第七十九話 三次試験
......もう一度十二時間が経過した。
何をする気にもなれなかった。
食事は喉を通らず、
一睡もすることができなかった。
「よう、悠真。クマできてるぞ?」
広間に行くと、既にマナとアリスが壁にもたれかかっていた。
「いや.....眠れなくてな。」
「へえ珍しい。お前ならいつもはオールでもクマなんて出来ないのに。
っていうか、もう始まるぜ、三次試験。」
「ああ...そうだな。」
ステージのような崖の方を見る。
いつも通り、奥の洞窟の暗闇から仮面を被った司会者が出てきた。
「それでは只今より、三次試験を始めさせていただきます。」
「今いるのは.....8人か。」
周りを見渡す。
二次試験で出会った女の人もいた。
ネレイドは....いるな。
端の方で俯いて座っている。
「三次試験....もとい最終試験は試験官との面接となります。
試験者の皆さん、奥の部屋に入った後、全ての質問にお答えください。
それでは、今までいた部屋が面接の部屋となります。
皆様、チームごとに一人ずつお入りください。」
「........」
面接、ねぇ...。
「じゃ、後でな。頑張って来いよ。
.......私も緊張してきたよ。ずっとだけどな。
これで合格できなかったら、アイツらが危ない。
.....でも、万が一合格できなかった場合.......」
マナが俺の目をまっすぐ見る。
「その時は.....お前は助けてくれるのか?」
その問いに、少し考えつつ答える。
「.....お前次第だな。俺はノアも守んなくちゃなんねえ。
だが、もし、お前がアイツらへの刺客に負けそうになった時はな。
だけど元より、落ちるつもりねえだろ。」
「ハッ、分かってるじゃん。
じゃ、お互い頑張ろうな!」
マナが自室へとゆっくり歩いていく。
その背中は、強くも、どこか頼りないようにも見えた。
「....多分、チームごとでの集団面接なんだろうな。
俺らも行こうぜ。」
「.....はい。」
アリスが右腕の二の腕を抑えながら歩く。
「やっぱり、まだ痛みが残ってるのか」
「はい。まあ耐えれる程度ですけどね。
ネレイドさんには謝りましたよ。
ネレイドさんも、私に謝りたかったらしいです。
悪いのは完全に私なんですけどね。」
「.......いや....」
「はい?」
「......なんでもない」
俺も後でネレイドに真実を話さなければ。
俺の虚言のせいで、ネレイドの仲間を、
大切な人の夢を壊してしまったことを。
自室の扉の前に着く。
....別に俺は受かろうが、落ちようがいい。
だが、集団面接である以上、最大限アリスのサポートはするか。
扉を開ける。なぜか、いつもよりも重い気がした。
つづく




