4-2 異能力測定
第三王子シーベル=アメジスト。
国王ガルガ=アメジストと女王レーネイア=アメジストの間に生まれた王子。人族であれば、誰もが知っている王族の名前だ。
「なっ……!?まさか、第三王子シーベル様っ!!」
まさか≪学校≫に王族がいるとは誰も思っていなかったのだろう。全員が動揺した様子でシーベルのことを見つめている。
「あまり騒がないでくれ。ここは≪学校≫だ。身分は関係なく、みな公平だ。」
ザワザワとどよめく全員を手を挙げて冷静にさせるシーベル。
「シーベル様、俺がまず測定機に乗ってきますね。」
シーベルの後ろに控えている二人の男女。男の方がそう言って、測定機に向かった。乗るとすぐに測定機の上に数値が表示される。
『94』
「きゅうじゅう……よんっ!?」
今までにない高い数値に講堂内が盛り上がる。
測定機に乗った護衛の男は大した喜びを見せずにシーベルの下に戻る。
「さすがだな、テッド。」
「次は私が乗ってきます。」
女の護衛もそう言って測定機に向かう。先ほど高い数値が出たばかりで、全員の視線も自然と測定機のモニターに集中する。
『91』
「ちっ。」
テッドと呼ばれた男よりも数値が低いことが悔しいのか、不満そうな表情でシーベルの下に戻る。
「俺の勝ちだな、カナ。」
「うるさいっ!誤差だ、誤差。」
カナと呼ばれた女の護衛とテッドが言い合う中、ついにシーベルも測定機に向かった。
「それでは、俺も測定するとしよう。」
シーベルが自信満々に測定機の上に乗る。そして、表示された数値を見てその自信の意味を知った。
『102』
「こんなものか…。」
初めての百を超える数値。それは、平均が七十前後の数値の中で飛びぬけていた。
「俺のパーティーは強者だけを求めている。俺とテッドとカナ、残り二枠。俺の満足いく数値を出した者は俺のパーティーに加えてやろう。」
測定機から降りたシーベルは全員の方に向かって高らかに宣言する。挑発的とも取れる態度であるが、たった今見せられた異能力の数値に全員がビビッて何も言い返せないでいた。
シーベルは壁際まで戻ると、テッドとカナとともに再び傍観に回る。
高い数値が出た直後なだけに測りに行く者が途絶えるなか、カヤの横にいたアンジュが動き出した。
「ふーん、面白そうね。私も測ってみようかな。誰か一緒に行かない?」
「ミレアも測ってみたいです!」
単純な好奇心でアンジュとミレアが測定機の方へと向かう。カヤとアレスは、測定機に向かうことなくその場に佇んでいた。
「ミレアから測ります!カヤさん見ててくださーい。」
測定機の前でカヤに向かって手を振るミレア。カヤとアレスがミレアに向かって手を振り返す。
そして、測定機の上に立ったミレアの頭上に数値が表示された。
『117』
それは、先ほどの自信満々の王子の数値を遥かに大きく超えていた。
王子を含めた講堂内の学生たちが目を見開いている。
「じゃ、次は私ね。」
ミレアに代わって測定機に乗るアンジュ。みんなの意識がミレアの数値に驚いている中、ミレアを大きく超える数値をたたき出す。
『152』
ミレアとアンジュの連続した異常なまでの数値に、誰もが呆然としてしまっている。ミレアとアンジュの異能力の数値は、先ほどまでとは明らかにレベルが違う段階にいることを示していた。
「へっへーん、どうよ。」
「さすがです、アンジュさん。ミレアはまだまだですね。」
自慢するように帰ってくるアンジュと、謙遜しながら帰ってくるミレア。
ほとんどの者の視線を釘付けにしていることには気づいていないようだ。
この瞬間ここにいる者の多くは、アンジュの数値がこの中でトップになる数値であるだろうと確信していた。それほどまでに平均とかけ離れた数値であったのだが、次に測定機の上に乗った人物がアンジュの数値を軽々と追い抜いていく。
不意に騒然とする周囲。
カヤたち四人も、みんなの視線に合わせて測定機の方に向いた。
そこに表示されていたのは、アンジュの数値を大きく超える数値。
『170』
七十前後を平均としていた者たちよりも、百も大きい数値。
測定機の上でつまらなさそうな表情で立つ銀色の髪をした少女は自分の数値を確認することなく、下を向いたまま測定機から降りたのだった。




