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影葬の剣  作者: いうな
第五章 一級試験編
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第八十七話 宣戦布告


「もっとやる気出して!」


「なんで私が出すんだよ。」


私は今東京の真ん中より少し端ぐらいの都市で、

12月に控えている私の誕生日のプレゼントを魔法少女達が一緒に選びたいと言ってきたため、それに付き合っている。


正直サプライズとかにしてもらいたかったが、気持ちだけでも充分だ。


まあ貰う本人がプレゼント選びにやる気を出すというのもおかしい話だろう。


「私は何でもいいんだよ。」


「良くないよ!」


言い合っていると、前からとある少女が歩いてきた。

銀色の髪に、落ち着いた色のワンピースの上に茶色いコートを着ている。


「.....あれ?」


「....あ。」


そう、アリスである。

なぜこんなところに....?


「マナさんじゃないですか。何してるんです?」


「そっちこそ....いつもの魔法使いみたいな恰好はどうしたんだよ」


「街中ですよ?するわけないじゃないですか」


まあそれもそうか.....。


「えっと....どちら様?」


桃花がアリスの方を見て首を傾げる。

そうか。話してなかったな。


「アリス=セレスティアです。

 マナさんとは、ある試験の会場でお友達になったんですよ。あなた方は?」


「そうなんだ!私は桃花。そんでこっちの2人が....」


「夏美だよ!」「美波です。よろしく。」


「......マナさん。」


「?」


アリスが小声で私に話しかけてくる。

アリスの口に耳を近づける。


「......お三方はマナさんが影法師だってこと知ってるんですか?」


ああ、そういうことね。

今度は私がアリスに耳打ちする。


「ああ、知ってるよ。何よりこの三人は”魔法少女”っていう、

 公の場で正体を隠して街に現れた影霊を退治しているんだ。

 街の人からはヒーロー扱いされてて、何ならテレビにも出てるぞ。」


「....マジですか」


「マジです」


アリスの耳から体を遠ざける。


「なるほど、お三方はとてもすごいんですね。」


「あ、今マナから聞いたんだね。

 そうだよ!素顔はまだバレてないんだけどね。

 だから大きい声では言わないでね。」


そう言い、桃花が人差し指を自身の口の前に置き、

「しー」のマークをした。


「.....了解です」


というか、身長は同じくらいか。

何なら魔法少女達が15でアリスが14だし、年も近いわけね。


「じゃあアリスちゃんも一緒に行こう!

 今マナの誕生日プレゼント探ししてるの!」


「そうだったんですね。ご一緒させてください」


桃花がアリスと手を繋いで前を歩いていく。コミュ力お化けか。


私もその後を追い、何というか朗らかな気持ちになっていった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ビルやアパートが沢山建ててある所に着いた。

碌に都会を歩いたことがなかったため、少し楽しい。


とか思っていると、アリスがどこかを見ていることに気付く。



「....あっちから先には行けないんですか?」



夏美がアリスの見ている、少し開けたビルとビルの間の道を見渡す。

そこには、”通行止め”の看板が立ててあった。


「何かあの大きい影霊が新宿ら辺?荒らしたせいなんでしょ?

 私達が来てたらもっと早く鎮められたのかなあ....。」


「無理でしょ。だって丁度力を手に入れたのと同じぐらいじゃん。」


夏美が頭を抱えていると、桃花が即反論した。


........確かにそうか。

影人が来たのと魔法少女が力を手に入れたのは同じタイミングなのか。


.......すっっっっげえとんでもないことに気付いてしまった。

悠真は気付いてんのか?


仮に偶然じゃない場合....誰かの陰謀か?

誰の?



__神様だよ。______



トワの言葉が脳裏によぎる。

......正確には神ではないらしいが...。


「.....マナ....?」


もしソイツの企みだとしたら....?


「マナ!!」


「!何だ?」


「あれ....!!」


周りの街の人々が騒いでいる。

夏美が反対側のビルを指差していることに気付く。


そちらを向くと.....。


「んだあれ....?」


東京の街にはよくあるビルのビッグモニターが、砂嵐を纏っていた。

それもここ全域のビル全て。


すると砂嵐が晴れ、画面にはローブ姿の人間が現れた。

見たことのある顔だった。


「..............エステル.....!!」


アリスが拳を握りしめ、モニターを睨み付ける。


「やぁ、これをご覧の一般市民の皆様方と影法師の方々、ごきげんよう。」


そう言って軽く笑う。

___何のつもりだ.....?


人々のざわめきは徐々に大きくなっていく。


「.....知ってる人?」


「ああ、残念ながら知ってる奴だ。」


街のざわめきが段々静まっていく。

気付けば周りの人間全員がモニターに注目していた。


「.....まず、私達の素性について話しておこう。

 私達は影法師を殲滅するために作られた部隊、”Pandora(パンドラ)”。

 一般市民の人は気にしなくていいよ。

 

 そして、”Pandora”から一つ、”組織(特殊警察)”に伝えたいことがある。」


......?


来る日(きたるひ)、4月2日に私達はクーデターを実行する。

 まず手始めに、”組織”を潰す。

 その次はこの国...その次は世界ごと潰していく。」


エステルが飄々とした顔で言い切る。


「んで、」


エステルが人差し指を立て、こちらへと向ける。


「これは宣戦布告だ。

 残りの四ヶ月、何をしようと私達は邪魔しない。

 そのタイムリミットで君達に何ができるのかはわかんないけどね。

 精々頑張りなよ。」


「........舐めんなよ」


私はそう低く吐き捨てる。

すると.....


「ちなみにこれは生放送で、君達の姿も見えてるからね。

 魔法少女の人達に...0級影法師...そして........

 .........アリスちゃん。」


そう言い、エステルは不敵に微笑んだ。

街がまたザワついていく。


「君達も”Pandora”の標的の内だ。

 どう足掻くか見せてよ。面白いから。


 それでは、次に会う時まで皆様ご機嫌よう。」


そう言い残してエステルが指を鳴らす。

次の瞬間、視界に広がったのは大爆発を起こして破壊された数多のビルであった。コンクリートの破片やら、看板やらが頭上に落ちてくる。


「うわわっ...」


美波の頭上に大きいコンクリの破片が落下する。


「チッ....」


体に影力を纏い、地面を蹴って飛び上がり美波の頭上の破片を思いっ切り蹴り飛ばす。他に落ちてきた破片にぶつけて勢いごと相殺させた。


「......どうするよアリス」


影力を切り、ゆっくりと着地する。

辺りには粉塵が舞い、炎が燃え上がっているビルもある。


「.............どうするも何もありません。」


アリスが下を向き、拳を握りしめる。

そして、顔を上げて私の目を見た。その目は、今までに見たことのないような、光のない瞳だった。


「.......迎え撃ちましょう。」


「.....ああ。」


奴らは魔法少女の存在も、アリスの存在も掴んでいる。

情報網は徹底的に武器にしているのだろう。


少なくとも4人はいるだろうな。


.....そうだ。幽真にも連絡しなくちゃな。



つづく

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