第九十五話 代替
「とりあえず、君たちに頼みたいことは二つ。」
そう言い、神崎がセツナを指差した。
「この子の護衛と....遺物が起動してしまった際の対応ね。
もし起動してしまった場合、セツナちゃんの意思と、莫大な影力によって停止させることができる。君たち三人ならできるね。」
「もちろんですよ。ねっ、玲君。」
「.....あ"あ".....」
ルナに肩を叩かれる。
遺物の停止か.....。
セツナの意識が無くなっていた場合はどうすればいいのだろう?
と考えていると、トワが手を挙げた。
「神崎さん。もしその子の意識が無かった場合、どうしますか。」
「ああその場合は....。セツナちゃんの意識が戻るまで耐えてほしい。
君たちならできるはずだ。
一応、セツナちゃんの任意でしか起動できない遺物ではあるんだけどね。」
出来んのか?まあいい。
問題はトワだ。
さっき言われた....地獄がどうとかはなんなんだ?
「君たちのミッションはセツナちゃんに普通の大学生活を送らせること。
この子は君たちより年上だからね。」
「!そうなんですか....めちゃくちゃ若く見えてた...」
そう言い、ルナがセツナの顔を覗き込む。
まあ確かに俺らと同年代くらいには見えるな。
何でだ.....?
「はい!じゃあこれからしばらくは任務に当たってもらうからね。
来週の月曜日、学校が終わったらまたここに再集合。いいね?」
「........」
まずは任務を最優先だ。
セツナとトワの関係性は少しづつ探っていこう。
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校舎の階段を登っていく。
一段ずつが重い。本当は教室になど行きたくない。
あの人がいるから。私はどうするのが正解なのだろう。
謝罪してもそれは私の慢心だ。
私の学年の階に着き、教室への廊下を歩いていく。
教室の引き戸を開ける。自身の机へと目を向ける。
「........えっ」
私の机は、黒く塗りつぶされていた。
いや......塗りつぶされているわけではない。
机へと歩いていく。周りからクスクスと笑い声が聞こえてきた。
よく見ると、そこには罵詈雑言が殴り書きで敷き詰められていた。
油性ペンで書いたのだろう。
周囲のクラスメイトを見渡す。
ほぼ全員が、私を見て笑っていた。
ただ一人、幽真だけが私を見てはいなかった。
幽真の机は元通りになっていた。
詰まる所、いじめの対象が代わったのだろう。
幽真に手を出せば後が怖いから......。
だが私は憎しみの気持ちすら湧かなかった。
だってこれは、私が幽真にしたことなのだから。
つづく




