第八十六話 コードネーム
あ”~......。疲れた。
家の前に着き、門のノブに手をかける。
試験の間は試験官ですら家に帰ることができない。
事務処理などがとんでもなく長くなってしまい、
結局最終試験の翌朝に帰宅、ということはザラだ。
早く孤児達の顔が見たい。
俺にとってはノアと同じくらい大事で、家族同然だ。
家の前に着く。
......?なんだ....?変な臭いが....。
門を開け、駆け足で家のドアを開ける。
「「うわああああああああ!!!」」
二階からウチの男児達の悲鳴が聞こえてくる。
「おかえり兄ちゃん!何かあったのかな?」
大広間から今年で7歳になる男児...リクが歩いて出てきた。
他にも何人か広間から出てくる。
「「おかえりー!!」」
「......ちょっとここで待ってろ」
階段を確認しようとする子供達を静止し、
靴を脱ぎ、階段を登っていく。
二階の廊下を覗く。
そこには、角の部屋の前で立ち尽くしている男児と、
尻餅をついて後退っている男児の2人がいた。
何を.....。
「......!!」
角の部屋の扉は開いている。
そしてそこから......赤黒い液体が漏れ出していた。
角部屋の前まで行く。
「は....?」
そこには、数多の槍に貫かれた無惨な体があった。
辛うじて顔は無傷のようだ。
顔を覗き込む。
「.....幽真....?」
急いで部屋の中に入り、体を持ち上げようとする。
体を抱えると、刺さっていた影の槍がボロボロと崩れていった。
胸に耳を当て、心臓の音を確認する。
「.......チッ」
何も音がしない。息もない。
だが......。
まだぬるいほどに手と顔に温かさが残っている。
顔は青白くなっていない。
心臓が止まっているのになぜ....?
いやそんなことより.....。
ポケットからスマホを取り出し、
急いで緊急番号を入力して電話を掛ける。
幽真を抱えて立ち上がり、部屋の虚空に向かって拳を振るう。
すると、何もない空間に割れた窓のようにヒビが入り、
黒い渦が現れた。
「お前なら耐えれるだろ、幽真....!!」
そして俺は現れた黒い渦の中に足を踏み込んだ。
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「うーん......」
「何悩んでるの?マナ」
今私はピンク...もとい、桃花の家のリビングの机に、
大量の紙をまき散らしていた。
別に散らかしてるわけではないが....
「今、マナが組織....というか、”カゲボウシ”としての呼ばれ方....
いわゆるコードネームを考えてるんだよ。」
美波に桃花が補足する。
「コードネームでしょ?かっこいい方がいいでしょマナ!」
夏美がめっちゃ押してくる。
「いやそうなんだが....なんかイタいのも嫌だろ?」
「何それ...どっかに提出するの?」
「ああ。12月23日までに”ある所”にな。」
「あっ、義務なんだ。」
私達はコードネームの案がたくさん書いてあるノートを挟んで、
眉間にしわを寄せていた。
「あ!”咆哮の猛獣”」
「中ボスみたいじゃねえか」
「うーん......”虚無の獣”とか」
「裏ボスじゃねえか。
もうちょいちゃんと考えてくれないか?」
そのツッコミは何を宛てに言っているんだ、という目をされるが、
無視して考え続ける。
「あ!”上鳴マナ”!!」
「もはや名前になってんじゃねえか」
「.......マナはさ、詩音がいなくってからすぐ入ったからさ、
詩音__ラベンダを受け継ぐような名前もいいと思うんだよね。
ラベンダの存在を消すわけじゃないけど。」
桃花が頬杖をつきながら提案する。
「.....そうだね。いいの思いついたよ。」
夏美が人差し指を立てる。
「”紫電”とか入れたらどう?ラベンダっぽい紫だし、
マナは雷とか使ってるし。」
「ああ...いいかもな。」
「.....じゃあわかった!
”残光ノ紫電”とかどう?」
美波が突然イイ感じのネームを出してきた。
「......いいな。
.....一個いいか?」
「なに?」
「......多分何にしてもイタい名前になるよな。」
「「「そうだね」」」
こうして、私は「残光ノ紫電」星野マナとして戦っていくことになったのであった。
つづく
~おまけ~
試験官休憩中......
「そういやなんで玲って”終点ノ零”っていう名前になったの?」
「......コードネームの話か」
組織の本社にてパソコンをいじりながら、
急にルナが話題を振ってきた。
「いや....罰ゲームで負けて....トワに勝手に付けられたんだ。」
「....ちなみに何の罰ゲーム?」
「ビールジョッキチキンレースゲーム」
ジョッキを何杯か飲んで、先に潰れた方の負けというイカれたゲームである。
「...でもなんで終て........ブフッ!!
わかっちゃったんだけど....」
「何で笑ってんだ......?」
フツフツと怒りがこみ上げてくる。
「....酒飲み過ぎて寝過ごしたんだっけ......w
それで....”終点”の"玲"君かあ!!!」
「テメェ一回表出ろ!!」
「いいよやってあげるよ!!」




