16話 これからの修行の方針と先の楽しみ
豪華な夕飯を食べ終え一段落付けて反省会を始める。
「それじゃあ今日の反省をしていこうか。」
「はーい。」
「先ずはステータスの確認しよう。」
〔 桜城百合奈 17歳 人間
魔法使い Lv22 (適正〈主〉:青 白 〈副〉:黄 )
スキル:心汲 魔力:820 〕
「やっぱりレベルはあんまり上がらなかったか。まあレベルが上がりにくくなるのは仕方ないからこの位が良い処なのか。」
「これでも最初と比べると結構上がっていると思うんですけど。それにギルドで教えてもらったレベルとランク関係的には結構上の方じゃないですか。」
「あれは推定だし実際の強さ何てステータスで測れるものじゃない。それに冒険者としてやっていけば高レベル高ランクに達すことが出来るが無理すれば自分の死に繋がるんだ。だから上を必死に目指す物でも無いし、上に上って行っても特に貰える訳でも無いしな。まあ強さの証明でもしたいとかそんなんだろう。おっと話が逸れたな。兎に角ギルドに顔はあまり出さないしランクとかレベルとかは気にせず自分のペースでやればいいさ。」
そういう物だったのか。確かに登録するときも昇格した時も特にステータスを聞かれなかった。本当に推定みたいなもので気にしなくていい物なのか。成程と頷いていると本題に入る。
「それじゃあこれからが本題で今日の修行の成果だ。先ずは気配遮断についてだがまだ粗があるけど集中すればかなり長い時間続けられていたからもう少し訓練すればマスターするだろう。それで察知はまだまだ魔力量が多いな。でも後半は魔物に殆ど遭遇する事無かったしこっちはぎりぎり合格点かな。察知については相手の攻撃がどう来るかも想定できる様になるから普段からも意識して使う様にしよう。最後に[青]魔法の水球だが、此方は固有スキルの効果もあったし上手く行ってたな。だけど今回でコツは掴めただろうからそのコツを忘れず他の[青]魔法の発動ともう一つの〈主〉の[白]魔法も行っていこうと思う。ただ[白]に関しては特殊な所も有るからその特殊な奴だけ教えるわ。メインは[青]な。以上だが何かあるか。」
「それじゃあ今まで通り午後の修行ではより実践的になったという事でしょうか。」
「まあそうだな。大きくは変わらないけど色々攻撃魔法を覚えて備えなくちゃな。」
「何に備えるんです?」
「あー? それは近い内教えるよ。そういえば前に真っ白って言ってた本有るだろ? あれ読めるようになってきている筈だし見ておくと良いぞ。」
「? は、はぁ、分かりました。」
どうやって白紙の本が読めるようになったのだろうか。疑問に思ったが見れば分かるので特に聞かなかった。その後も幾つか話ながら今後の方針を決めつつ反省会は終わり3日目も無事に終わるのだった。
そうして4日目が始まろうとしている。4日目の朝、
「悪い。俺今日一日出なきゃ行けないから今日は一日魔法の勉強していてくれ。明日に色々と試してみようと思うからそのつもりで頼むわ。」
そう言ってバタバタと準備してあっという間に家を出ていった。
あまりに早い行動で呆気にとられ何も言えなかった。最初に師匠が言っていた通りの予定に沿って進んだ事の方が少ないんだけど。
とは言え明日はずっと実践的に修行をすると言われたからには師匠がいないからといって遊んでいる訳にはいかない。急に出掛けてしまったのだしそういえば白紙の本でも見て見ようかしら? と思って大人しく一日本を読んで過ごしているのだった。
最も白紙の本は一部読めるようになっていてその内容はこの世界の歴史、そして200年以上前の悲劇についても書かれていた。が、途中で読めなくなっていて真相全てをまだ知る事が出来なかった。読んでいると何となく誰かの視点で描かれている印象が有ったがきっと気のせいだと思う。その後読めた事を言ったら「全部読めたら言ってくれ。」と言われたので歴史に感想も何も無い気がすると思っていた。しかし、全部読めた時に私はこの本の意図に気付き悩むが自分の気持ちに正直になり過去は過去と割り切る事にしたのだった。
俺は急いで家を出る。今日一日で用件を全て片付けなければならないからだ。先ずは薬を街に届ける。その御礼もそこそこに工房に向かう。そしてメシスに届けると「夜には出来上がる様にするから取りに来い。」と言われそれに頷いてメインの目的の一つである場所へ向かう。
「相変わらずでけーなー。出来れば来たく無い所なんだけどなあ。はぁ。」
俺が向かったのはエルシリラで一番大きい場所でこの街の大事な王族達がいる場所、城だ。
何故向かったのかと言えばそれは此処にいる魔術長ファーリアに会うためだ。城に入ろうとしたら門番が止めてきた。
「誰だ? 城に入るには許可がいる。」
めんどくせえ。今日は城に来るために体裁を整えた筈だから知ってると思ったんだけど新人なのかぁ?
此処で倒しても問題になるし説明した所で理解してくれそうにも無さそうだ。やっぱり正面から来るのは間違っていたかもしれないな。とか考えてどうしようか悩んでいると門前に見知った顔が近づいてきているのが見えた。
「その方は私が呼びました。通して構いませんよ。」
「此れは失礼しました。魔術師長ファーリア様。」
そう来たのは俺が会いに来たファーリアだった。しかし俺は会いに来るなんて一言も言っていないが何故俺が来ること読んでいたんだ。
「此処では何ですから中にご案内します、ノト様。」
笑顔だが考えている事が分かりにくい此奴は嫌いだ。しかめっ面をしながら案内されるままファーリアの後ろを付いて行くと先程の門番から「ファーリア様が様付けするって彼奴だれだよ。」と話し声が聞こえてきた。彼奴らは十分小声で話していたんだろうが聞こえているぞ。まあ俺は気にしないけどな。何を言われようが興味無いし。てか、俺の事を知ってると思ったのだが案外分からないものなんだな。教えとけよって思うが。
そして歩き続けて城内にある魔術師が多く所属する魔術師教会の敷地に入り一つの部屋に通される。そこは魔術師長の部屋だった。彼女の机と思わしき場所には大量の書類やらなんやらが積み上がっていた。
座る様勧められ椅子に座ると戸が叩かれ俺の唯一の魔術師教会のもう一人の知り合いであるカノがお茶を持って来ていた。こいつ補佐官じゃなくて雑用係じゃないのかとか思いつつ先ずは依頼物を返す。
「依頼されていた物は全部解析した。幾つか参考になる物も有ったから貰ったぞ。後は要らないものは削ったからそこそこ使える様にはなって居ると思う。まあ扱える奴は限られるだろうが異質な雰囲気の奴らにだったら合うんじゃないか。ハハッ。」
「そうですね。参考にさせて頂きます。また何か有れば依頼しますね。」
本当に喰えない女だ。こういう奴は嫌いなタイプだ。俺の面倒が加速するし。思わず舌打ちしてしまう。
「ああ、ところで手紙は受け取れたか?」
「ええ、受け取りましたよ。あんな事わざわざ書いて渡すものでも無いでしょう。わざと、ですね?」
「あ゛あ゛? 性格知っててあんな事やりやがった事に対する御返しだよ。良かっただろう?」
「貴方様らしいといえばそうでしょうね。私に『覚えとけや、この野郎』何て、野郎でも無いですし前に約束した事を返されただけでしょうに。フフッ。」
あーあ。本当に疲れる、早く帰りたい。シンドイ。
「相変わらず顔に出るのは変わらないのですね。フフッ。折角ですし幾つか質問にお答えしますよ。」
「あーそう。それじゃあ色々と聞かせて貰おうか。古代の秘術とされていた異世界からの勇者召喚を成功させたんだな。まあ俺が思っていたより人数は多かったが。それに彼奴は今俺が面倒を見ているが追い出すなんてひどい事してくれるな。後はそうだなー。これで貸し借りは無しにしてくれるのか?」
「前から成し遂げたいと言っていたのが漸く叶ったのです。確かに追い出した事は悪いと思っていますが此の魔術師長の席を押し付けた対価としては中々釣り合うので良かったと思っています。やや借りが大きかったですか? でしたら、この城内の一室を何時でも使えるようにでも致しましょうか。あの少女の為に必要になるかもしれませんしね。色々と便宜を図らねば貴方様が本気を出せば国が丸ごと一つ消せますしね。」
「そんな野蛮な事しねえし。俺の事どう思ってんだよ?」
「冗談ですよ、分かってます。……ノト様は戻られる気は無いのですか?」
「あぁ? 戻る訳ないだろう。堅苦しいのは嫌いだし何より俺が面倒くさいのを避けているのは知ってるだろう? 俺は表立ってやる事を増やす気はない。………だがそうだな。ファーリアが戻ってきてほしいと本心から思っているのなら自分の育てている勇者達が俺の目に止まれば考えてやろう。その方が実力が分かるし何より面白い、退屈しなさそうだ。」
「本当ですか?」
「ああ、本当だよ。………どうせ俺の授業に出す気なのだろう? 3日後のお披露目前に……まあ、別に構わないが、」
「………。」
目を細めて今以上に低い声で自分の考えを端的に伝える。
「変な態度でも取ってみろ。無事でいられると思うなよ。」
ユリナからの事情を聞いてろくでもない奴等という認識が俺にも出てしまって思い出して少々気分が高ぶってしまい、殺気が漏れてしまった。ファーリアは何も言えずに口を継ぐんでしまった。
「よろしく頼むよ。」
何も答えられないだろうと思い通り俺は溜息を吐き殺気を抑える。そして表情を一転させ笑顔を向け俺は部屋を出る。
俺は一人で部屋を出て城を出ようとした際に途中で召喚されたと思わしき幾人かの男女たちとすれ違った。何やら俺の容姿について何かを言って笑っていて「話し掛けようか?」とかコソコソと喋っているがそんな会話は頭に入ってこなかった。俺も楽しく笑っていた。だってそんな楽しい考えをしているだろう彼ら、彼女らにとって大きく変わる事が起きるはずなのだから。見た感じ1ヵ月程たっている筈なのに強いと感じる奴は一人といなかった。此処には勇者はいなかったのだろうか。まあどうでも良いけど。
これからを考えると楽しみで仕方なくてつい笑みも深くなってしまうというものだ。
そんな楽しい気分のままメシスから出来上がった物を受け取りに行ったので滅茶苦茶怖がられた。俺が笑っているだけで怖がられるってどういう事だよ。朝一にいって頼んだ割には良い出来上がりだったので俺は文句を言えなかったし取り敢えずイラッと来て脛を蹴って憂さ晴らしした。出ていこうとした時後ろからグチグチと言われていたけどスルーした。
そして今日の最終目的地に移動した。日は落ちたばかりで夜を告げる時間帯だがきらきらと昼間の様に明るい町を歩きながら俺は幾つかの情報を収集しながらこってりとした食べ物を食べ胃もたれをおこし、後悔しながらも欲しい情報を収集できたので帰路につくのだった。
〝街〟と〝町〟の使い分けしてます。今は触れませんがかなり先の未来で書こうと思ってますので今は意味合いが少し違うんだなぁ。と軽い感じで思って頂ければと思います。




