3-15 追撃
第3章のタイトルを【学校入学編】→【入学試験編】に変更しました。
【学校入学編】は第4章のタイトルとして使用します。
「ここからは【追撃】の真髄を見せてあげる。」
お互い挨拶代わりに一発ずつ攻撃をくらわせたところで、ベティもカヤも相手の力量を理解した。ベティはカヤに対して遠慮はいらないと判断すると、カヤから距離を取ったその場でまわし蹴りを放った。
「朧蹴り。」
ベティのまわし蹴りは何もない空中で弧を描く。
そして次の瞬間、カヤの体がぶっ飛ばされる。
「なっ!!」
横からの蹴りをくらい、地面の上を転がるカヤ。その正体が先ほどのまわし蹴りによって発生した【追撃】であると理解するのに時間はかからなかった。
(距離は関係なしってことだな。ベティ先生がその場で攻撃動作をするだけで、不可視の追撃が襲ってくるわけか。)
「どう…?けっこうえげつないでしょ。さて、それじゃカヤさん、なんとか踏ん張ってみせてね!」
ニッコリと笑ってカヤに向かってピースポーズをすると、ベティはその場で鋭い蹴りをシュシュシュッと三発放った。
「連続朧蹴り!」
「マジかよ。」
ベティの動作を見たカヤはとっさに顔の前で腕を交差させて、衝撃に備える。
だが、【追撃】の発生個所はベティの自由自在なのだ。顔を防御するカヤの腹部に鋭い蹴りが【追撃】によって三発撃ち込まれる。
「まだまだいくよー。」
先生の立場を忘れ、戦闘自体を楽しみ始めているベティ。
戦闘好きとしての一面がカヤとの戦闘によって、表面に現れてしまっていた。
相手の休む間を与えず、三発蹴りの動作を入れた後にそのまま体を一回転させて跳び蹴りを入れる。
(攻撃が来ると分かっていれば受けきれないこともない…。)
顔だけは腕を使って防御し、腹は力を込めて気合で耐える。最後の跳び蹴りを腹の筋力で抑え込むと、ベティに向かって接近する。
「攻撃動作をさせなければ、良いってことでしょ!」
先ほどからの攻撃でベティが蹴りを得意としていることは分かった。
次の攻撃が入る前に、ベティの足を狙って突進する。
「そう来ると思ったよ。」
身体能力だけで見ればベティよりもカヤの方が上。カヤの攻撃に対して、ベティが後出しで対処するのは不可能に近いが、予想されていたとなれば話は別だ。
ベティの足元を狙ったカヤのタックルは、華麗に避けられてしまう。そして、カヤの背後に回り込んだベティ。勢いそのままのカヤを地面に叩きつけるように背中へと向けて高く上げた足を振り下ろした。
「かはっ…。」
肺の中の空気が押し出され口から漏れ出る。疲労した体に【追撃】によって二度目の蹴りも振り下ろされた。
「私が女だからと思って油断していたでしょう。確かに身体能力は私より上ですが、戦闘経験はまだまだのようですね。」
勝ち誇ったようにカヤの背中をぐりぐりと踏みつけるベティ。
「まだ勝ちを確信するには早いんじゃないでしょうか。ベティ先生。」
ベティに踏みつけられたまま、カヤはまだまだといった気迫で背中にあるベティの足を掴むと、力任せに振りほどいた。
想像以上のカヤの腕力に引っ張られて、ベティが一瞬ふらつく。
カヤはその隙にベティの足元から抜け出すと、ふらついたベティの足を両足とも掴んだ。
「な、何する気!?」
両足を掴まれたベティの上半身が地面へと倒れる。スカートの中から見える白い布を気にしないようにして、カヤはベティの足を持ったままその場で回転を始めた。
ブンブンブン、とベティの体が回転に合わせて遠心力で空中に浮いていく。
「多少、痛い目を見るでしょうけどお互い様ですよね。ベティ先生。」
「いやっ、やめて!!止まって!!」
勢いよく回転を付けたカヤは、そのままベティの両足は離して放り投げた。
「キャアァッー-!!」
甲高い悲鳴を上げながら、ベティの体は放物線を描いて飛んで行く。ダンッと地面に打ち付けられた後も、地面の上をバウンドしながら最終的に地面の上を滑っていくベティ先生。
途中で眼鏡が外れてしまっており、ポニーテールにしてまとめていた後ろ髪もほどけてしまっている。
だが、砂まみれになったベティ先生はゆっくりと立ち上がった。
「もうちょっと痛い目を見せてあげるわ……。」
ベティは完全に切れていた。
敵対しているカヤをぶちのめすことだけを、考える。
「連続朧蹴り。」
そして、放り投げられたことによってできたカヤとの距離をいかしてベティはその場で怒涛の攻撃を始めた。
もはや何発かも分からない。止まることのないベティの攻撃をカヤは先ほどと同じようにして、気合だけで受けきっていく。
「さっきスカートの中見たでしょ。これは、そのお返しよ。」
攻撃を耐えているカヤをあざ笑うようにベティは、下から上に足を振り上げる。
そして、恐ろしいことにその【追撃】は男にとっての急所めがけて行われた。
気合だけで攻撃を耐えていたカヤも突然の股間への衝撃に震え上がる。とっさに股間を手でガードして以降の【追撃】に備えるも、がら空きになった顔や腹部めがけて【追撃】が発生する。
「思った以上におっかない先生だな、ははは。」
今もベティの攻撃の手はやんでいない。少しでも反撃の兆しを見せれば、先ほどのように股間を狙った【追撃】も考えられる。さすがに何度もくらいたいような攻撃ではない。
「痛かったかしら?その手をどけてくれれば、何度でもさっきの攻撃をおみまいしてあげますよ。」
カヤに反撃のチャンスすら与えない為にベティは止めることなく攻撃動作を行っている。
股間を守るカヤの体にベティの【追撃】が幾重にも襲い掛かる。
「仕方ないか…。俺もまだまだだな。」
次話で3章ラストです。




