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影葬の剣  作者: いうな
第五章 一級試験編
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第八十話 最終面接・悠真

部屋の扉を開ける。


そこには、白い部屋が広がっていた。

目の前には長机と二つ椅子が置いてあった。


その奥には、スーツ姿の男性が椅子に座っていた。


「どうぞご着席ください」


「....はい」


椅子を引き、ゆっくり座る。

アリスも座った所で試験官が口を開いた。


「それではこれより、最終試験である面接を始めさせていただきます。

 .....では最初の質問です。

 あなた達は一次試験で何人他の試験者を倒しましたか?

 そこの黒い髪の人から」


先に俺から答える。


「......3人ですね」


「そうですか。それでは次の方」


「.....0人です」


.....これアリスがまずいのでは?

アリスは特に目立ったことを出来ていない。


「では、二次試験で何人敵陣営を処理しましたか?」


また試験官が俺の方に手を向ける。


「ふ...........三人です。」


「では、次の方」


「二人です。」


思ったよりも撃ってたのか、アリス。

ていうかどっち陣営だったんだ?


「....それでは次の質問です。

 試験番号44番、阿部悠真さん。

 あなたは先程の試験にて誤射にて試験者を減らす、

 という選択をとりましたね。なぜですか?」


「.......!」


まあそりゃ見てるよな。


「.....特に理由はありません。

 ただ、自分の陣営を偽ってみたかっただけです。

 その結果、試験者を脱落させてしまいました。」


言い訳はしない。むしろ言い訳したら点数が下がる。

それに.......嘘もつきたくないしな。


「そうですか。

 では試験番号7番、アリス=セレスティアさん、あなたは影霊陣営の中で、       人間陣営と協力して影霊陣営を倒していきましたが、なぜそれをしようとしたんでしょうか。」


「効率的にライバルを減らしていきたいと思ったからです。

 何より、影霊陣営にだけあるアドバンテージを有効活用しない手はありませ           

 ん。」


影霊陣営だったのか。てっきり人間かと.....。

まあそんなこともあるか。


「....では次の質問です。

 もし、任務で仲間を切り捨てなければいけない状況になったら

 どうしますか?」


仲間.......。

マナやガイルの顔が脳裏に浮かんでくる。


「では、次はアリスさんから。」


試験官がアリスへと手を向ける。


「....状況によります。ただ、”切り捨てる”こと前提では動こうと思いません。可能な限り、全員が生き残れる方法を探します。

それでも無理な場合は.........任務の達成を優先します。

ですが.....それを”正しい”選択とは思いません。」


「そうですか。では、悠真さん。」


試験官がカルテにペンを走らせながら

俺の名を呼ぶ。


「....できれば、切り捨てたくはないです。 

 助けられないシチュエーションについて言ってるのでしょうが、 

 僕は可能性があるなら全員が生き残れる方法を模索します。


 それでも無理なら..........

........自分を切り捨てます。」


これが俺の答えだ。

むしろ、これしかない。

俺から仲間を取れば、何も残らないのだから。


「それでは最後の質問です。

 あなた達は、お互いをどう評価しますか?」


......。


横を見る。

アリスはこちらを見ていなかった。


「では、悠真さんから」


試験官が俺の方へ手を伸ばす。


「.....”とても強い”と思います。

 なにより影力の出力がすごいです。

 僕ではすぐガス欠になってしまうようなことを、

 影力効率が最も良い方法で乗り切ります。」


「....なるほど。短所は?」


ちらっ、とアリスの方を見る。

アリスは下を向いていて、回答を考えているようだった。


「.....一人で突っ走ろうとするところですね。

 判断に困ります。」


「そうですか。では、次にアリスさん」


試験官の視線がアリスに向く。

アリスは一瞬下を向き、

すぐに試験官の方を向いた。


「甘い人だと思います。現に、一次試験で私を切り捨てませんでした。」


まあそうだよな。否定はできない。


「....続きを」


「常にリスクを負っているように感じます」


「それは彼にとっての短所ですか?」


「....いいえ。彼はその分判断が早いです。

 知能も高く、柔軟な対応ができる。

 私は彼には短所があまりないと思っています。」


うーん、うれしい。

いつもはあんなに冷たいのに......。


「なぜそう思うのですか?」


「.....彼のような人には中々会ったことがないからです。

 その分、信用に足ります。」


「....なるほど。」


試験官が10秒ほどカルテにペンを走らせ続ける。


「........結構。」


試験官が椅子の背もたれに寄りかかる。


「これにて三次試験は終了となります。

 それではドアから退出ください。」


その声を聞き、椅子から立ち上がる。

一礼してドアノブに手をかける。


アリスが椅子から立ち上がり、

少し駆け足で俺の方....というより扉へ近寄った。


____その時だった。


「試験番号7番、アリス=セレスティアさん、合格です。

 あなたを一級影法師として認めましょう。」


唐突に背後から声が聞こえた。


「.....え?」


アリスが震えながら後ろを向く。


「退出後、司会にライセンスを提出してください。

 一級への昇格手続きは試験終了後、グループAの支社にて

 よろしくお願いします」


「本当ですか.....?ありがとうございます!」


アリスが深く礼をする。

.....このタイミングってことは....。

次は俺だな。


「では、試験番号44番、阿部悠真さん。」


心臓の鼓動が大きくなる。

時間が遅く感じる。





「___不合格です。

 退出後、速やかに荷物をまとめて司会の所から帰還を

 命じます。」


「........わかりました。」


無言でドアを開け、部屋から出る。


「え....ちょっ..ちょっと悠真さん!?」


通路を歩いていく俺の服の裾をアリスが掴む。


「な.....何かの間違いですよ......。

 後で確認しに....」


「別にいいよアリス。」


「でも....」


「アリス。」


「....!」


通路の途中で立ち止まる。

拳を握りしめる。

....別に悔しいとかはない。


....重要なのは、マナだ。

マナさえ合格できていればなんでもいい。

一級なんてまた来年受け直せばいいし。


「悠真さん......この後どうするつもりなんですか」


「別に?マナの結果を待ったあと、すぐに帰るさ。」


「異議申し立ては一応できるらしいですよ」


「しないよ面倒くさい」


「......本当にいいんですか」


「.....俺はアリスが合格しただけでもう十分なんだよ。

 あとはマナだ。.....アイツが帰ってくるまで待っててくれないか」


「.....わかりました。」


つづく

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