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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第1章
18/103

18話 更なる贈り物と始まりの場所へ


 今日の朝はちゃんとベッドの上で目覚めた。最近何だかんだ言って早起きしている師匠も今日はまだ寝ている様だった。久し振りに予定通り修行を行うのかな? と考えつつもいつも通り午前中は本を読みつつ新しい魔法の形を考えていく。毎度の如く、楽しくて時間があっという間に過ぎていく。


 そして、いつの間にか6日目も午後になるが師匠の部屋は物音一つ聞こえず起きてくる気配が無い。


 昨日私の修行中寝ていた筈なのに寝足りなかったのだろうか。ちょいちょい起きて話したりしてたし寝ていた振り? 若しくは逆に寝すぎて眠いという事になって居るのではないだろうか。結局音沙汰が全く無いので仕方なく本の続きを読む事にした。


 午後3時頃になり漸く師匠の部屋からドスンと少し大きな物音が聞こえて来た。一体何の音だろうかとは思ったけど取り敢えず何か食べるだろうと思い若干冷めてしまった料理をリビングに持って行くとタイミングよく師匠が出てきたがまだ眠そうな顔と腰を擦っているのを見て笑ってしまった。



「? ……何笑ってるんだ?」


「結構寝ていた筈なのにまだ眠そうにしているの面白いじゃないですか、フフッ。………ところで、腰、痛いんですか?」


「痛い。」


「さっきの大きな物音と関係有りますか?」


「ベッドから落ちた。」


「…………。」


「何か言えや。」



 予想外だった。だって今までベッドから落ちた人とか聞いたこと無かったし、実際落ちるって有るんだなあって思ったら何も言えないというか笑いすら出てくる。笑いがバレないようにサッと視線を反らして正解だったかもしれない。ベッドから落ちた事でめっちゃ不機嫌そうだし。これ以上話を続けたら私に八つ当たりが来そうなので話を逸らす。



「えっと、取り敢えずお昼に作っておいたの有るので食べて下さい。」


「……あー、ちょっと釈然としないが分かったー。……そういえば、」


「? 何ですか。」


「少し経ったら出掛けるから準備しておいてくれ。」


「何処に行くんですか?」



 そう聞いた後師匠は何かを考えていた様にして黙っていたが憂鬱そうな表情で此れからの事を説明し始めた。



「明日の午前中やることあんだよ、城で。授業をしなきゃいけなくて。」


「授業、ですか?」


「おう、ある条件のせいで月に一回は城で魔術師の奴等、中には騎士の奴もいるがそいつらに向けて”魔術”の仕組みを教えてんだよ。その代わりとして受講生達からの発想を色々ともらって俺は新しい”魔術”を作ってる。危険なのは揉み消す、使い道が有って危険性が薄いものは提供する。って感じ。けど今回は、」



 そこで言葉を区切ってご飯に手をつけながら無意識なのか食具にギリギリと力を入れて表情を見てもあからさまに苛々してる。あまり力を入れると壊れそうなんでやめて欲しいけどそんな空気を読めない事言える訳なく黙ってた。


 条件とかも気になるけど特に私が行く必要性を感じないけども。暫く黙ってじっと見ていると観念したのか大きな溜息をして真顔で此方に向いた。今まで下を向いていたのに急にバッと顔を上げて見るものだから吃驚した。



「……今回は魔術師連中だけでなくユリナの()()()()()()()()も参加するんだと。何でも全体的なレベルアップを図っておきたいとか何とか。」


「……っ。私も行くんです、か?」


「そのつもりで言ったんだけど。嫌なのは分かってるけどその後俺らも迷宮行こうと思ってたから。迷宮は訓練の場に最適だしなぁ。今最高が50層とかしか攻略が進んでないとかだったか。100層有るのに半分って。どうせ最下層まで攻略したところで記録だけだから積極的に目指さねえのかなあ。」


「ん、んー??」



 後半の方はほぼ独り言っぽくなっていって何を喋っているか聞こえなかった。迷宮については存在だけは知っていた。下に行くほど厄介な魔物が多いが良い素材が取れるという訳でもないらしい。何故今50層程しか攻略が進んでいないのに100層あると知っているのかという理由は文献が有るとか。過去に迷宮を攻略した人がいるのか、それとも人為的に何かの目的で()()()()()()という様々な推測を立てて考えている人もいるらしく迷宮については謎が多いらしい。そしてこの迷宮に1か月後に行くと言う話をされた時に説明を受けた内容はこんな所だ。



「できれば会いたくないなぁ………」


「それ俺の目の前で言うなよ。俺は会いたくないどころかガキどもに懇切丁寧にやらなきゃいけないんだぞ。俺の身にもなってくれ……。」



 お互いに深々と溜息を吐く。師匠は今にも机に突っ伏しそうな勢いがある。というかガキって、私の事もそう思ってるのかは知らないけど大分口が悪くなっている。目が虚ろなので自覚無さそうだけど。



「……ああ、そう言えば、ステータスだが、今どうなってる? どたばたしてて3日目の夜から確認してなかっただろ?」



〔 桜城百合奈 17歳 人間 

  魔法使い Lv28 (適正〈主〉:青 白 〈副〉:黄 )

  固有スキル:心汲  魔力:1000 〕



 またレベルが上がっていた。そういえばと思い出して同じく召喚された人のステータスを最後に見た時レベルは20位だったと思う。


 だけどあれから約1週間くらいは経った。その時と同じとは限らないしレベル差がまだ有ると思った方が良さそうだ。レベルが上がったとは言え会うかもしれないという可能性に怯えて震えが止まらない。



「また結構上がっていただろう? そんなに怖がらなくても心配いらんぞ? 前も言ったけどレベルが全てじゃないしあんな高度な魔法を成功させた時点で勝ち確定みたいなもんだろ。てか争う前提みたいに聞こえるな、これだと。あっちがどうやってくるかにもよるが今回喧嘩を売るつもりは無い。売られたら買って返り討ちにすりゃ良いんじゃねえの?」


「そんな簡単に考えられないですよ。皆のステータスは大体把握してますし比較しても魔力量はかなり多いですけど不安になりますよ。」


「まあ、そう言うと思ってたから色々とメシスに頼んでたんだよ、渡すの忘れてた。持ってくる。」



 そう言って私がステータスを確認してモヤモヤと考えている時に食べ終わっていた。いや、喋り終わった後も口をもごもごさせながら部屋に戻って行った。行儀悪い。そう思いつつ食器をキッチンの方に持っていく。片付けは取り敢えず後回しにする。


 暫くしたら何個かの箱を持って戻ってきた。よいしょと机の上に置くと1個は大きな縦長の箱、残り3個は小さめの箱だった。



「意外に、重かった。」


「それこそ魔法で運べば良かったんじゃ無いんですか?」


「はっ! 確かに、じゃなくて丁寧に運ぶのに持ってきたんだ!」


「はぁ。」



 師匠は師匠だった、さっきの憂鬱な気分が少し晴れたし呆れが出た。らしいと言えばらしい。わざとふざけてくれたのか素なのか分からないがクスクスと笑ってしまう。



「コホン。これユリナ用に仕立てたというか用意した奴だから開けてみ。」


「んん!? 4個も有りますけど!?」


「おう、俺は3個しか頼まなかったけどサービスで何か付けてくれたらしい。だから中身見て何か効果を付けようと思う。」


「そうですか。じゃあ大きい物から。」



 ガサガサと梱包された箱を開封して開けると一本の杖が入っていた。



「蒼い杖。綺麗、だけど杖って必須じゃないですよね? それに持ってますけど。」


「必須じゃないが高度な”魔術”を使う時は杖が必要になるんだ。言ってなかったっけ? んで”魔法使い”であることをカモフラージュするっていうのに体裁を整える意味で持っておくのと、」



 そこで一旦区切ると今まで真面目に説明していたのを一変させニヤリと表情を変える。思わず何かとてつもない効果が付与されているのではと自重されていない武器を想像してゾッとするが概ね間違っていなかった。



「それ、剣を仕込んでんだよ。」


「…………ん?」


「いや、ん? じゃなくて。」


「いやいや、何で仕込むんですか! 必要が感じられないんですけど!!」



 「えー?」とでも言いたげな表情で私の言ってることを理解してない様子の師匠。何故”魔法”メインで使う”魔法使い”が杖に剣など仕込むのだろうか。私は取り出した杖をなぞると少し切れ目が付いた処を見つけたので恐る恐る力を入れて引っ張るとキラリとした刃が見えたので黙って戻す。見てないふり。



「使うに越したことは無いんだけど一応保険……?」


「何で疑問形何ですか。………本音は?」


「………チャント本音ダヨ。」


「………そういうことにしときます。」



 結局答える気は無さそうなので気にしない事にした。問題の先送りとも言う。―――結果杖の中に剣が仕込まれていたことで杖の耐久がとても良く私の身を幾度も守ることになった。思い出して師匠の反応から感謝したくないけど内心滅茶苦茶感謝した。


 他の頼んでいたと言っていた方の2つの小箱も開けていくと『腕輪』と『短剣』が出てきた。


 腕輪の方は『認識阻害の腕輪』というモノらしく魔力を流す事で他者からの認識を誤認したり視線をそらしたりする事が出来るので今後は魔法使いとしての服を着ていても大丈夫になるとか。因みに自分より強い人には効かないらしい。唯、師匠に関しては自分だけ範囲外になるように設定したとか。で、過去に一度だけ師匠がかけていた眼鏡も同じ機能らしく私にまで発動した事から設定をいじって効果外にしたとか。前に見た時「誰?」と思ったのは見間違えではなかったので呆れられた事を思い出して追及したら「忘れてたっ!」と反省皆無で言われた。「これで知り合いにあっても大丈夫だ。」と伝えられて気にかけていた事に驚きつつ早速左腕に嵌めた。


 もうひとつの短剣は単に護身用で腰に付けておく用にしたとか。「特に効果は付けてない。ただ、握れば上手く剣が動く様になる、かも?」とか言われたけど絶対一番ヤバイ能力が付いていると言える物だと思う。剣が意思を持っているといっても過言じゃないレベルでは無いか、改めて戦慄して持つ手が震えていたのは言うまでもない。



 最後に小さな箱を開けると一対2個のイヤリングが入っていた。このイヤリングも蒼い色で鉱石の余りから作ってくれたのだろうか。気に入って日の光に照らしながら見ていると師匠から「ふむ。」という言葉が聞こえてきてそちらを見ると笑顔で手を出していた。またチートレベルが付けられると思ってさっと手の中に握って師匠に背を向けた。



「何故、そういう反応をする?」


「何故も何も付けている能力が強すぎるんですよ。自重って知らないんですか!?」


「これでも押さえてるぞ。」


「じゃあこのイヤリングに何を付けようとしていたか先に教えて下さい。その内容によって頼みます。」



 ジト目を向けて警戒していると師匠はケラケラと笑い出して人差し指を立てて答える。



「付与できる様に作られた物じゃないからそんなに強力な物じゃないぞ。唯1つ、魔力を保有させて何時でも取り出せる様にする。」


「それだったら指輪で足りますよね?」


「いつも魔力を流せる環境とは限らないだろう。修行中は兎も角戦闘中に悠長に待ってくれる何て無いぞ? だから自分が任意のタイミングで取り出せる様に、いつでもストック出来るようにしとくだけだぞ。」


「むう、確かに。それなら、良いの、か、な?」



 何か前の3つのインパクトが強すぎて説明を聞いてもそんなに強力では無さそうかな? と思ってしまい師匠にイヤリングを渡す。よくよく考えれば最初に強烈なインパクトを見せてからいかにも普通っぽい感じのチート能力を示されたら問題ないと思ってしまう奴だった。何か過保護な気もするけど。


 イヤリングを受け取った師匠はサーっと部屋に籠り少し物音を立てた後、3分位で戻ってきて完成品を渡してきた。初回サービスとか言って動作確認の為に魔力を保有させた状態で渡され指輪の方は前からネックレスみたいにしておきたいと言っていたのでチェーンを貰って首から下げるようにして準備を終えた。自分に自信が欲しいときはゲン担ぎで嵌める事にするようにした。



 そして、私がこの世界での始まりの場所である城へ向かって歩いていった。道具の効果を確かめながら。



 初めて外からお城を眺めると大きさに圧倒されこんな所にいたのに見ていた場所はごく一部だったんだなぁと思ってずんずん歩いていく師匠を追い掛ける。いつの間にか何時もと格好も雰囲気も違う師匠に驚くがダルそうな表情が割りと台無しにしてる。お城の前には当然の如く門番がいたものの何も言われず通る事が出来た。門番は此方をじっとは見てきてはいたが。

 師匠は気にせず迷わず進んでいき魔術師教会の敷地に着くとそこにはファーリアさんがいた。深々と此方に一礼するとニッコリ微笑んでいる。



「思ったよりお早い到着でしたね。部屋にご案内致します。」



 師匠は何も言わずファーリアさんについて歩いて行く。そして部屋に案内されるととても広々としていてこの一室だけで生活ができるレベルで家具やらが整っている。相変わらず何も言わず手のひらをヒラヒラと師匠が振るとファーリアさんはまた礼をして来た道を戻って行った。


 明日、認識阻害をかけるとは言え私も参加することになっている師匠の授業で魔術師や騎士だけでなくクラスメイトとも顔を会わせる事になっている。不安が有るがその気持ちを抑えるようにしてベッドに入り寝ることにした。







 第1章終了。

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