2-11 お前の異能力は沈めさせてもらった
≪ミュール村≫内部にて繰り広げられようとしていた魔人ガルーダによる暴虐。友人であるキュールを助けるために飛び込んだザワロワであったが、魔人ガルーダの手下である白装束の魔人ベイの力によってキュールもろとも地面に拘束されてしまった。拘束された二人に迫りくるガルーダの爆拳。当たれば必死。かすっただけでも致命傷になりかねないその危険な攻撃は――、
「っな!?なにもんだてめぇ!!」
直前のところで間に飛び込んだカヤによって阻止される。カヤの両の手のひらでガルーダの拳を受け止めたのだ。
ガルーダの顔が驚愕に染まる。自身のパンチが受け止められたこと以前に、あり得ない事実に気が付いて。
「遅すぎよ、カヤ。」
「ああ、ほんとギリギリとはいえ間に合って良かった。」
そんなガルーダをよそに、パンチを受け止めながらカヤは後ろへと振り向いてザワロワへと返事をする。村についた勢いそのままに飛び込んだためにあまり確認できなかった現状の結果に目を向け、そして視界に入り込んだものを見て慌ててザワロワから目を逸らした。
ザワロワの腕の中で安心したようにこちらを見つめるキュールの存在に気が付き、そして彼女が全裸であるということも。
「ええと…、ザワロワ。俺は魔人族について詳しくないから知らないんだが、その…、魔人族ってのは裸を見られることに羞恥心とか感じないのかな?」
「…?何を言っているの?そんなわけ………」
カヤが言わんとしていることに気がついたザワロワの顔が真っ赤に染まる。時は同じく、ザワロワの腕の中で少し落ち着きを取り戻したキュールも自身の現状に気が付き、ザワロワ以上に耳まで顔を赤くして叫んだ。
「イヤアアアァァァーーーーッッ!!!」
カヤの耳をつんざくような金切り声。慌てたように体を動かそうとするザワロワとキュールであったが、ベイによる拘束のせいか未だに体の自由が効かなかった。
「いや、どうしたんだよ。恥ずかしいならちゃんと服を着させてやれば――、」
「動かないのよっ!!私もキュールの体も!!てか、こっち見んな!魔人も人も関係ないわよ、恥ずかしいものは恥ずかしいんだからっ!!」
ザワロワの必死の形相にきまずそうに再び目を逸らすカヤ。カヤも男である。綺麗な女性が全裸でそこにいるのだから、視線がチラチラとそこに動いてしまうのは仕方のないことだった。ザワロワの体で隠されてるとはいえ、後ろ姿はバッチリと何もかもが見えてしまっているのだから。
「俺様を無視して、いつまでもダラダラと。てめぇはなにもんだって聞いてんだよっ!!」
そんなカヤたちのやり取りに怒りが爆発したガルーダ。再び腕を振り上げると、カヤめがけて振り下ろした。
ドンッ
体の中に深く響くような重低音。ガルーダのパンチは再びカヤの手のひらによって受け止められていた。
「やっぱり。てめぇ【不許可者】だな。そうじゃなきゃ俺様の【爆発】が二度も発動しないわけがねぇ。」
ガルーダの顔がカヤの前に突き出される。お互いがお互いの目を睨み、凄まじい殺気となって衝突しあっていた。
「惜しいね。【不許可】ってわけじゃないんだ。ただ、お前の異能力は沈めさせてもらっただけなんだよね。」
「……っ!!」
異能力とは自身の体の一部のようなものだ。使い慣れればどんどん、息をするのと同じように自然と使うことができるようになっていく。その体の一部とも言える異能力の消失、自身の体に降りかかっている違和感が間違いでないと気づきガルーダの顔がさらに怒りに染まっていく。
「ふざけんじゃねぇぞっ!!ベイっ。」
「かしこまりました。仕方ありません、そこの女を裸のまま縛り付けておくのも一興でしたがあなたを優先対象として拘束させてもらいます。」
白装束の男がガルーダの後ろから飛び出してくる。カヤの視線がベイという魔人に向けられるが、ガルーダがそれを許さなかった。
「オラオラオラッ!!いつまで耐えられるよぉ、【爆発】がなくても俺様のパンチは何発も受けれるほどやわじゃねぇぞっ!!」
勢いに任せただけの連続パンチ。それでも、体格差が大きい相手の連続攻撃にカヤも防戦一方になっていた。
(ちっ。一発一発は受けられないほどじゃなけいど、無防備でこれをくらうのはちょっと危ないかもな。)
次々とカヤへと迫るガルーダの拳。それを受け止めるカヤの足元の地面がその衝撃で凹んでいく。ズシン、ズシンとガルーダのパンチが振り下ろされるたびに地面に亀裂が走り、凹みも大きなものへと変化していく。
ガルーダとカヤの攻防。その隙を狙って、ベイの術が完成する。
「もらった!影固定っ!!」
ベイがさっと地面に手をつく。ベイの手のひらから黒い影が地面に発生したかと思うと、その影はゆらゆらと揺れながら、カヤの影へと合流した。瞬間―、
「っ!?……何をした?」
カヤの体がまるで誰かに操られているかのようにピタッと停止したのだ。ガルーダの猛攻のなか、腕をまっすぐ体の横につけて気を付けの姿勢で。
「わりぃな。これで終わりだ。」
無防備で立ち尽くすカヤの顔面にガルーダのパンチが直撃する。自身の何倍もあろうかという拳を無防備な顔に一撃もらったカヤはそのまま村の中央にある集会場まで吹き飛ばされた。
ザワロワとキュールは、ザワロワを下にしてお互い抱き合ったまま地面に拘束されています。なので、キュールの前側はザワロワによって隠されているわけですが、後ろ側は隠されていないままです。つまりお尻は出ちゃってるってことですね。




