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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第1章
15/103

15話 察知と訓練という名の遊び


 休憩を終えて洞窟に入る前に魔力の放出量を調整する。広げていくと師匠がニッコリとしてから頷いて中へ進んでいく。その後を付いて行く。さっきの一件があって妙に私の方をチラチラ見て気にしている。ちょっと過保護になり過ぎでは無いかとは思うけどあんだけ泣いたら流石の師匠も申し訳無くは思うようでクスクスとバレない様に笑う。察知系は思ったより簡単で先程より集中せず楽に出来ている。そうして入口からずっと進んだところで大きい広間に出た。そこから何個か道が分岐していた。



「どの通路が奥に行けるか魔力をもう少し広くして一気に調べてくれ。一個ずつじゃ時間が掛かるからな。」



 通路は全部で3本だったが一気に調べるとなると物凄く多くの魔力を放散しなければならない。しかも魔物に気付かれない様に薄く。


 そうして右の通路が奥に繋がる事が分かったがそれと同時に左の通路にいた魔物に気付かれてしまった。



「気付かれた様だな。数はいくつだった?」


「……15体です。」


「正解だ。それではあまり血が出ない様処理しよう。」



 師匠はどういう方法で倒すのだろうか。どうにもさっき見た光景を思い出しぞっとするが魔物は待ってはくれない。姿を現した魔物は此方を認識すると襲い掛かってきた。


 咄嗟に判断できず固まっていると師匠が右手を魔物に突き出しその瞬間15体全て凍り付いた。



「!?」


「ん? ああ穏便に済ませてみたけど此れでもまだ無理か?」


「い、いえ。氷……ですか?」


「[青]魔法の上位だ。水が上手く操れれば凍らせることも熱湯を出す事も可能だ。今回は血を出さない様にするために使ってみた。いずれユリナにも使える様になるんじゃないか?」



 師匠は[属性色]をどれだけ使う事が出来るのだろうか。[緑][黒][青]の3つは確実に持っている。〈主〉か〈副〉かは置いといても師匠はこれ以上に持っている気がする。確かに血は一切出さず穏便に済んだことで気分は悪くならなかったもののそんな事よりも師匠の強さに驚きを隠せない。呆然としていたら声を掛けられ置いていかれそうになるのを追いかける。



「先に進むからまた察知展開しろよ。」


「え、あ、はい。」



 下に続いている右の通路を察知を発動させながら進んでいく。そうするとまた大きい広間が有る事に気付く。それと同時にまだ魔力の放出量が多いのか広間にいた多くの魔物に気付かれる。しかもその数が先程の比にならない位いる。



「……っ。」


「ククッ。その反応は気付いたみたいだな。数は分かるか。」


「……数は……50……ですか。」


「うーん。残念だけど広間はもう少し奥に広いからもう少し範囲を広げてみると100以上いそうだぞ。」


「……。」



 思わず絶句してしまった。察知がまだ出来ていないとはいえそこまでいるとは思わなかった。



「あの、師匠?」


「ん? どうかしたか。」


「この洞窟ってこんなに魔物がいる所なんですか?」


「んー、どうだったかな。頻繁に来る洞窟じゃないし詳しくは知らないけどちょっと多いかもなぁ。ハハッ。多い方が訓練しやすくて良いとは思っていたがこんなにいるとはちょっと予想外だったなあ。アッハッハ。」


「え、それどういう事ですか。もしかして、」


「おっと、ゆっくり話している暇はないぞ。魔物は此方に気付いて倒そうと声を上げ始めた様だしな。」



 もしかして師匠は多い事を知っていて来たのではないかと思い聞こうとしたら遮られてしまった。しかし、それを気にしていては魔物にやられてしまう為気を引き締めて広間に出ていった。


 本当にその洞窟には100体以上の魔物がいた。幸いな事に通路を出たのは魔物がいる所より高い所で、階段で下に降りていく様だが下には多くの魔物が此方に気付きそれぞれ雄叫びを上げて殺気を振りまいている。


 実際に魔物の数を見て再び固まってしまったが階段を使って魔物は近づいてきている。



「折角高い所に出たし訓練には数も多いし良さそうだな。よしっ、決めた!」



 悠長に師匠は独り言を話していたがそんな事よりこの光景を見てというより近づいてくる魔物に対して攻撃をしなくていいのだろうか。


 近づいて来たのに対して焦っていても私はまだ何も出来ないので師匠が何かをするまで待っていた。



「取り敢えずはー……。」



 ――――ドカーン。



 と大きな音がしたと思ったら師匠は階段を壊してしまった。呆気にとられ見ていたが魔物は階段が壊れた事で此方に近づくことが出来なくなり騒いでいる。中には壊された階段の所に居た魔物は落下してダメージを負ったのもいた。というか爆発って。もしかしてだけど[赤]魔法だったりするのだろうか。恐くて師匠の[属性色]を聞かないようとすると誓う。

 ―――凄く先の未来で師匠の生い立ちと[属性色]を聞いた私は驚愕しつつも納得したという。



「うん、大丈夫そうだな。時間は稼いだし此れから行う修行の趣旨について説明していこう!」


「……もしかしてですけど楽しんでます?」


「勿論! じゃなくてそんな事無いぞ。」


「……本音出てますよ。」


「まあまあ、細かい事は気にすんなよっ! 此れからやる事説明するからよく聞いてくれ。」



 そんな楽しそうな顔で仁王立ちしないで欲しい。少しは本音を隠して欲しい。釈然としないけど話が進まないので返事を返す。



「……はぃ。」


「先ずは状況としてこの高台はもう隔離したし魔物は寄って来れない。だから此処で[青]魔法を試してみよう。イメージする時間もたっぷり取れるし何より一方的に当てる事が出来る。別に倒さなくても練習だから水を作り出し球体にして放出する。この3段階が出来るまで察知系スキル特訓は一時中断だ。何体当てる様にしようか。うーん。」



 察知系スキルは中断とは言っても魔法の練習は洞窟を出てからという意味の後でやる修行では無かったのでは? と思うが師匠は割と思いつくと止まらないと、この数日間で知ってしまったので黙って聞くしか無い。できれば数は実現可能の物にして欲しいんだけど。



「決めた! 数は関係無しにユリナが当てた魔物を俺が凍らしていく。時間30分で何体当てれるかにしよう。それじゃあ今からスタート。」


「え、えー。」



 合図とばかりに手を叩いてパァンという音が響く。急に始まってしまったがやるしかないので兎に角イメージを強めて先ずは水を出す様にする。少しでも操作が上手くいくよう杖も取り出す。因みに此処に来るために服は正装じゃないといけなかったので服の上からローブを羽織っていた。杖についてはバッグにしまっていたので取り出した。因みに普段師匠は魔法を使う時杖を使っていない。杖はあくまで補助的な役割で必須では無い模様。高度な魔法には使う様だが魔力がきちんと操作できていれば不要らしい。私はまだ粗が有るらしいので使った方が良いと言われた。


 現在の状況に戻る。普段料理して水を使っているせいか水を出す事に関しては直ぐにできたが形を球体にするのには中々上手くいかなかった。イメージするものの放出させる動作に行くまでに形が崩れてしまう。


 10分後漸く球体に維持する様にして落とす様にして先ずは一体に当てる事が出来た。その瞬間その魔物は凍ってしまった。



「10分でできるようになったか。それじゃあ後20分間程は後どれだけ当てられるかな。クックック。」



 楽しそうに笑う師匠を気にせず坦々と同じ作業を繰り返していく。魔物は仲間の一体が凍った事で動きが変わるかと思いきや気にすることなく声を此方に挙げて威嚇しているようにも感じる。時折石などを投げてくるが飛距離が足りず仲間の魔物に当たって喧嘩している様子もある。



 そして、度々師匠からの魔力の供給をしつつ20分後――。



「はい、終了ー!」


「はあ、疲れたー。」



 思わずドサッと崩れ落ちて座りながら下をちらりと見ると広場の半分は凍っていた。つまり50体ほどは当てる事ができたという事だ。



「ふむ、上々の結果だな。思ったより上手く出来ていたしこれは帰りはやる事無くなりそうだな。」



 そう言った後ひんやりした空気を感じた。その瞬間残っていた魔物の声がぴたりと止んだ。


 また師匠が残っていた魔物を一瞬で凍らせたようだ。



「結構魔力も体力も消耗しただろうし飲んでおけ。」


「はい。ありがとうございます。」



 回復薬を渡されそれを飲み干す。疲れが徐々に癒えていく。



「さてと、結果発表といこう! 最初はまあ水球が出来るまで10分。結構早かった方だな。その後の当てた数も予想より多かったかな。最後の方は少しペースダウンしたがその原因は固有スキルの効力が、魔物が少なくなった事によって薄くなった事で難しくなったところか。それでもいい結果だけどな。」


「確かに最後の方は球体を上手く作るのに時間が掛かった様な気がしました。逆に作れる様になった後の方は調子が良かったです。こんなに差が出るんですね。」


「固有スキルが強い事が分かった所で無事確認も終わったし奥に進んで目的の物を採集しに行こう。勿論察知スキルは修行してもらうけどな。」



 壊した階段を[緑]の土魔法を使って師匠は修繕すると降りていく。通路を進んだ後ヒュッと風切音が聞こえてきた気がするが「気のせいかな?」と思って気に留めなかった。


 この後魔物に見つからず上手く察知して奥に辿り着くとそこは様々な色の鉱石が輝いていた。その中で蒼色の鉱石のみを採取していく。そうして採集を終えると満足した様に来た道を戻っていく。何故か先程の空洞には凍らせた筈の魔物が一匹もいなかったが何処に行ったのやら。察知スキルを使っていたが結局反応を察知する事が出来なかった。



 洞窟を抜けて森では再び気配遮断のスキルを使いながら採集をして(師匠は指示した後見ていただけ)街まで戻ってくる。今回のクエストを報告すると私のギルドカードの提示を求められた。言われるがままギルドカードを渡すとハンコの様なものを押すと返された。



「ユリナさん、おめでとうございます。今回の依頼でDランクに昇格です。どうやら洞窟の魔物の素材の量を考えると異常でしたので報告してくださったということとその前に有る森の中での採集品も多いようでしたので。此れからは一つ上のCランクの依頼も受けられる様になります。また今回の様にランクが高い人とパーティーを組んだ場合でも高いランクの依頼を受ける事が出来ますので自分の実力等を考慮しながら選択して下さい。どちらの方法でも構いません。」


「あ、ありがとうございます。」



 返却されたギルドカード(冒険者としての証になるカード)にはDランクと表示されていた。そして洞窟の様子を言われてやっぱりかと頬を引きつらせる。ランクアップは嬉しいが確信犯の師匠に言いたい事が沸々と沸き上がってきた。



「今回の報酬額は此方になります。お受け取り下さい。」



 渡された金額はとても多かった為、驚きつつも受け取り師匠に渡そうと思って後ろを見たら居なかったのでキョロキョロと見渡すといつの間にか師匠はクエストが張られた掲示板を見ていた。一緒に素材を渡したのにギルドカードのくだりをやっている間に歩いて行ったのか。それにしても早すぎるし気配が消えたのも分からなかった。



「師匠ー? 報酬貰ってきましたよ?」


「ああ、それは全部ユリナにやるよ。」


「ええー、こんなに貰っても困りますよ。」


「前にお金について色々思っていたんだろ? 自分で取ってきたんだから受け取っておけって。それは、今後、自分の為に使う様にすれば良いんじゃねえの? 俺はどうせお金に困ってないし気にすんな。」



 全然受け取る気が無かったので仕方なく貰った報酬をバッグに入れた。



「それじゃあ報酬多かったので夜を豪華にするのに買い物に行きましょう。」


「疲れてないのか? 俺は早く帰って寝たいんだが。」


「そんなこと言わず食べたい物作りますから行きましょうよー。それに師匠には色々と文句を言いたいんですよねえ。確信犯だし直ぐ弄るし、ああ! 折角だしこの話をカリナリーさんかシファルさんにでも話そうかなあ~! 折角の冒険譚だし多くの人に聞いて欲しいし! どうしようかなあ~!」


「あ゛あ゛ーーー!! もう分かったから、行くから。ぜってえその話そいつらに言うんじゃねえぞ、脚色されて俺に色々と言ってくる未来が見えるぞっ、くそっ。ユリナも良い性格してんなぁ。はあ、でも帰ってから今日の反省会やるからなっ。」



 師匠の扱い方が分かってきた気がする、新鮮な反応に爆笑しながら買い物を済ませていく。不満気な表情を浮かべながら黙っている師匠も気合を入れて作った夕食を食べて機嫌を直したようで内心チョロいなあとか笑っていたがまた不満になられると面倒なのでそんな良い気分で反省会に臨んだ。疲労感は残るものの充実した1日だったと思う。





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