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昇る沈没者  作者: 安来 光
第2章 魔の森突撃編
33/72

2-幕間1 進級式

 ≪カルソト村≫の何倍もあろうかという人の数。店が連なる大通りを目まぐるしい数の人々が行き交っている。目当てのお店を探す者、店先に立って自身の店をアピールする者など様々だ。そんな喧噪行き交う通りからも見える巨大な建物。ここ王(・)都(・)において王城の次に巨大な建物では、多くの若者が集っていた。


 異能力育成施設、通称≪学校(スクール)≫。

 冒険者を目指したい、異能力の知識を得たい、ただ単純に強さが欲しい、そんな動機を持って全国各地から多くの若者が王都へとやってくる。三年という短い期間の間に、魔物との戦闘、異能力のトレーニング、対人戦闘など異能力の向上に繋がる基礎から応用、その全てを学べる場所。


 そして今日、次なる入学者を迎えるために在校生たちの集会が行われていた。

 進級式と呼ばれる集会に参加した生徒たちは二年もしくは一年の間、実際の魔物と戦闘を経験している猛者の集まりである。学校のシステム上、冒険者と同等、もしくはそれ以上の依頼を受けることもあるため一部の生徒たちはすでに冒険者となんら遜色ない実力となっていた。


 進級したことで三年生と二年生になった在校生たち。来賓である国王や、その他講師の人たちが登壇し話をするなかで、最後に現れる人物に対しては今までとは比較にならないほどの生徒たちから羨望の眼差しが向けられる。


 校長《スクールマスター》と呼ばれるその女性は、温かな笑みを浮かべながら生徒たちの前へと登壇した。一歩一歩ゆっくりと生徒たちの前に姿を見せる。蒼いドレスを優雅に着こなしている校長の最大の身体的特徴を挙げるとするならば、そう、絶世の美人であった。

 一目見ただけで男性女性問わず虜にしてしまうスマイル。軽くお辞儀をする仕草一つをもってしても完璧といわざるを得ない。そのため、どうしても生徒たちからの羨望の眼差しの中に下心が混ざってしまうのは仕方ないと思われるが、その美貌よりも遥かに生徒たちを引き寄せる魅力が校長(スクールマスター)には存在する。


 誰もが知っている名ではあるのに、その構成員の情報は決して出回ることはなかった。――ただ一人を除いて。


 ≪英雄≫。


 かつての魔王と呼ばれる魔人族を討伐したパーティーの名が≪英雄≫。本来そのメンバーたちにパーティー名などなかったが、魔王討伐の後、民衆が勝手に名付けたのが≪英雄≫であった。いつまで待っても姿を見せないメンバー、そのため民衆は魔王討伐という輝かしい功績という観点のみで単純明快なそのパーティー名を叫んだのだ。


 そして現在、≪英雄≫のパーティーメンバーで唯一、人前に姿を現しているのが生徒たちの前に優雅に佇む校長(スクールマスター)本人であった。


「校長(スクールマスター)ニューワールド、お願いします。」


 司会の進行とともに、ニューワールドは話し出す。


「生徒の皆さん、進級おめでとうございます。皆さんにとって昨年の一年はどうでありましたか。初めての戦闘で緊張したり、また多くの出会いと同時に多くの異能力にも出会えたかと思います。皆さんの経験はこれからの人生に……」


 学校の五分の一も占める大きな空間。全校生徒が余裕で入れるほどの広さを持つその部屋の隅々にニューワールドの透き通った声が響き渡る。


 遥かな高み、全ての生徒の最終目標、だがしかし多くの生徒は異能力を学べば学ぶほどヒシヒシと感じ取っていたのだ。ニューワールドがどれだけの化け物かということを。

もう少しだけ学校の話を挟みます。

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