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102

「そうですよ、姫。巻き込まれる僕達の身にもなってください。こんな事にならなければ、私は今頃城で星の研究ができていたのですから」

「ご、ごめんなさい」


 トワとセターレの二人に責められてルチルはしゅんと頭を下げる。


「セターレさんって星の研究もしてるんだ?」

「ええ。星の巡りを研究しているんですよ。ただ、今回の惑星直列に関しては僕にもさっぱりでした。あなたの事といい、今回はおかしな事ばかり起こりますね」


 言いながらメガネを押し上げたセターレに私は腕を組んで考えた。やはりここは何かの創作物の世界なのだろうか? セターレも聖女に最初に何か言われたようだったが、一体何を言われたのか気になる。


「ねぇセターレさん」

「はい?」

「あなたは聖女に何を言われたの?」

「僕ですか? 僕は——」


 口を開きかけてそのまま止まってしまったセターレにルチルがコソコソと耳打ちしてきた。


「セターレってね、興味無い事は本当に、本っ当に覚えないのよ。最初は私の名前すら間違えてたような人なの!」

「そうなの? 私よりも酷いじゃん」

「聞こえていますよ、姫。別にあなたの名前を覚える必要が無かったのです。なぜならあなたを名前で呼ぶことなど一生無いのですから。であれば、覚える必要も無いでしょう?」

「そ、そうかもしれないけど、もうちょっと言い方……いえ、いいわ。よく思い出して、セターレ。もしかしたらそこに何か重要なヒントとかが隠されてるかもしれないし」

「確か、「あなた占星術師のセターレですよね。あなたの役どころは私にとってはとても重要だから、出来るだけ私の側に居てくださいね。この先私は何度も危ない目に遭いますが、あなたの鏡でそれを回避してください」でしたかね。頭がおかしいのかと思って無視していたのですが、ヒマリさんの話を聞く限りやはり聖女は未来を知っているという事なのでしょう」

「めちゃくちゃ予言されてんじゃん!」

「どうどう? ヒマリ、今ので何か分かる!?」

「姫、今の台詞で分かるのはその物語の中では聖女と占星術師はセットのように扱われていたって事ぐらいでは?」


 トワの言葉に私は首を横に振った。今の話を聞いてもう少しだけ分かる事がある。


「もう一つあるわ。登場人物の役職と聖女に予言された人たちの予言を聞くに、これは最早ファンタジーRPGの王道なのでは!?」

「てことは、マルチ何とかじゃないって事か?」

「それはわかんない」

「わかんないのかよ! どこまでもフワっとしてんなぁ」

「仕方ないじゃん! 本当にそういうの興味無かったんだってば! むしろこんだけの情報で全てが分かったら私天才よ! はぁ……私にもチートな力あったらな……スマホで調べりゃ一瞬で分かるのに」


 大きなため息をついてそんな事を言うと、それを聞いてクリスが慰めるように私の肩を叩く。


「そもそもお前スマホ持ってねぇじゃん? お前の社畜人生の集大成はもうこの世に無いんだ。諦めろ」

「そうね。私は黒歴史を残して本体だけこっちにやってきてしまったしがない社畜だから……って、うるさいわね!」

「ヒマリはチートな力なんて無くてもすっかりこちらの世界に馴染んでいるじゃないですか。これ以上何を望むの?」

「そうよね。仕事もあって毎日ご飯食べられて太いコネがあって……これ以上望んだらバチが当たるわよね!」


 トワに慰められて私はすぐさま気持ちを浮上させると、そんな私を皆が白い目で見てくる。


「やっぱり僕には聖女よりも社畜の方が天下取る未来しか見えないんだよ」

「奇遇ですね、俺もです」

「現状、どちらかと言えばヒマリさんの言う通り、周りの人物に恵まれているのはどう考えてもヒマリさんの方ですからね。それに先程のフレッドさんのように元々は敵として配置されていた人が敵にはなりそうにないという事もありえる訳です」

「そうよ。ヒマリはその社畜時代に蓄えたフワっとした知識で人脈を築いてる。でも聖女はこの世界がお話の中の出来事に過ぎないって考えてる。この時点で大分差があるわよね」

「聖女はあれね、郷に行っては郷に従えが出来ない人なのね、きっと。引っ越しとかの経験も無いんじゃないの」

「なんで唐突に引っ越しが出てくんだよ?」

「引っ越しってさ、新しい土地で新しい人脈作らないと色々困るじゃん。それと似てるよなって話」

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