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「ええ。俺が風呂から出たら何かブツブツ言いながらこれ書いてました……普通、意識してたらこんな本気の書き込み出来ませんよね?」

「お、おお、そうだな。うわぁ、ちっけぇ字! ここ足りなくなってんじゃん」

「……裏に続いてますよ。はぁ……今夜は地獄になりそうだ」

「はは! お前ばっか意識して明日ヤバい顔して出て来そうだな! ドンマイ!」

「……代わってさしあげましょうか?」

「いや、遠慮しとく。ご愁傷さま!」

「ちょっとあんた達! 何やってんのよ! 無くなっちゃうわよ!」


 ダラダラとついてくる二人に声をかけると、クリスは顔を輝かせ、トワは何故かすっかり疲れ切った様子でやってくる。


「まずはここね!」

「飲み放題からじゃないの? ヒマリ」

「馬鹿ね。まずは料理を食べてここらへんの料理のレベルを知るのが大事よ。ついでにおつまみに良さそうな物も探すの。飲み放題はそれからよ」

「なるほど! 胃には限界があるものね。最初の所で全部は決められないわよね」

「そういう事。さ、まずはクリスが好きそうなチーズの串焼きに行きましょう。それからトワの好きな芋のバターソテーよ」

「その名前だけで既に美味そうだな!」

「本当ですね。ちゃんと俺たちの好きそうな物まで選んでくれたんですか?」

「当たり前でしょ。だって、あんた達こういうの自分で選ばないじゃん。クリスは面倒だって言うし、トワは何でもいいって言うし!」

「わ、わりぃ」

「す、すみません」

「いいわよ。もう慣れたわよ。さ、それじゃあ行くわよ!」


 そう言って私達は混み合う人混みをかき分けて目当ての屋台に突撃する。


「すっごい行列!」


 列に並ぶなりルチルがそう言って周りをキョロキョロと見渡しているが、周りもさっきからずっと私達を見ている。そりゃそうだ。社畜以外の三人はかなりの有名人である。


 いや、たとえ知らなくてもこの三人は異様に目立つ。何せ一人はフワフワと空を飛んでいるのだ。


「あんた達と居ると視線が痛いわね」


 ポツリと言うと、三人は揃って何のことだか分からないとでも言いたげに首を傾げた。


「いやお前、気づいて無いかもしれないけど、こん中で一番目立つのお前だぞ?」

「なんでよ」

「考えてもみろよ。この面子に囲まれてるあれ誰? ってなるだろ? 普通」

「そうですよ。俺はともかく姫と高位妖精と気安く話しているあなたが一番注目されていると思うよ」

「え、ヤバいじゃん。私達お忍びなのに」

「それは無理よ、ヒマリ! この二人連れててお忍びも何も無いわよ!」

「えー……セターレさんと二人でくれば良かったかなぁ?」


 極力目立ちたくない私にとって、注目を浴びるのはごめんである。


 けれど何気なく言った私にすぐさまクリスとトワが怖い顔をして詰め寄ってきた。


「こんな楽しそうな所にパートナー置いてくバカがどこに居るんだよ!」

「ヒマリ? 俺たち婚約者だよね? なのに他の男と出かけるつもりなの?」

「いや、だってあんた達目立ちすぎんのよ。でもまぁいい機会だわ。誰かに関係を聞かれたら私はルチルのメイドって事にしときましょ。それなら怪しくないもんね」

「ヒマリ、私の周りのメイドにこんな態度の大きいメイドは居ないわ……」

「そうだよ、こんなメイド速攻でクビだろ」

「クビどころかたまに処刑されそうな事を平気で言いますからね……」

「ここだけの設定だって言ってんでしょ!? 揃いも揃って耳詰まってんじゃないの!?」


 行列に並びながらそんな事を言い合っているうちに、ようやく順番がやってきた。お会計はもちろんセターレから貰ったあのお金である。人数分のチーズの串焼きを買って、荷物を持つのはトワだ。


「半分持とうか?」

「いえ。これぐらい、いつぞやの漬物石に比べれば軽いものです」

「そう? それじゃあ次行こ! ありがと、トワ!」

「切り替え早ぇ」


 一応気遣うが、本人が持ってくれるというのだからそれ以上は問い詰めないスタイルの私にクリスが苦笑いを浮かべるが、トワはどこか嬉しそうなので気にしない。


「おい、いいのかよトワ。既にお前尻に敷かれてるじゃねぇか」

「案外こういうのも良いなって気がしてきたんですよね。慣れって怖いですね」

「やべぇ、騎士団団長が変な方に目覚めそうになってんじゃん」

「あんた達ー! 遅い遅い!」


 クリスとトワはさっきから女子よりもぺちゃくちゃと話しながら歩いているが、そんな事をしている間に目ぼしい商品は売り切れてしまう。


 私が拳を振り上げて二人を呼ぶと、ようやく二人は慌てたように駆け寄ってきた。


「やっぱあの二人仲良いよね」

「そうねぇ。聖女の言ってたトワとクリス様の事もあながち間違ってないのかも。まぁでもあの二人は——」

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