第七十七話 三角関係
まだ誰とも合流できてないんだが.....。
湿っぽく、どこまでも続いていそうな
森林に嫌気が差してくる。
すると、目の前から一発、銃声が聞こえてきた。
「なんだ....?」
茂みをかき分けて進むと、
木の無い、小さな開けた場所に出た。
「......?」
そこには、粉となって消えていく試験者と、
銃をお互いに向け、今にも発砲しそうな二人の男女の試験者がいた。
「誰だお前は」
二人いるうちの、眼帯を付けた女の方が聞いてくる。
「あー....人間陣営だが....今どういう状況だ?」
「.....説明しろ。」
男側が女を睨む。
「.....」
~~~~~~~~~~~~~
要約するとこうだ。
男をA、今消えた奴をB、女をCとすると、
AがBを撃った瞬間をCが見てしまったらしく、
Aが言うにはBが影霊陣営だったらしい。
まあそれをCが信じられない、ということだ。
「お前が影霊陣営なんじゃないのか?」
「違えよ。そう言ってるお前はどうなんだ」
「.....待て待て。」
ピリついている二人を止める。
「お前等ログって知ってるか?
それ見れば一目瞭然だろ。」
「「........」」
端末を開け、ログのアプリを開く。
ログには、
「影霊陣営が一人排除されました」と書いている。
それと、「残存人数10人
試験番号70番 脱落
46番→70番 排除」と書いてあった。
ログが出現した時間帯も一致する。
「ほら、正しいのはそこの男の人の方だぜ。」
女が申し訳なさそうな顔をして、
男に頭を下げる。
「う....疑ってすまなかった。
もうちょっと冷静になるべきだったな。」
「いや、こっちも悪かった。説明が足りなかった....」
ふぅ.....平和的に済んで良かった。
ま、仲間もできた。
クリアはもはや必然的だろう。
先へ進むか...........。
.....いや、ちょっと待て。
「.......そこの男の人、アンタ時計持ってるよな。
その”影霊陣営”とやらと会ったのはどのくらいだ?」
男が袖を捲り、時計を確認する。
「...3分14秒前だ。俺は1級目指してるだけあって、
時間をほぼ完璧に推測できるんだぜ。
まあ多少ズレはあるけどな。」
「そうか。ログもちょうど3分前ぐらいだな?」
「さっきから何言ってるんだ?
そりゃログとほぼ時間は同じになるだろう。」
女が俺に戸惑った声で言う。
「.......」
急いでホルスターから銃を抜き出し、
無言で男に銃を向ける。
「ちょっ.....何してるんだ....!?」
女が俺の腕を下ろそうとする。
「なんでお前は相手をすぐに”影霊陣営”だと認識したんだ?」
「.....は?」
「.....違和感は感じていた。
なぜなら、ログと出会った時間が”ほぼ同じ”なわけがないんだ。
少しは話し合いとかするだろ?
だが、それ抜きに即決してお前は影霊陣営の男に撃ち込んだ。
自分がペナルティを受ける可能性もあるのに。」
「.....」
男が黙り、臨戦態勢を取り始める。
「ま、さしずめ最初から影霊陣営ってわかってたんだろ?
なぜなら、お前も”影霊陣営”だからな。」
何も言わずに男が俺へと高速で蹴りを入れてきた。
流石一次試験を勝ち抜けたというだけあり、
とても速い。
だが.....
「フン!!!」
横にいた女が、
男を羽交い締めにした。
俺の方向へ男を向けてくる。
「やれ、少年。」
「あいよ」
男の胸元へと発砲する。
「.....あ....」
男の体が粉となって消えていった。
端末から音声が響く。
「影霊陣営が一人排除されました。
残存人数9人。試験番号46番、脱落」
なんか.....人間って汚いんだな.....
つづく




