくれるなら構わないしな。」




 専用の訓練場に移動して訓練を始める。前は時間がそんなに長くなかったので疲労も少なかったが今回は、ずっと剣術を教えてもらうのに兎に角動きまくっていたので、



「何だ? もうバテたのかー?」


「ちょ、ちょっと休憩下さいぃ。」



 うつ伏せで倒れていた。膝を折って此方を見ている師匠は息一つ上がっていない。本当は魔法使いじゃないのではないかと疑ってしまう。それに「眠い。」とか言っていてだるそうにしていた様子が感じられない。私がぐったりしたままいると、「休んでる暇なんて無い」と鞭を打ってくるかと思ったけど、そのまま放置され魔術の魔方陣を組み立てていた。たまに発動前から魔方陣からパチパチと魔力が漏れているのだが大丈夫だろうか。安定して発動させるとあんな現象が起きないので暴発しかけているのでは、ない、だろう、か。私も危険では? と思いながらも体が動かないので何かあったら師匠がどうにかするだろうと思考放棄し休んでると



「あっ、やべっ。」



 と言って暴発した。何が有るか分からないので一応自分で水の障壁を張っていたが正解だった。師匠は私に一切手を出さなかった。存在忘れられてる気がする。白い煙が充満してごほごほと咳き込む声が聞こえてきた。言っても多分無駄になるだろうけど注意しに行こうと何とか立ち上がり服をパンパンと叩くと服に、何か刃の様なものが服を掠めたかのような跡があった。今まで気づかなかったけど何だろう、これ。いつこんなの出来たんだろう。そんなに大きな跡でも無いので後で縫っておかなきゃかな? と考えて今だ咳き込みながらもまた新しい魔術を試そうと魔方陣を展開し始めた師匠を止めにいった。「ごめん、ユリナの事忘れてた。」と素で言われたので私魔物とかよりも先に師匠の暴発事故によるバッドエンドの未来が少し見えた気がする。と身震いして「もう少し周りに目を配ってください!」と説教を始めた。しかし、師匠はまさかの説教中に寝るという暴挙を働いたのでイラッときた私は一発殴ろうとした。なのに寝ている筈の師匠にがっちり止められその後離してもらえず起きるまでそのままでいた。お昼頃目が覚めて私が不満そうな顔で近くにいたので疑問顔を見せた師匠にガードされている場所を視線で訴えると納得顔を見せて「自業自得。」と笑われた。寝ている時、まさか防御してくるなんて誰も思わないだろう。怒りを通り越して呆れた私は溜め息を吐く。


 こんな様子で一日騒ぎつつも訓練に励んだのだった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ