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影葬の剣  作者: いうな
過去編
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第九十二話 実験

白く無機物な廊下を歩いていき、突き当たりにある会議室1と書かれた扉まで辿り着く。

特にノックもせず、ドアノブを引くと、ルナとトワ、それと....


「...神崎先輩」


「ああ、よく来たね玲くん」


黒く、ところどころ青い毛が光るショートカットのスーツ姿の女性.....。

俺の何個上かは知らないが、先輩である神崎だった。


「今日は君たちに話があってね。」


事前にそうメールで言われ、俺達はノコノコとこの部屋まで来てしまったわけだ。


(((説教だな.....)))


俺達三人は同じ事を思っていただろう。

だが、実際に神崎が話し始めたことは全然違った。


「君たちが今回確保した窃盗犯が盗んだこの遺物についてだ。」


そう言うと、神崎はズボンのポケットから十字架のような遺物を取り出した。


「あ?何スかそれ」


「これは”組織”の保管庫に重要に保管されていた代物らしい。」


「.....らしい?」


組織にあったものなんじゃないのか?

神崎は疑問を察し、


「....今言った”組織”というのはあくまでも私たちのことではないんだ。

 どうやら私たちの他にもグループが沢山あるらしくてね。

そのうちの一つの”犯罪組織”に保管されていたんだ。」


「なんでそんなものが現世に....?」


「さあね。」


「で、なンで俺達が呼ばれてるんスか」


わざわざ俺達に見せびらかす必要はない。

ただ見せたかっただけならまあまあキレるが。


「そうそう、まずは玲くん。”これ”を壊してみてくれ」


そう言って神崎が俺に遺物を投げる。

それを掴み取り、手のひらにのった遺物を見つめる。


「マジで壊していいんスか?」


「ああ、頼むよ」


その言葉を聞き、俺は遺物を全力で握りしめる。

....変化無し。次に強力な電気を流し始める。

普通ならこの電圧に耐えきれず破壊されるはずだが、

特に何も起こらなかった。


電気を流し続けたまま、遺物に磁力を与える。

遺物の半分ずつに同じ極の磁力を発生させ、斥力で捩じ切る予定だった。

だが.....


「...ビクともしないっスね。」


「シンプルに玲の力不足じゃない?」


「殺す!!」


「すぐキレるな玲。」


そもそも俺の素の握力は片手で90kgは超えている。

さらにそこに影力での強化もしているため、普通の物質であれば破壊することは容易い。

それで壊れなかったため、電気や磁力を用いたのだが.....


「.....そもそもこの遺物、電気も磁力も通らないんスけど」


「その通り。玲くんのような特殊な力であれば破壊まではいかずとも、

 ヒビくらいは入ると思ったんだがね。」


いや知ってたのかよ。


「"こっちの"組織でも色々調べてみていたんだ。

 だが熱を与えようと、電圧を与えようと、反応すらしなかった。

 油圧プレス機のような遺物でも全く変形すらしない。

 さらに驚くべきことに、逆にプレス機側が爆発して壊れたんだ。

 おかげで負傷者がたくさん出てね。」


「.....そんなことあります?」


「あるんだな、これが。

 恐らく、その遺物は....」


神崎が俺の右手の平を指差す。


「この世界の森羅万象を否定する。」


つづく

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