第九十一話 妹
「チッ、マジであのクソアマ殺してやる.....」
自宅の廊下を歩き、リビングへと向かっていく。
リビングの扉を開け、初めに目に入ったのはダイニングテーブルに座った妹の姿であった。
「あ"?」
今は午後11時。この家__もとい孤児院の就寝時間は10時である。
どこの扉からも光が漏れ出ていなかったため、全員が寝たものだと思っていた。
妹は、ダイニングの真上にある電球に照らされていた。
そこだけ明るく目立っている。
妹は制服姿であり、彼女の前のテーブルにはラップに包まれた料理が置いてある。
恐らく、俺への作り置きなのだろうと分かった。
「お前なんでまだ寝てねェんだ?しかも制服ってことは風呂も入ってねえな。」
「......お兄ちゃん」
妹__ノアがゆっくりとこちらへ目を向ける。
その目はどこか切なさを纏っていた。
「.........何かあったのかよォ、辛気臭せェな」
俺は気づけばノアの隣の長椅子に腰を下ろしていた。
「......私の幼馴染の男の子いるの覚えてる?」
「.........あァ、家族全員が惨殺されたってやつかァ」
「その子が中学に入学した時から元気なくなっちゃっててさ.......。
それで周りの人達がその子のこといじめ始めたの。それで.....」
「まさかとは思うが一緒になってやってねえだろうなァ?」
ノアが言おうとしていることはある程度分かる。
その男とやらがどう出たのかは知らないが。
「.......私もその場の空気で、彼にひどいことをしようとした。
........その子に嫌われちゃったんだ。」
「あ"ー.........」
まァだろうな。
俺ならキレていじめてきた奴等全員殴るわ。
「......よりを戻したいってかァ?」
「....そういうわけじゃないんだよ。でも、その子に謝りたい。
私の罪滅ぼしにしかならないんだけどね。」
「....俺の同じクラスにトワっつークソ白黒がいんだけどよ」
「クソ白黒.....」
「ソイツが言うにゃ大事なヤツはできるだけ近くに置きっぱなしにした方が後悔しないんだとよォ。
なんか妙に説得力あってムカつくンだよ」
「....へぇ.....」
俺は言うだけ言い、席を立った。
ラップのかけてある料理の乗った皿を手に取る。
「.....悪ィな、いつも帰んの遅くてよ」
「いいよ、いつもお疲れ様」
ノアが少しだけ微笑んだ。
不器用な俺を認めてくれているのはこの孤児院の奴等だけだ。
.....あのクソ二人は....どうだろうな。
俺は皿を持ってキッチンへと向かった。
つづく




