表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第1章
14/103

14話 固有スキルと気配遮断


 昨日と変わらず今日も一日頑張ろうと気合いをリビングで入れていた所で扉が開く音がして其方を見ると師匠が大きな欠伸をしながら起きてきた。


 声には出さなかったが「起きている………だと!?」と何度やったか、そしてこれからもやるだろう茶番を心の中で行い伸びをしていた腕が止めていると今日は素材を収集しに行くので午前中に魔力操作を行い午後に街に降りるそうだ。


 という事で諸々を済ませた後、急いで外に出る支度を整え昨日と同様に魔力操作を行っていく。3日目にしてそこまで深く集中せずとも行えるようになって来ていた。昨日は1時間やったら休憩を取るという形を取っていたが今日は2時間ほど続けて行っていたそうだ。「そういえば。」と言われてアンティーク調の時計を渡される。此れも魔法道具として何か作ろうとして特に何も思い浮かばずに持ち歩き用の時計として使う事にしたけれど普段から時計を見る癖が無いらしい。時計自体は結構お気に入りらしく「使ってくれた方が(物は)嬉しいだろう?」と言われて受け取った。私もデザインは結構気に入った。


 今は休憩中で時計のやり取りを行っていたのだがそろそろ修行に戻らなきゃ、そう思っていたものの中々師匠が魔力を指輪に流さないので疑問に思って首を傾げても、じっと見てきているので声を掛けようと思っていたら、



「……今、ステータスを確認してみよう。これは思ったより早かった。」


「? ステータス確認ですか。分かりました。」



 何が早かったか分からなかったが取り敢えずステータスを開く。



〔 桜城百合奈 17歳 人間

  魔法使い Lv15 (適正〈主〉:青 白 〈副〉:黄 )

  スキル:心汲  魔力:520 〕



 昨日の今日で何故伸びたのかというのはもう魔力操作はもう完璧に出来たとの事らしい。後は実際に魔法の練習を繰り返していくらしく思わず「おぉ~! やったぁ~!」と声を上げて喜んでしまった。余りに無邪気な感じの振る舞いだったので、師匠に爆笑されて我に返り恥ずかしくなってしまった。という事が有り、今後は基礎として魔力操作、応用編として魔法を使う修行も取り入れていくそうだ。

 それともう一つ見慣れない表記が有る。『スキル:心汲(シンク)』昨日までは無かったものなのだが、ものの数時間で獲得できるものなのだろうか。それよりもこれはどういったスキルなのだろうか。



「大分ステータスが伸びたし漸く()()スキルも発現したな。前触れは有った様だし当然と言えば当然だが。」


「ステータスの伸びについてはレベルアップの恩恵としてこれってどういったスキルなんですか。それに固有?って言いました? 唯のスキルじゃないんですか。」


「そんな一気に話されても答えられないぞ。取り敢えず午前中は一旦終わりにするからそれは家に戻ってから話そうか。」



 そう言って家に戻ると着替えをして、終わったらメモを用意して来いと言われたのでメモを持ってリビングに出てくると師匠は既に座って待っていたので向かい側に座りメモを取る準備をする。



「それじゃあ先ず固有スキルというものについて話していこう。唯のスキルと書いてあるが実際此処に表示されるべきは扱える”技名”ではなく”その人のみの唯一無二のスキル”が表示されるんだ。城で見たスキルは技名でも書いてあったんだろ? 全く何処まで管理下に置きたいんだよってのと、にわかのくせして知ったかぶりして嘘を教えているもんだから、手の付けようがねえよ。その辺はいいや、どうせユリナにはもう関係無いところだし。んで、今そのスキルを持っているのはユリナのみという事になる。それで肝心の効果だがそれは俺には分からない。ユリナしか持っていないスキルだからな。」


「えっ! じゃあこのスキル意味が分からないままじゃないですか。」


「待て、焦るな。俺に〝は〟と言っただろう? 自分の事なんだ、ユリナは自分で確認する事が出来る。スキルの効果をステータスから詳しく見れると思うぞ。」



 じっとスキルが表示されている所を見ていたらスキルの詳細が表示されたので読んでいく。



「………。」


「多分今見えているんだろうが俺もどういったものか知りたいから書かれている文章を読んでくれないか?」


「………え、あ、読みますね。『相手の気持ち若しくは感情を察知しオーラとして見える。相手の負の感情によって自身のステータスに+補正が入る』だそうです。」


「やはり、推測と大体合っていたな。多分それは相手の強さによって発動できない場合や、しにくい状態も出そうだな。それでも戦闘していく上では中々良いスキルだな。実践じゃないと分かりにくそうだが固有のスキルは一つしか発現しないという訳でも無いし強くなっていけば更に強い固有スキルが獲得できるかもな。とは言っても凄く先の事だろうが。」


「発動しない場合も有るんですか。」


「レベルが高い相手に補整かかってもステータス差があるから厳しい事も有るだろう? 後は相手が感情を上手くコントロールすれば意味が無いことも有るだろうがそんな超人いねえから強いスキルだと思うがな。」


「ふむふむ、そうですか。でも、私はそんなに強そうに思えないですねぇ。」


「おいおい、割りとチート性能じゃないかと思うぞ、言ったが完璧に感情をコントロールなんて出来ないし、戦闘になれば相手は倒そうと躍起になってくるだろ? 多分その感情は負の方に含まれるからステータスの補正が入ると思うぞ。」


「成程………。そう考えると強いかもですね。」


「兎に角固有スキルに外れなんて殆ど無いと思って良いぞ。勿論このスキルは例え仲が良い奴にも言うなよ? ヨシッ、これから素材収集行くしその時にでも効果を確かめてもいいかもしれないな。もう少し休憩したら街に降りるから用意しておいてくれ。」


「はーい。」



 時計を見ないと言った割りにはきっかり30分だけ休憩した所で街に向かって歩いて行った。



 来たのは数日ぶりの冒険者ギルドだった。ギルドに入るやいなや周囲の人の視線を集めているのも無視して師匠が適当にクエストを選択してカウンターで受理してもらう。その動作に迷いはなかった。どれだけシファルさんに会いたくないのか分かってしまう、今日はいなかったけどいつ出てくるか分からないからいないと分かっても動きを遅める気配は無かった。何枚か取っていた依頼のクラスをちらりと覗くとCランクの物も有った。しかし、すんなりと受ける事ができた。私はまだEランクだったのだが、師匠のランクはいくつなのだろう?


 クエストを受けて街の外に向かっていると今回行う事に関して説明を受けた。



「メインとなって必要になるのは街から20分程離れた所にある洞窟の最奥にある鉱物。そこに向かう途中で森を抜ける必要が有るから森と洞窟で狩る事が出来る魔物と採集できる物を取りながら向かおうと思う。」


「採集は兎も角、魔物討伐って、私攻撃の魔法とか習って無いんですけど。」


「実践訓練だ、そっちの方がほのぼのやるより効率良いし。先ずは[青]魔法で水の球を作ってみてそれを相手に当てるというのと、気配遮断とか察知系を訓練しようと思う。別にユリナに倒せとは直ぐには言う気は無いから、そこは気にせずやってくれ。」



 ”魔法”はイメージが大事になってくる。どんなに魔力が高くても自分の得意な[属性色]とイメージが強固でなければ発動しないそうだ。それに対して”魔術”は仕組みと少しの魔力があれば威力は大なり小なり有れど魔力があれば誰にでも扱う事が出来るらしい。私は使う事が出来なかったが「魔法使いは”魔術”を使えないのかな?」とも思ったが師匠は実際”魔法”も”魔術”も使っているのでどういう事なのか知る必要がある。最も後に聞いた時の答えが「仕組みがちゃんと理解できていなかったんじゃないかー?」とか「才能?」とかどや顔をかまされたのでイラッと来た私は今回覚えた水球を顔面にぶつけようと放ったら風の魔法でガードされて滅茶苦茶神経を逆撫でする煽り顔を見せられたので物理で腹パンした。あんまり効いてなかったけどその行動は予想外だったらしく暫くお腹をさすっていて「ザマァ」とか思っていたのは内緒。



 話は戻るが師匠が言っていた[青]魔法を使う水球もそんなにポンポン出来るものでは無いと思ってしまうのだが簡単そうに言っていた辺り少し”魔法”に対する感覚が違うのだろうか。


 色々と話しつつ考え事をしながら5分程歩いた所で目の前の景色を見ると森が広がっていた。森に入る前に師匠が止まったので私も止まった。



「さて、着いたな。早速だが森に入る。まあ、行きは気配遮断の方をやってみるか。魔力操作が出来る様になったから先ずは全く出さない様にしてみようか。気付いていないだろうがユリナは意外にも魔力を周囲に垂れ流してるし。てことで、魔力を元々ある魔力溜りに全てを内包させる感じでイメージだ。まあ、イメージは自分のやり易い様にで構わない。洞窟に着くまではずっとそれを意識してくれ。洞窟に着くまで魔物に見つからず到着したらクリアだが最初だしなぁ、うん。一桁までなら合格としよう。二桁以上の場合はもう一度此処まで戻ってきてやり直しでもしようか。」


「……。」



 正直師匠は緩くしてくれたのだろうがそれでも初めてやるのにまだ厳しい気がするので黙ったまま眉をひそめてしまうと師匠はそんな様子に少し微笑みながら真剣な声音で話す。



「まあ、言いたい事は分かる。確かに気配遮断よりも戦って強くなるの方が大事に感じるだろうが時には戦わず逃げる選択をしなければならない時もある。そういった時に魔力を垂れ流しながら逃げてみろ。魔物は気づいて追い掛けてくるぞ、特に強敵には気配遮断なんて意味が有ったもんじゃねえ時も有る。………取り敢えず今回は練習だし出来るまで挑戦してみようか、()()だしな。それに思ったより時間は有るし。」



 笑顔で怖い事を言われるが日本に住んでいた頃とは環境が全く違うのだ。こちらの世界では死は隣り合わせでもある事を忘れてはいけない事を思い出す。訓練とは行ったが実際そうは言ってられない時も出てくるかもしれない、そう考え気を引き締める。


 集中してイメージ、魔力を内に秘めていく感じ。目を閉じると師匠が言った様に自分の周りに魔力が漂っている事が分かる。その魔力を少しずつ中に取り込んでいく。



「………ん。準備できたようだな。それじゃあ、行こうか?」


「…はい。」



 森を歩く音だけが聞こえてくる。私は師匠の後を付いて歩いて行っているがその顔には既に汗が浮かんでいた。


 魔力を操作しながら歩くのが意外にも疲労を覚え大分消耗してきていた。歩くスピードが速い訳では無く、普段と変わらずゆっくりめで一定に保たれている。しかし、森を入って僅かしか経っていないが歩くスピードが大分落ちそうになって着いていくのに精一杯になりつつあった。


 今は未だ一体も魔物に見つからず進めている。師匠も気配遮断を使っているが私とは違い涼しい顔で行っている、それ以上に私が気を抜けば場所を見失ってしまうかの練度だった。私は森を抜ける時間が後どれ位か分からないし今声を出せば集中が切れてしまいそうになる為必死について行くこととイメージを切らさない2つの事だけを心掛ける。



そうして更に数分経って来た所で集中が切れ掛けてきて少しずつ魔力を外に放出させる回数が増えてきていた。運よくまだ魔物には会っていないがいつ来るか分からない。


 疲労している中でも集中し続け歩き続けなければならない。師匠は私の様子をちらりと見つつも直ぐに進行方向に顔を向ける。どんなに大変で乱れてきていても歩くスピードを遅くするつもりはない様でそのままで変わらず歩いて行く。



 そうして遂に魔物と会ってしまった。



「……ゴブリン、3体か。初めての魔物遭遇で今のカウント3だ。」


「はあ、はあ。」



 初めてゲームじゃなく、リアルの魔物に遭遇する。魔物は嬉しそうに声を上げ、持っている棍棒を振り回している。改めて死というのが身近にある事を知らされ、若干の恐怖を覚え集中が切れそうになり、自然と呼吸も荒くなる。



「集中は絶対に切らすな。兎に角魔力の操作だけを頭に入れるんだ。魔物に関しては無視しろ。」



 そう鋭い口調で言われた直後に私の目元を師匠が隠しその瞬間風が吹いた。すると騒いでいた魔物の声がピタリとやんだ。師匠の「あ。」と後悔するような小さな声音で言った後、目元に手を覆ったまま師匠は私に話し掛けた。



「....本当は見ない方が良いんだろうがその内見なければならない。見るなら早い内が良いからこの手を退かそうとは思っているが目の前の光景に声を上げても集中も切らしても新しく魔物がやって来るかもしれない。どうする? 嫌なら今はこのまま隠したまま通り過ぎるぞ。それが出来る訓練だからな。」



 静かになったこの状況から考えるに多分この手を退かして見える景色は良い物では無いだろう。それに此処で見なくても良いという選択肢も有り集中して行っていく上では見ない方が良いと思うし師匠も選ばせてくれている。しかし、今は訓練だから融通は利く。が、本番になれば見なくて済むという事は無い筈だ。



「………どんな状態でも集中するための修行でしょう? 耐えて見せます。」


「……そうか。それじゃあ手を離すぞ。」



 そうして師匠の手が目元から外され少し明るさから目を細めて段々と見えてきた瞬間、視覚からは頭と体が別れてしまっている魔物の死体、嗅覚からは濃密な血の匂い。その光景から顔を顰め、声を上げそうになったが両手で口を塞ぎ何とか抑えて若干漏らしてしまった魔力を抑え再び集中する。私は俯いて集中したので知らなかったのだがその時の師匠の顔は後悔と謝罪が入り雑じった顔を見せながらも歩き始めていたという事に。



 そしてそれからは一体の魔物に会う事無く森を抜けた。森を抜けるまで15分くらいだったのだが1時間位森の中にいた気分だ。



「もうリラックスしていいぞ。それに悪い事をした。怖い思いをさせてしまった、すまなかったな。」


「……。」



 集中を解くとあの魔物のことを思い出し怖くなってしまい腰が抜け座り込んでしまった。ゲームの中では敵意を向けられても血が出ていてもディスプレイ越しだったので、気にせず出来ていたけど全て現実になってしまうと全然違う。その恐怖をひしひしと感じてしまった。そしていつの間にか目から大量に涙が溢れてきていた。


 まだ魔物がいるかもしれないという事を忘れるほど声を上げて泣いてしまっていた。


 そんな私を気遣って師匠は座り込んだ私と同じ目線に屈み頭を撫でてきてばつが悪そうな顔をしていた。私は屈んできた師匠に思わず飛びついて泣いていた。師匠は何も言わずに私が落ち着くまでずっと頭を撫で続けていてくれた。



 暫く泣き続けて漸く落ち着いてきた頃に自分の状況を客観的に見て恥ずかしくなって師匠から離れる。



「す、すみませんっ。」


「いや、気にすんな。それよりも落ち着いたか? 取り敢えず気配遮断は合格だ。まさか一発で成功されるとは思っていなかったが。次は察知系統を鍛えようと思う。洞窟内は複雑だから行き止まりにぶつかる事も魔物と遭遇する事も森と比べると多くなるだろう。それを回避しながら奥に進んでいく。今度はさっきよりも難易度は高くなる。魔力をうっすら広げて探っていくからな。此処で魔力を飛ばしたら気付かれるのではないかと疑問に思うだろうが、うすーく魔力を張っていくんだ。こんな風に、な。」



 そう言われたが全く何も感じなかった。首を傾げ師匠を見ていると苦笑される。



「………?」


「疑問に思っているが魔力を敵に感じない様にして自分だけが気付くようにするための察知だからな。魔力を感知すると引っ掛かりがあるからそれで気づく筈だ。後、さっきので大分魔力も体力も使ったし回復薬でも飲んで休憩を挟んだら洞窟に向かうとしよう。察知系は不合格とか無いからどんどん失敗して魔力の量を覚えていってくれ。………出て来た魔物に関しては、まあ、穏便に倒すとしよう。」



 こくんと頷き、渡された回復薬を飲んで15分程休憩した所で洞窟に入っていった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ