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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第1章
13/103

13話 ちょっとした騒動と贈り物


 あの後ポツンと取り残された私は朝御飯や午前中やる事を振り返りながらてきぱきと行動した。昨日寝こけてしまったので「今日こそは!」と思い先ずはボサボサの髪を直したり着替えをして気分をスッキリさせた。


 そして買った日に幾つかピックアップしておいた本を読み進める。前の世界では読んだことが無い知識が多いので読むのに時間はかかるけど科学とはまた違った楽しさが魔法にはある。日本にいた時はよくファンタジーの小説を読んで色々としてみたいなあと想像を膨らませつつ現実に返って「夢物語だ。」と気を落とした事は数えられない程有る。この世界も夢世界かもしれないとこの家に来てから何度も頬をつねって夢じゃない事を実感してニヤニヤしていた事も有る。環境の変化によってワクワクしていた。けれども今は上達しない事への焦りも感じていた。まだ修行を開始してから2日目だけどそれでもこのままだったら。と思ってしまうのをやめる事が出来ない。


 そんな事を頭の片隅で考えながらも暫く読み耽けりながら時折メモを取っているとガタガタと物音が聞こえてきた。その音が小さかったり大きかったりと断続して聞こえてきたので集中が途切れ本を閉じ顔を上げる。そして視線の先の外の様子を見るとお昼近くになって居る事が分かり師匠が起きてくる前にとキッチンに向かい昼の準備を始めようと思い立ち上がると今まで聞こえていた物音がピタッとやんだ。そういえば何処から聞こえていたんだろうと考えを巡らせ「師匠寝てないのかな?」と思った瞬間ボンッという割りと大きめの爆発音(例えるなら水素爆発の実験の音よりも強めみたいなもの)が聞こえてきて思わずビクッと反応し吃驚して固まっていたら師匠の部屋の扉がゆっくり開いた。その扉から白い煙が溢れてきた。段々と私の意識が現実に戻ってきて「ちょっとヤバくないか?」と冷や汗が出てきた。


 私が焦り始めてたらゲホゲホと咳き込みながら師匠が出てきたと思ったら扉を開けっ放しで何かぶつぶつ言い始めたのだがあの惨状は気にしなくていいのだろうか。何と言っているかは全く聞こえないが煙は未だ部屋から溢れてきていてそれに気付いていない様なので考え事をしている様子の師匠で冷静になった私はちょっぴり溜息を吐いて仕方なく声を掛けに行くことにした。



「やっぱり用途以上の使用は………ブツブツ。」


「師匠ー! 聞こえてますー? 部屋から煙出てますよー! 考え事の前にどうにかしてください。こっちまで煙が来ていますー!」


「………あ?」


「いえ、あ? じゃなくて、煙出てます。」


「? ……あっ。……やべええーー。何でこんなに煙出てるんだよ!」


「えぇ……。」



 考え事から戻ってきて自分の部屋を振り返ってやっと惨状に気付き慌てて動き始めた師匠に呆れる。取り敢えずきちんと伝えたことでもっと酷い惨状が広がらなかった事に安心して部屋に戻って慌てながら何か文句を大声で言っている師匠をスルーして昼を作り始める事にした。


 これからが本番。魔力操作の再挑戦だ。


 ………師匠は大丈夫だろうか。そう思ってちらりと部屋の方に視線を向けると煙はもう出ていなかったけど何やらまだ何か有る様で焦っている声が聞こえてくる。凄く不安なんだけど、



「まあ、いっか。」








 先程何が有ったか俺から簡単にだが説明しよう。俺は二度寝をしようと思って部屋に戻った訳だがふとアイデアが浮かんできて仕事に取り掛かった。そして、ある魔法道具の調整を続けていて何度も使用実験をしていたのだが何処までが限界か知りたくなったという興味から少々改造を加えてしまった。許容量を越えたものはどうなるか目に見えているだろう? それが今の結果なのだ!! 実験成功(?)やったぜ! ………コホン。前は一人で住んでいたので結構実験を派手にやっていたという癖のせいで今回もつい没頭して周囲の事を気にせずやり過ぎた。まあ、そのお陰というかそんなんで、毎回惨状に気付くのが遅れて修繕が大変になって居たんだが家に住み始めたユリナに声を掛けてもらい「そういえば一人じゃなかった。」と、馬鹿みたいにはしゃいでいた自分にちょっと恥ずかしさを覚えながら部屋の状態が酷くなる前にどうにかできた。今回の一件で今後はもっと気を使っていかなければならない事を再認識できたので大丈夫だろう、多分。そして、それが大丈夫じゃない所までがデフォルトで有るだろう、うん。きっとというか必ずまたやらかすのが目に見えるぜ、フッ。


 なんて馬鹿な事を考えて部屋の惨状をどうにかしようと戻って騒いでいた俺に、声を掛けた後「知ったこっちゃねえ。」とでも言う感じでユリナが呆れながらも気にせず昼を作りに行ったことが驚き、少し悲しくなったのだが、俺の事を何だと思っているのだろう。まだ数日の付き合いだぞ?


 結局ユリナが昼を用意していてくれたお陰で惨状をどうにかした後直ぐに飯に有りつけたので文句は言えなかった。取り敢えずジト目を向けて見ていたら「何でしょうか?」と言いたげな感じでニッコリ笑顔を向けてこられたので視線を反らし黙った。だって、目が笑って無かったよ、流石の俺も怖くて見ていられなかったよ。


 まあそんな事が有ったが昼食後、今日も広場に向かう。先程までの茶番は何処へやらと思う程、ユリナは緊張している様だった。但し昨日に比べると大分落ち着いている様に見える。憑き物が落ちた感じか?



「自分のやりやすい様にやってくれ。」


「……はぃ。」



 そう言って俺はユリナの様子を見ながら端の方に胡座をかきながらボーッと見る。悪戦苦闘している様だが昨日に比べると大分魔力が上手く廻っている。少しずつでは有るが上達してきている。本人は失敗する度に肩を落とし、気合いを入れ直しまた失敗してというのを繰り返していて、それが必死そうなので気付いていないようだが。


 そんな様子をクツクツと気付かない程度に笑いながら眺めているとふと俺の頭に重さが伝わってきて目だけ動かして見ると鴉が止まっていた。ずっと見ていると鴉は少し苛ついた様で俺の方を見下ろしながら、若干足でゲシゲシと叩いたりしてくるのでこれ以上叩かれる前に用件を受け取ろう。



「分かったから、叩くな。にしても、もう来たか。助かるよ。」



 そう伝えて俺は鴉が運んできた小箱を受け取る。受け取ると鴉は溜息を吐くような感じで一鳴きしてから飛んで行った。


 俺は飛んでいく様子を眺めながらふと視線を感じて視線を下げると、鴉に対して声を上げた事で誰と話しているだろうと疑問に思ったのだろう、ユリナが此方を見ていたので俺は受け取った小箱をそのままにユリナに渡す。



「烏に話し掛けていたのはスルーした方が良いんですか。 ん? 此れ何で私に渡すんですか? 師匠の持ち物じゃないんですか。」


「元々は俺のだけど要らんからユリナにやる。それに箱を開ければ、中見れるんだし分かるだろ?」



 ユリナは首を傾げつつ疑問に思いながらも、言われた通り小箱を開けて中身を見ると俺と中身を交互に見て驚いている。



「え?これって………」



 俺がユリナに渡したのは”指輪”。但し唯の指輪では無い。俺が前に作った魔法道具『吸魔の指輪』。その効果は指輪に触れた者から魔力を吸収するといった物だがそれだけだと無意識化で付けていた本人からも魔力を吸ってしまい指輪自体が魔力を保有してしまうので、しかも指輪自体の素材が魔力と同調しやすい良い素材なので俺の高い保有魔力をかなり持ってかれた。その日動けなくなって処分すら考えたほどだ。しかし、何とか出来ないかと改造を施し、相手が許可した時だけ指定した量を吸収し保有者に変換するという風にした。


 作り変えたもののそもそも使用者がいないし俺一人しかいないし意味ねえな。と無駄な時間を使った割りに使用用途が無くて保管もとい、肥しになっていたのだがユリナのまだ魔力を上手く操作できず垂れ流し気味になっている魔力を俺から補充しやすくする為に久しぶりに探し出したのだ。ただ問題があるとしたら作った指輪の大きさが大きすぎてユリナの指ではブカブカでつける事が出来なそうので俺と同じ()を持つ知り合いに頼み大きさを少し小さくしてもらい先程俺が受け取った小箱の上から、嵌める人の指に合うようにする付与魔法(エンチャント)をしたのでぴったりはまる事だろう。


 此処で”何故大きさを小さくしたのか。大きさを合う様にすれば小さくする意味が無かったのではないか”という疑問を生じるがただ単にその時はエンチャントするという方法を忘れていただけだ。また取り出した指輪をよく見るとデザインも少し変わっているので”彼奴”が機能を失わない程度に変えたのだろう。



「ああ、見ての通り指輪だ。それは俺が前に作った『吸魔の指輪』という魔法道具なんだ。今まで使い処なくて良い出来なのに死蔵していたものだ。効果としては相手が許可すれば魔力を指輪を介して身に付けている者に譲渡できるというのと、嵌める人の指にぴったりはまる様になっている。」


「えぇ? 本当に良いものですけど何に使うんですか。」


「何にも何もユリナが使うんだろうが。魔力操作が上手くいってないんだから。上達するまでは俺が魔力を譲渡して修行を続けて貰おうと思ってな。昨日は倒れるまで気付かなかったのは悪いと思ってたし今日からはそうなる前に合間ごとに休憩を挟もうと思う。何度も倒れたれちゃ(飯の都合とかで)困るし。」


「そうですね。確かに(修行が中断して進みが遅くなるし)困りますよね。でも、休憩は少なめで大丈夫です。」



 若干認識の違いが合ったがお互い気付かない。



「そういう訳にはいかないな。ユリナの魔力量と今の操作状況だと休憩はしっかりとるべきだ。ただ我武者羅にやれば上手くなるという物でも無いんだ。………おっと、忘れる所だった。指輪が使えるか早速試したいからつけてみてくれ。上手く動作するかも確認しなきゃいけないし。」



 俺が「はよ。」と急かすものの何故かユリナがもじもじと恥ずかしそうにしている。俺としては上手く動作してくれるか試したいし早めにつけてほしいのだが。上手くいくかという期待でそわそわしているとユリナが漸く左手の人差し指に嵌めたのを見て速攻俺はその手を握って指輪に魔力を渡すのを許可すると少々魔力を吸われた感覚があったので上手く動作してくれた。そしてユリナに魔力が渡されている事も見えていたが本人にも確認を取って最終確認する。



「魔力は回復したか?」


「………。」



 黙ったまま首を縦に振ったので上手く行ったようだ。何故か固まってしまったユリナに疑問を持ったが気にせずに、これ位使えるのならもう少し改良して作ってみるのも悪くないかもしれない。そう考えて今後の改良案だったり新しい仕組みを思い付いたりしてニヨニヨしながら思いに耽っていた。


 なので、俺は気付かなかった。ユリナは固まっているだけでなく頷いた後ずっと下を向き続けて耳まで真っ赤にして赤面している事に。


 その後固まったユリナが漸く再起動を果たし、俺も考え事を一区切りつけ、思い出したかの様に「前やった魔力循環を受け渡すだけ出来ないのか。」と聞かれたので「相手の魔力の波長に合わせなきゃだし段々と変わっていく魔力の波長に合わせるとか怠いからヤダ。」と真面目に答えたら「いつもの面倒ですね。」と呆れながら返され、遂に語尾が〝ですか。〟から断定の〝ですね。〟に変わってしまった。悲しくないよ、うん。







 ()()から幾度か休憩を挟み、時に魔力を回復し思い出しながらへにゃっとなってしまう事を繰り返し、夕方になると6~7割程は出来てきていると師匠から言われたのでそんなに出来ているのかと驚きつつも昨日からの急成長に思わず泣きそうになった。


 それよりも私としてはこの指輪についてだ。渡す時から師匠の目は凄くキラキラしていて魔法道具が上手く行くのかという事しか頭に無い様だった。もう少し思う事があるのではないだろうかと思っていたのだが結局師匠は私の意図を理解してくれず(全く私の様子に気付かず考え事に没頭していたし)私は切り替えて半ばやけくそに気味に午後の修行に取り組んでいたが上手く行ったのだから何とも言えない気持ちになりつつ挽回出来たことにほっとする。因みに左手の人差し指につけた理由は、精神力を高めたり、積極性を引き出す。そして、進むべき方向を指し示す指と言われていると前に見た事が有ったからだった。じっくり見た訳では無く流し見の記憶なので、間違っているかもしれないけど。私自身が必要な事だと思って付けてみたがその意味合いを師匠は分かっていないと思う。


 今は家に戻って師匠と今日の一日での結果などを話している。



「そういえばユリナは前より体が軽くなった感じがするとか何か感じる事は無いか?」


「うーん。言われると昨日よりは結構集中してやっていたと思うんですけど疲労をあまり感じてないしすっきりした感じもしますね。」


「まあ、そうだろうとは思ってたけどな。取り敢えずステータスを確認してみようか。レベルかなり上がっていると思うぞ?」


「え、レベル上がっているんですか?」


「いや、確認してみないと分からないが多分というか絶対上がっている。」



 ステータスを開いてみると大きく目を見開いて見間違え出はないかと驚いてしまった。



〔 桜城百合奈 17歳 人間 

  魔法使い Lv7 (適正〈主〉:青 白 〈副〉:黄 )

  スキル:空欄  魔力:190  〕



「こんなにレベル上がるんですか!?」


「あぁ? 思ったより上がってねえな。今日で大分魔力を操作できるようになったし寧ろもう少しレベル上がると思っていたんだが。まあ今後はレベル上げにくいと思うが魔力を完全に操作できるようになるまではこんな感じでレベル上がるだろうし明日からも頑張れよ。てか城でも周りの奴等はどうせ訓練だけしかやってなかったのにレベル上がってたんだろ?」


「確かにそうでしたね。あまり覚えてなかったので。でもこれは頑張れますね!」



 両手に握り拳を作って胸辺りで鼻をならし力を込めている。こんな風にレベルとして結果が見れるとモチベーションが上がるのだろう。現段階で魔力操作を完璧に行えるようにするという目標を立てて、その為にも努力していこうと決意新たにしたユリナを見ながら2日目を終えた。






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