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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第2章
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22話 自重の無い人と色々な修行


 何やら声が聞こえてきて眠りから覚めていく。少しずつ目を開けて時計を見ると大体2時間程寝ていた様でゆったりと体を起こして腕を伸ばす。と、まったりしている場合じゃなかった。声は部屋の扉の方から聞こえてくる。複数の女性の声と一人の男性の声。何を喋っているかまでは分からないけど急いでベッドから出て扉を開ける前に聞き耳を立てる。だけど小さな声で何を言ってるか結局聞こえず扉を少し開けて覗くと男性と目が合う。



「あ、五月蝿かったか?」


「………何してるんですか?」



 言わずもがな師匠だった。私は安心して部屋から出ると複数の女性が私に頭を下がるので吃驚する。目を白黒させながらいると女性達から話し掛けられた。



「魔術師長のご指示で幾つかの食材や生活に使用される備品を御持ちしました。ノト様にその旨をお話ししておりました。起こされてしまった様で申し訳ございません。」


「ふぇ? いえいえ、お構い無く。」


「起こしちまったみたいだし良いや。中に運んでくれ。」


「畏まりました。」



 中に荷物を運んでいる様子を見ながら「誰?」と思って師匠に聞くと「魔術師長の指示を受けて動く人達。」と端的に答えられ、私いるのバレたら不味くないかと思ってはいたけどどうやら彼女等は実力もかなり上で仕事の内容は第三者に漏らさないとか。なので師匠を見ても騒ぐことなく淡々と仕事をこなしてるらしい、慣れてる感じから度々こういう風に関わる事が有るのだろう。


 運び終わるとまた深々と一礼して去っていった。私もつられて頭を下げた。



「んー。流石に昼間からは無いよなぁ。場所も………まだ特定されて無さそう、か。」


「何か言いましたか?」


「いや、何でもない。」



 いつのまにか部屋のソファに腰掛けながらぶつぶつと何か呟いていたので聞き返すとはぐらかされた。どうせ聞いても答えてもらえないのでさっき運ばれた荷物の中身を確認して棚に仕舞っていく。うわっ、食器とかも入ってる。


 そんな感じで中身に驚きつつも一通り片付け終わり一息吐く。



「しっかり寝れたか?」


「え、はい。今は割りと元気ですよ。」


「それじゃあ少しだけ何かやるか?」


「! 是非、お願いします!」


「訓練やるって言っただけで元気出すとか訳わかんねぇ。普通嫌がるもんじゃないのか。」



 そんな師匠の言葉をスルーして準備を始める私。その様子に溜息と苦笑を浮かべながら同じく準備をする師匠。因みにお互いに認識阻害も気配遮断も使っていない。察知は常時発動で使ってる。部屋を出て、すたすたと迷わず歩いていく師匠を追い掛けて行くと広い訓練場があり、ここを使うようで中に足を踏み入れていく師匠だったが私は止まっていた。



「ん? 早く中に入ってこい。」


「いやいや、こんな広いとこ使うんですか。私が以前、勇者達と訓練していた場所は人数が多かったし滅茶苦茶広かったですけど。ここ、その半分の大きさ位ですけど2人で使う広さじゃ無いですよね?」


「いや、ここ俺専用の。ファーリアに授業を頼まれたからその見返りで。勿論王の許可も済んでる。」


「………。」



 相変わらずぶっ飛んでる。どうしてあの月1の授業の見返りでこんなものが出来てしまうのだろう。しかも公認だった。そういえば師匠に常識を求めちゃいけないんだった。諦めよう。



「また失礼な事考えてるだろ? 顔に出てるぞ。」


「いえいえ、まさかそんなこと無いですよ。」



 思わず棒読み。シラーッとした目を向けてくるが私は遠くに視線を向けることでスルーする。そして中に入ると薄い膜上の何かを通過した感じがして思わず振り返る。そして手を伸ばして空を切るようにブンブンと腕を振ると〝何か〟に引っ掛かる。疑問を持って腕をブンブンし続けていたら感嘆の声が聞こえる。



「おぉ! それに気付くか。あまり気付く奴いないから結構嬉しいな。」


「やっぱり何か有るんですね。この薄い膜?みたいなの何ですか?」


「俺の魔法や魔術を見られないようにするためにこの訓練場一帯に先ずは認識阻害だろ? それで訓練中に入ってこられて死傷者でるのもヤバイから許可が無いものは入れない、てか入れるの俺だけにしてる。今俺が最初に入ったときにユリナも入れる様に変えたけど。後はー、ああ! 音とかも外に出ないようにするとか、万が一暴発してヤバそうになっても外には一切漏れないようにして城をぶっ壊さないようにしてるとか、こんなところか? ………どした、ユリナ? 口パクパクしてるけど。」



 ちょっと興奮気味に語られたけど、いやいや、驚かない方がおかしい。何てもの城に抱えてるんだ。そんなドヤ顔向けられても何て言えば。取り敢えず自重と常識って言うのを教えるべきか。でも私はこの世界の人じゃないしこれくらいするのが当たり前なのかもしれない、きっとそうだ。と、明らかに現実逃避した。



「ったく、普通これくらいは頑丈に障壁作るだろう? だから訓練とかで城の一部を壊しちまうんだよ。安全意識低いよなぁ、信じられねえ。」



 うん、現実逃避してたけどそうだよね。師匠が規格外何だよね。でも言っても分からないというか理解してもらえない感じも分かっているので気にしないことにした。これは一生治らない不治の病なんです、きっと、おそらく、多分。


 遠い目をして考え事していたけど現実に戻って話を進める。



「何をするんですか?」


「別にどっちでも良いけど。どっちてかどれでも?か。魔法でも魔術でも剣術でも。お好きなもの選択して、どうぞ。」


「うーん。取り敢えず魔術から始めてみようかな。」


「魔術な。そういや基礎は覚えてるか?」



 そうして少し思い出しながら話を進めて魔法で使えない属性の方を中心に習った。基本的に仕組みは属性が変わっても同じなので火系統を例に教えてもらっていた。けど段々と威力を高いものを教えようと画策しているのを察したので釘を刺すと「使わなきゃ良いだろ?」と言いながら発動しているのを見せているという説得力皆無の状況に「自重して下さい」と怒った私が何かを言おうとしたら「普通をあいつらで見るなよ?」と言われ渋々一個だけ滅茶苦茶破壊力の高い火系統の魔術を習って使えるようになった。


 が、「流石だな! 使えると思ってたぜ。こんな()()魔術、俺が使えても他に使える人あんまりいないし、安全面を考えて教えられなかったけどユリナだから()()教えてしまったよ。はっはっはー。」と言われてやっぱりふざけて教えていた事実をポロった師匠にキレた私は教えてもらった強い魔術をぶっぱなした。まあいつも通り楽しそうに笑いながらしっかりガードされたけど。これだけ滅茶苦茶やったのに誰も来ないし訓練場には傷一つついていなかった。


 思ったより早く魔術を習得してしまった(基礎の理解と火の魔術が打てたら応用していくだけとの事だったので)私は少しだけ木剣で剣術を教えてもらう事になったが、中々上手くいかなかったのでこっちはもう少し訓練を続けなければいけない。体力がそんなに無いので剣術は時間がかかりそうだし、体を動かすのは苦手だけど、今までにない体験のせいか中々に楽しいので頑張れそうだ。


 最後に魔法の訓練をした。新しく編み出した[青]魔法に[黄]魔法の雷を纏わせたりして「どうですか!?」と出来たことに喜びながら師匠を見ると、「魔法は滅茶苦茶、高度な事やって恐れられるレベルになっているのに魔術は自重しろって。矛盾してんのに気付いてる?」とジト目で師匠に言われ、出来たからやったことが思ったよりヤバイことに戦慄して「私、この世界の常識をよく知らないですし魔法はそもそも規格外みたいなもんだし、大丈夫……です……よね?」と自信なさげに疑問系で答えたのだった。肯定も否定もせず微笑んだ師匠に冷や汗を流しまくったのは言うまでもない。


 そんなこんなで修行を終えると日が沈みかけてきたので部屋に戻っていった。



「折角だしステータスの確認でもするか。ずっと確認してなかったな。」


「確かに、何だかんだで見てなかったです。特に何かした訳でも無かったし確認する必要性なかったていうのが一番だと思いますけど。」



 モグモグとご飯を食べながらそんな事を話す。お互いに私のステータスを見れるので食べながら開いてみた。



〔 桜城百合奈 17歳 人間

  魔法使い Lv31 (適正〈主〉:青 白 〈副〉:黄 )

  スキル:心汲  魔力:1210 〕



「うへー。またレベル上がってるよー。」


「伸びは低いけどなー。迷宮行けばもうちょい上がるかー?」


「因みに目標値とか決めてるんですか?」


「んー、最終的にはマックスだろ? 迷宮でのレベルアップはユリナ次第じゃないか。」


「確かにそうですね。」



 モグモグとお互い食べ続けてそんな事を話しつつ他愛もない話をしてふと今日の事を思い出す。



「そうだ。師匠聞きたかったんですが。」


「何だ?」


「いやー下らないと言われたらそれまで何ですけどお昼くらいに勇者と話してた時、師匠が歳上って言ってて。」


「あぁー、そんな事も言ったっけか? それで?」


「幾つなんですか?」



 シーンとする。お互い食べていた手を止めて向き合っている。この質問まずかったかな。質問を取り消そうと言う前に師匠はあっけからんとした様子で答えた。



「27だが。」


「………はい。」


「いや、何か有るんじゃないのかよ。」


「いえ、特には。だって歳ってそんな話膨らむものでも無いじゃないですか。」


「まあ、そうだが。だったら聞く必要性そんなに無くねえか?」


「………。」


「何故視線を逸らす。まさかだが何か思ってたな。吐け。」



 私が視線を遠くに投げたことで追求する師匠。吐けは無いでしょうに、思わずむせてごほごほと咳をしてしまった。



「食事中に何て事言うんですか!?」


「おい、話を逸らそうとしても無駄だぞ。聞くまで今日は寝かさねえ。」


「それって明日に響くじゃないですか! そんな事で明日の予定潰さないで下さいよー。」


「じゃあ、話してくれるか?」



 笑顔で凄まれて私は「うっ。」と呻きつつ師匠はやると言ったら本気になることも分かっているので渋々話す。


 私が思っていたのは幅広い知識と高い能力。それは若くして手に入るものでは無いだろう。能力はあったとしても知識はそんな一朝一夕で覚えられるものでもない。なのに師匠は迷うことなく知識を引っ張り出してくる。だから勇者に歳上って言ったときは特に気にしてなかったけどよくよく考えると私の歳はステータスで分かっているけど師匠には聞いてないなあと思ったのだ。で、色々考えると若作りしているお爺ちゃん説が有った。最初こそそんな事できるか思っていたけど認識阻害なんて物を作れる位なのだ。だったらとこの説が濃厚になったものの歳を聞いて余計どういう事かと頭が混乱している。


 ということを洗いざらい吐いたら怒られると思っていたけど聞こえてきたのは爆笑する声で目を丸くした。



「怒る要素ねえし、そんな事をわざわざ考えてるってことの方が面白いだろう? 言っておくが歳について嘘は言ってないからな。ただちょっとその考え、ちょっとだけ俺の大量の知識を持っている事に関しての答えに近いかもなぁ。」


「え? どういう意味ですか!?」


「おっと、これ以上は秘密だ。その内俺の秘密の一つでも気付いたときに話してやろう。」



 そういって悪戯っぽい笑みを浮かべながら口に人差し指を当てて見せる。謎がより深まった事で文句を言おうかと思っていたが今の師匠の行動にちょっぴりドキッとした私は誤魔化す様にそっぽを向いて小さな声で「いつか秘密を暴いてやりますよ。」と言ったのだった。その言葉で師匠が「気長に待っててやるよ。」と笑顔で返された。


 言わなかったが師匠は子供っぽい所も有るので知識を多く持っている青年の皮を被った子供説とかも考えたけどバカらしいし流石に此方は怒られそうなので、「子供じゃない。」と言う風に。黙っていた。だって師匠が秘密にしている事が有るのだから私だって少し位は師匠に秘密にしたいことを持っていても良いだろう。フフッと笑うと師匠は急に笑った私を首を傾げて見てたけど特に聞いては来なかった。





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