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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第8章
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92話 事後処理と新たなる冒険へ3



先ずは私がカリナリーさんと会ったのは修行を始めるために必要な物品を揃えに行った時。その時は特に疑問を抱かなかったのだが今考えるとどうにも言い回しに引っかかる所があったのだ。時折用があって街に降りてくるノトさんと久し振りというのは間違いでは無い。実際に寄る用事が無ければ久しぶりの再会だったのだろう。では何処が、と言うと



「昔から無茶苦茶していた。」



と確かに言った。ノトさんもその時はお前もだ、とは言っていたが無意識だったようでブツブツと文句を言っている時ふと自分の発言に疑問を感じたような素振りを見せた。本当に一瞬だったため私はただ不機嫌そうな部分しか記憶に残らなかった。



「ふふっ、私との初めて会った時の会話を思い出してピンと来たのかしらね〜。」



私の考えはそんなに読まれやすいのだろうか。



「顔に出てるもの〜。言われなかった〜?」



キッと隣を睨むと視線を遠くに投げて私の目線を合わせないノトさんがいた。



「出会った頃と二人は変わらない感じね〜。」




そう言ってからカリナリーさんは懐かしさに目を細め話し始める。




カリナリーさんは良いとこの商家の生まれの次女だったらしい。上に家督を継ぐ長男、同じく秀才で天才な長女、そして自分。二人に負けないようにとたゆまぬ努力だけで食らいついていた。しかし、立場的に自分はどんなに頑張っても嫁がされる運命は変わらなかった。成人になると自分が何の職業が適しているか『鑑定』されると言う。方法は私が城で行ったような形と昔も殆ど相違無いと言った。上の兄姉きょうだいは商売をするのに適した職業、非戦闘職の『商人』だったそうだ。だから関連したスキル習得は早く、優れていたという。自分も例に漏れず天才では無かったものの『商人』であろうと信じて疑わなかった。



「え、『魔法使い』......?」



突き付けられた現実は残酷だったに違いない。同じ世代の子とさえ遊ぶことなくただ父母のような立派な商人になる為に努力した結果がこれなのだから。そしてこの時代は『魔法使い』と鑑定された成人したばかりの子達は必ず『魔法』を扱うための勉強や訓練をするため出奔しなければならなかった。



「当時は魔法使いなんていっぱいいたけど、基本はそういう家系でしか産まれることが無いと言われてたから突然現れた私はとても異端に見えたのでしょうね〜。」



大きな金額が家族には支払われ、一人家を追い出され学び舎に案内される。そこは決まった建物が有る訳では無い、一人の案内が無いと行けない場所だった。聞いた時は牢獄かと思ったそうだ。けれど、実状はそんなことは無く楽しげに暮らす年代様々な人が居た。



「今日からお世話になるカリナリーと言います。ご指導よろしくお願いします。」


「そんなに畏まらなくても此処は上限関係ではなく横繋がりの友人関係として接してもらうようにしておる。喋り方は自由じゃが気楽にしてくれて構わないぞい。」



そう言ったには沢山の魔法使いに囲まれている賢者様だった。キョトンとしていると此処は魔法使いが主だがそうでない者も居るという。良き人間関係を作る社会勉強をする為に来ているというのだ。魔力の扱いが認められれば一人の個としてこの世界に降り立つことが出来る。それを可能にするのが賢者の役割。



「例え余所者が入ってきても暖かく出迎えるのがそこの流儀らしくてね〜。メシスも私と似ている理由だったせいか直ぐに意気投合してね〜。」



メシスさんは逆に鍛冶屋の三男坊。同じく生産職で、なかった為に少し時期は遅かったがやって来たという。背景が同じの二人は仲が良くなり結婚までは早いペースだった。


そうして数年後に魔力の扱いに関して最終テストをすると言われていた時に会った。自分以上に虐げられたと分かる程のみすぼらしい姿と怨みの篭った眼が特徴的な少年。昨晩に拾ったという賢者の言葉で全員が差別なく迎え入れようと歓迎しているのにも関わらず恐怖と畏怖、怨嗟などの複雑に絡み合った負の感情を顕にしていた。そんな様子で、最初は賢者にしか懐いておらず隅っこで静かにしている事が多かった。



「ちゃんと栄養は取らないと駄目よ〜?」


「...........。」


「.....カリナリー。」



過去にどんな事があったかは知らないが見覚えのある渦巻いている感情を少しでも和らげて欲しかった。割りと残っているメンバーでは年長になりつつあった自分がどうにかしなければならないと思っていたというのもあったそう。



「置いていくから食べてね〜。」



何の返答もしない少年だったが翌朝近くに置いたはずのご飯に少し手を付けた跡があった。だが少年の姿はそこになく賢者の話を一生懸命聞いている姿が目に映る。自分の存在に気付き見られたくないものを見られたようなそんな表情をしたが賢者から一言、二言何かを言われた後困惑した表情に変わる。裸足のままぺたぺたと歩いてきて少年らしからぬ低い声で言葉を発する。



「お前は何故僕に構う。」


「......何となく似ているように見えた、からかしら〜。」


「....お前と僕は違う。僕は死んだ方が良い化け物だから。お前は人だろ。」


「.......ふっ、ふふふ。」


「っ!なぜ笑うっ!?」


「いえ、面白いことを言うんだなと思ってね〜。自分を化け物と言う癖に人と同じくお腹が空いて、こうやって会話をしたり。あまりに理性的なんだもの〜。これを笑わずにいろという方が無理ね〜。」


「......お前、僕が怖くないのか?」



確かに纏う雰囲気は恐怖を煽られる。放って置けば壊しそうな危うさも見え隠れしていた。だからこそ正直に答える。



「何言ってるのかしら怖いに決まってるじゃない〜。」


「じゃあっ!」


「ヒトがヒトを警戒し先入観を持って怖がるなんて当然に決まってるじゃない〜。それでもここに居る皆は貴方と仲良くしたいと心から思ってる優しい人ばかりよ〜。それでも怖いと思うなら強い心を作ると良いわ〜。若しくは自分を支えてくれる、支えてあげたいそんな大切な人を見つけるのも良いわ〜。端から怖いという言葉で片付けるには浅慮だと思うわよ〜。」


「?お前の言葉は難しい所がある。けど分かった。取り敢えずお前と仲良くするところから始める。」


「え?」



気を少し緩めてぎこちない笑みを浮かべて少年は自分の疑問を抱いた声を無視し話を続ける。



「僕は、レ........いや、乃斗だ。15歳で世間知らずだがよろしくお願いします。」


「私はカリナリーよ〜。名乗ったかもしれないけどね〜。............え、15歳なのっ!?」



15歳と言ったノトは、明らかに同世代よりも小さく痩せ細っていた。大きく見積もっても12歳、10歳くらいにも見えなくも無い。なんとなくの生活環境が見えてきて、こと細やかな経緯を知らなかったとはいえ、固形のご飯を出してしまったことにサーっと青ざめていく。



「.......栄養。」


「え?」


「少しでも体に良いものとバランスの取れた食事を食べるべきね〜!!」


「???」

















「あら、意外にも私の方が恥ずかしいわね〜。」


「あはは......。」


「そこから少しづつ周囲に溶け込めるよう努力していた彼はたどたどしいながらも良かったわ〜。」


「.............。」


「これが最初の出会い。そして、私たちが何故『魔の叡智』に所属し、貴方たちを貶めようとしたのかは簡単なのよ〜。」



そう言って悲しげな表情をしたカリナリーさんは話を続ける。





そもそも『魔の叡智』は魔王による今の世界の破壊と新たなる世界の創成を大義名分としていた。


それなりに順風満帆でやっていたと賢者の元を卒業した後、噂話で聞こえてきた。自分の実家とも呼べる商家。だけど裏では違法に奴隷を扱っていた。そんなこと当時は知らず良い噂は一変、次に聞こえた話では一族郎党処刑されたという残酷な内容だった。それは私だけでなくメシスも例に漏れず奴隷を従わせる道具を作成していたと言うことで同じく処刑されたそうだ。この事を秘密裏に調べるとどうにも裏で別人物が自分の行いを隠すため、名誉を守るために大量の賄賂を持ってして、でっち上げたことだと調べがついた。



「タイミング的には彼が前の魔王を倒すため、躍起になっている時だったわ〜。」



事実を知った後にこれからの事を予知した他の長齢の魔法使いから誘いがあったのだ。


「こんな世の中を許せるのか。」と。


当然家族と完全に縁を切っていたならば気にしていなかった話だが、賢者の元を卒業した後に会いに行った家族は何の偏見も持たず接してくれたのだ。それは個が認められていたというのもあるとは思っていたが兄姉きょうだいの目線は昔と変わらず心配に満ちていた。勝手に出て行くよう決めた父親を責め立てていたと母親から聞いた。


メシスも同じような感じで真っ先に無事であることをほっと息をつかれたそう。



罰を受けるべき存在がのうのうと生きている世界を怨み彼らの企みに力を貸すこと決めた。



「くだらない話だと思ったでしょ〜。でもね〜。これだけは間違えないで欲しいの〜。私たちが貴方たちに確実に害を成そうと考えていたこと。」


「..........。」


「あんなに優しくしていたのに。と思うかもしれないけどね〜。」


「考えていた、ですよね。私達お二人には何もされてないと思いますが。」


「俺も同感だな。特に何かをされたと微塵も思っていない。」



ノトさんはしっかり話を聞いていたようでカリナリーさんの言葉を否定し、私の意見を肯定する。



「まあ、メシスの作業が終わったらお前らの処遇をはっきり決めてやるよ。さっきも言ったが死以外だけどな。」










その後、作業を終え、ノトさんが発表した決定事項にカリナリーさんもメシスさんも目を丸くしたのは少し面白かった。












本年は最後の投稿になります。今年も、ですが色々とお騒がせとご心配、更新が止まるなどご迷惑をお掛けしました。

あくまで作者のペースで、となるとどうしても書けない時期がありまして。言い訳になりそうなので深くは言わないです。


そしてこの投稿が100本目で、50万字突破という快挙(?)を達成しました。飽き性な私がよく続けているなと思っております、はい。


これからも皆様にはお待たせしてしまう事が多いですが何卒長く、まったりとお付き合い頂ければ思います。


それではまた来年もよろしくお願いします。


一応明日も同時刻には投稿予定です笑

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