2-6 ≪ミュール村≫へと
「ザワロワも充分にイカれてるよな。いいのか、本当に俺が主になって。」
「さっきから問題ないって言ってるでしょ。それとも何、私を殺すの?」
主従契約を終えた二人は、≪魔の森≫内部へと侵入していた。最初は恐る恐るだったカヤも今では霧に怯えることなく、ザワロワと会話を続けている。
ザワロワとの主従契約によって、カヤの中にはザワロワの魔力が混ざりこんでいる。その魔力によって人族のカヤでも≪魔の森≫の霧を浴びても命を奪われることはなかったが、それと引き換えにカヤはザワロワの主となっていた。従者に対して一方的に行われるチカラの貸し借り、チカラを全て奪われた従者は為す術なく死に至ることから忌避されている契約であるが、主からチカラを分け与えられることで従者のチカラが上昇するといった面もある。
シャドーウルフに跨って≪ミュール村≫へと向かう二人。日の光を遮るほどの深い霧に覆われている≪魔の森≫内部ではシャドーウルフは本来の速さで駆け抜けていた。
その速さにより周囲の魔物に気づかれることもなく、カヤとザワロワは順調に目的地へと近づいていた。
ただ、先に≪ミュール村≫に到着したのはカヤたちではなかった。
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自身の前に立ちはだかる障害を全てなぎ倒して歩く男の後ろには道ができる。≪ミュール村≫へと真っすぐに続く新しい道はその男が≪ミュール村≫へとたどり着いたことを示していた。
突如響き渡る爆発音。
≪ミュール村≫の住人たちが飛び起きる。ただごとでない気配に気づき、住人たちは理解した。――ついに来た、と。
ザワロワの帰りを待ち望んでいた村のみんなが諦めの表情になる。
“希望は間に合わなかった。”
「ギャハハハハ、来てやったぞ。魔王になる俺様がなぁっ!!!」
家々から飛び出した住人が見たのは、村の入り口にある小屋が木っ端微塵に吹き飛ばされている景色だった。
大きな体に鍛え抜かれた筋肉を見せびらかすかのように、上半身裸の大男が小屋の近くで仁王立ちしている。そして、その近くにひっそりと佇むもう一人の男。
二人の内の一人、大男であるガルーダが≪ミュール村≫の住人を見つめて笑う。
「来てやった理由は分かるだろう。おとなしく跪けば殺しはしない。だがもし、抵抗するというのなら力を示せっ!!俺様より強い奴がいるならなぁっ!」
ガルーダが右手を前に出す。空を掴んだその手の中で、ドゴォンッ、と小さな爆発が起きた。
「俺の異能力は【爆発】だ。」
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