第八十二話 昇格
通路を歩いていき、広間に戻ってくる。
「.....マナさん!」
アリスがすぐさま駆け寄ってきた。
「.....マナ。」
悠真もゆっくりとこちらへ歩いてきた。
「.......大丈夫だ。ちゃんと合格した。
これでアイツらも大丈夫だ。」
「.....そうか....」
悠真が膝から崩れ落ちた。
「良かった.....」
「.....悠真は?」
ううん、と悠真が首を振る。
......マジか。悠真を落とすとは、大分頭がイっちゃってるんじゃないのか?
「よし。直談判しに行こう。」
「何でお前らすぐそうなんの?」
「.....だっておかしいだろ。
お前は最後まで完璧だったんじゃないのか」
「.....多分俺は甘かったんだ。
マナとか、アリスみたいに背負ってるものがないから。」
「........」
悠真がそう言いながらゆっくり立ち上がる。
その顔は、笑っていた。
「じゃ、行こうぜ。
手続きとか色々するんだろ?」
悠真が司会の方へ歩いていく。
「........そうだな。」
アリスと悠真の後を追う。
何はともあれ、一件落着だ。
思い残すことはない。
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司会の前に着く。
司会は俺達を見ると、一礼した。
「アリス=セレスティアさん、星野魔奈さんですね。
ライセンスをお預かりします。」
アリスとマナがライセンスをポケットから取り出す。
司会はライセンスを受け取ると、手をかざした。
ライセンスが光り、光で文字が刻まれていく。
「星野魔奈 0級影法師 コードネーム:未定」
「アリス=セレスティア 一級影法師」
マナのライセンスは黒色に、
アリスのライセンスは鋭い青色に変色した。
......0級....?
「おい、マナどういうことだ」
「何がだ?」
マナが司会から新しく文字が刻まれたライセンスを受け取る。
「いや....なんで0級なんだ??」
「ああ....色々あってな。」
その色々は大分すごい色々なんじゃ.....?
てか0級て。玲さんとかトワさんと肩を並べるってことか....?
....いや、0級はピンキリらしいな。
物差しで測れないほどの実力が0級なんだっけか?
「.....阿部悠真さん。」
司会に急に話しかけられる。
「.......何ですか」
別に特別言われることもないはずだ。何用だ?
「私は、私達試験官は、あなたの行動の全てを見ていました。
素晴らしい判断の数々でした。
あなたほどの影法師は中々存在しません。
惜しくも一級に届かないというだけです。」
「.....何が言いたいんですか」
「どうです?一級にはなれずとも、準一級にはなれますよ?」
「....マジですか」
思わぬ言葉が返ってきた。
まあ、なれるならなるに越したことはない。
「...ありがとうございます。お願いします。」
ライセンスを取り出し、司会に差し出す。
「了解しました。」
ライセンスが輝いていく。
ライセンスは、空色に変色していった。
「阿部悠真 準一級影法師」
「完了しました。ライセンスを返却致します。」
司会にライセンスを渡される。
...まあ、俺はこれで十分満足だな。
「.....あなたは本当に惜しかったのですよ。
何が、あなたを妨げているのです?」
「.....え?」
俺を妨げているもの.....?
....二次試験での虚言もそうだが....。
「...俺は仲間思いなので。
仲間がいる限り、俺が完璧になることは無いと思います。」
答えはシンプルだ。
「....そうですか。本当に惜しい人材を無くしましたね。」
「では。もう帰るので。ありがとうございました。」
一礼をし、振り向いて歩き出す。
広間には謎の扉が現れていた。
多分、出口なのだろう。
「....悠真さん、自分で仲間想いって言うのはどうなんですか」
「別にいいじゃん」
「いや....どうかと思うぞ」
「....なんでだよ.....」
扉の前に着く。
....終わるのか。まあ、心残りはないな。
俺は、少し古びた、どこか懐かしいような扉を開けた。
つづく




