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影葬の剣  作者: いうな
第五章 一級試験編
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第八十八話 追想

「はぁ.....!はぁ.....!」


組織附属の病棟内の通路を走り抜ける。

指定された緊急治療室に着き、急いで引き戸を開ける。


「幽真.....!!」


病室に入り、一番最初に目に入ったのは、病床の上で目を閉じて体に大量の管を繋がれた無惨な幽真の姿であった。


口には酸素マスクを着けているが、呼吸をしているようには見えない。


「............!」


「........ノア。」


ベッドの隣には兄が座っていた。

酷く目の下にクマができている。


「.....お兄ちゃん....今..幽真はどういう....」


「....お前の部屋で半殺しにされた状態で転がってたんだ。」


「......!?」


「ああ、もちろんお前じゃないことは分かってる。

 凶器は影の槍だ。複雑な構造で出来ていた。自動で枝分かれする機能もついてる殺意高すぎるやつだったな。

 

......そんなことより、何か身に覚えはないか?」


影の槍......。確か、拷問部屋(あそこ)にいた私にそっくりの影人も

そんな武器を使ってきたような.....。


....だが、だとしても”言えない”。

私と”Pandora”の間には【他言不能】の契りが掛かっている。

知っていたとしても、言おうとした時点で声を発することは出来なくなる。


「.....ない。それより、幽真は助かるの?」


「.....それは賭けだな。現在の治療技術じゃ上手く治せないほど

 複雑に肉体が抉られていたからな。

 

 今生きてるのもコイツが無意識に影力を血液の代わりにして

 回し続けてるおかげだ。全く、とんでもない生命力だ。」


そう言い、兄は席を立った。


「どこ行くの?」


「お前が来るのを待ってたんだよ。

 俺ちょっとだけ仕事終わらせてくるからそれまで悠真と一緒に居てくれないか?」


「.....わかった。」


ピシャン、と背後で引き戸が閉まる音が聞こえた。

時計の秒針の音が鳴り響く。


「........。」


前もこうだった。幽真が0級の影と戦わされて、謎の力のせいで

死にかけた時だ。......幽真とマナに0級を当てつけたのも、

”Pandora”....もとい、緑空なのだろうか?


....私が、上手く説得すれば緑空も野望を捨てるのではないのか?


「幽真.....私.....どうすればいいわけ.....?」


....幽真には昔から頼ってばかりだ。

私は幽真に頼られたことがない。


幽真は最初から何でも出来ていたから.....。


出来ないものがあればすぐに出来るようにするために努力を欠かさなかったから..........。


「ごめん......私.....中学生の時から何も変わってない.....」


......少し思い出そう。

私が、中学生だった頃の話を。


幽真が、絶望に打ちひしがれていたころの話を。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「.....玲。」


「....トワ。」


病棟内の通路をスマホ片手に歩いていると、

前から黒髪の男が歩いてきた。トワである。


「幽真は大丈夫なわけ?」


「あー.....、医者とか他の法師にも診てもらってるんだがな。

 依然、意識はないままだ。」


「そうか。それより見てこれ。」


「?」


トワがスマホを取り出し、

何やら画面をイジると、横向きにして見せてきた。


その画面には、黒いローブを着た女が立っていた。


「......んだこれ?」


女はよくわからないことをつらつらと喋っている。

要約すると、組織に全面戦争を仕掛けるらしい。


「...なるほど....」


「....相当な自信があるよ、コイツ等。

 俺達がいることを知ってる上でやってんだから。」


「知らないってパターンは?」


「100ないな。”組織”は隠された部隊だ。

 ”組織”を知ってる奴より、俺らを知ってる奴の方が多いよ。」


「....そうなのか。」


頭を掻く。

面倒くさいことになりそうだ.....が。


「まぁ、元より...。

 負ける気はないけどな。」


「お前ならそう言うと思ったよ。」


そう言い、軽く笑っていると、

トワが俺の目をジッと見ていることに気付く。


「.....んだよ?」


「いやぁ、三年前とは全く違うよな、お前。」


「何の話だ」


「....あの頃が懐かしいよ。丸くなったな。」


「舐めんな変わらんわ」


「その口調で一生喋ってたもんな。

 グレが治って良かった良かった」


.......。


三年前......。


少し、思い出す。

俺達がまだ高校三年生だった時の話だ。


アイツらは中学生か。


何があったのか。そして俺達の敵は誰なのか。

少し、思い出そう。


つづく

過去編突入します

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