表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影葬の剣  作者: いうな
第五章 一級試験編
87/92

第八十四話 涙

「......ノア?なんでこんな深夜に..」


街灯の下で、俯いたままノアは動かない。

肩が小さく震えていた。


「....別に」


小さい声だった。いつもの明るさは消え失せてしまったように。

先程までの違和感が胸に引っかかる。


「別にって.....こんな時間に一人で、何してんだよ?」


「........」


何も答えない。

ただ、絡めた指にぎゅっと力を込めているだけだった。


「.......何かあったのか?」


一歩近づくと、ノアの肩がビクッと揺れた。


「.....いや....大丈夫....」


「.....大丈夫な奴の顔色してないぞ」


一歩ずつ、距離を詰めて話す。

街灯の光にノアの顔が照らされている。


「.....お前....」


光がノアの頬を伝った。

それは流れ星なんかじゃない。むしろ真反対のものだった。


「なんで泣いてんだ?」


「.....っ.....」


ノアの肩が大きく震えた。

肩が小刻みに震え続ける。


「ちが....」


俺の言葉を否定しようとした声は、

途中で掠れて止まってしまった。


声の代わりかのように、ノアの目から涙が一滴ずつ落ちていく。


「ご....め....」


言葉にならない声がノアから漏れ出す。

必死に堪えようとしているのが分かる。


.......ダメだろ。これは。


「.....ノア。」


呼びかけると同時に、ノアの腕を掴んで引き寄せる。

異性の抵抗なんてものは無かった。


「.....っ....」


腕の中に細い体が収まる。


「....無理すんな。」


何があったのかは、後で聞く。

とにかく今は......。


「.....う....っ.......」


ノアの手が、俺の冷たい服を掴んだ。

藁にしがみつくように。


「.....ゆ....うま....ご....めっ...」


「なんで謝るんだよ。


 .....!!」


その言葉に、言い覚えがあった。


___なんで謝ってんだコイツ?________


....あの時.....


「ごめん。気付かなくてごめん。

 あの時....俺が動けてれば....」


「ううん......でも...私っ....」


言葉の代わりに嗚咽だけが零れていく。

俺の胸元に顔を埋めて、静かにノアが泣き始めた。


....マジで何があったんだ。

強情で精神も強いコイツがこんなに泣くってことは相当なことだ。


「.....後で、ゆっくり聞かせてくれないか。」


背中に腕を回し、ゆっくりさする。

まずは、落ち着かせなければいけない。


「.....ぅんっ.....」


「……もういい」


ぽん、と軽く頭に手を乗せる。


「俺がここにいる」


街灯の下。

冬の夜の静寂の中で。

ノアはしばらくの間、俺にしがみついたまま、静かに泣き続けていた。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「.......あ.....の人.....がっ....」


「.....?”あの人”?」


ノアの嗚咽も段々少なくなってきた。


ノアが俺の胸から離れ、赤くなった目で俺の顔を見る。


「.........助けて」


「........」


ノアを抱擁していた腕を下げ、

俺は静かに言い放った。


「ああ、そのために俺がいる。」


「....ありがとう。」


「....あー、話をする前に.....。

 ここじゃ風邪引くよ。どっかに....」


「......じゃあ.....」


ノアがまた両手の指を絡めて、下を向きながら言う。


「うち、来なよ」


つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ