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影葬の剣  作者: いうな
第五章 一級試験編
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第七十四話 会議

次の試験についてマナと相談するため、部屋から出る。


「......あ。」


「お......」


広間で若い男性が壁にもたれかかり、

タバコを吸っている。


「ネレイド。」


「よう。アリスだったか?」


「違えよ、俺は悠真だ。

 何してんだ?」


「いや、俺のチームに女がいたのは知ってるか?

 一次試験でそっち側に向かわせたはずなんだが」


「あー.....俺の腹を刺した奴か。」


「.....お前死んでないのかよ。」


「死なねえよ。にしてもなんでそんな役割させたんだ?」


こっちは二人だったため、

始めから3vs2の状況を作れば良かったのに、とネレイドに問う。


「.....アレは昔からの腐れ縁でな。

 妹分っていうやつだ。なんでもどうしても強くなりたいらしくてな。

 だが年頃の女を一人で行かせんのは男としてダメだろ?

 だから俺も影法師になった。

 俺は思ったよりツンデレらしくてな。

 アレに危険なことはさせたくなかった。」


「オッサンのツンデレ特性は.....きつくねえか?」


「わかってるさ。

 ......んで、同じチームだから同じ部屋って言われた瞬間、

 アイツは部屋に直行してな。半ば強制的に閉め出された。」


「気が合うな、お前。」


ネレイドの腕を引っ張り、握手する。


「何がだ......。

 ところで、お前の仲間は奈落から生き残ったらしいな。

 通知が来なかった.......、そうだ、タップの野郎はどうなった?」


「.........」


ネレイドから手を離す。


「......お前、エステルって言う奴と会ったか?」


「エステル......?いや、初めて聞く名前だな。

 ソイツがどうした?」


......?また俺は違和感を覚える。

エステルは会場を周って全員に洗脳を仕掛けたはずだ。

.....いや、タップは始めからか。


「じゃあ始まってから変なことはなかったか?」


「変なことかァ?

 あー......試験の途中、あの会場に何かが重なった感覚があったな。

 結界みたいなやつか?

 そこで俺が俺のチーム全員に防御の”基礎影法”【不可侵・微(アンバイオラブル・び)】を掛けたんだ。」


なるほどな.....コイツらのチームだけ

そういう術を使って回避したのか。

というか......


「......"基礎影法"って何だ?」


「.....はぁ?お前......冗談言ってるのか?」


言ってねえよ、と睨みつける。

ネレイドが本当に困ったような表情で俺を見た。


「.....まあ”箱”持ちから入った奴にはわからんだろうな。

 説明してやる。まず......」


「何してんのお前等」


聞き覚えのある声が背後から聞こえた。

後ろを見る。そこには、新しい戦闘服を着たマナがいた。

新しい戦闘服というのは、

特別に二年の俺ら二人に学校側が支給した、

いわば二つ目の制服だ。


デザインは勝手に神崎さんと玲さんで作ってしまったらしい。

正直自分でかっこいいのをデザインしたかった。


マナの戦闘服はオーバーサイズのパーカーに

ズボン、スニーカーという何ともストリートファッションっぽい

デザインだ。だが、見た目はそう見えるというだけで、

機能性は抜群らしい。

実際、マナのパーカーをテーブルに置き、

警察などが使っているような拳銃で試しに撃ってみたところ、

パーカーはおろか、下のテーブルにも傷がついていなかった。


話を戻そう。


「いや.....ネレイドに”基礎影法”とやらを教えてもらおうと思って。」


「......は?お前.....授業でやっただろ....しかも初期の....

 私がいた時だぞ......。」


「さ、”基礎影法”とやらを教えてくださいな」


マナから目を逸らす。

玲さんにバレてなくて良かった。


「まあ簡単なことだ。

 勉強をするとき、文字を使うだろう?

 いわば文字が”基礎”だな。

 だが文字を書くためにはペンが必要だ。

 そのペンが”影力”。”基礎影法”はペンだけで戦うイメージだ。

 ペンは剣よりも強しってな。」


「意味違うだろそれ」


「逆に言えば”箱”持ちは、pcにキーボードで打ち込んでいるようなものさ。

 影力の効率が圧倒的に良い。

 これが秘技師と影法師の圧倒的な違いだな。

 付け足すと、秘技師も”基礎影法”は使えるってわけだな。」


「.....俺も覚えた方がいいかな」


「いや、お前は十分強かった。

 そのままでいいと思うぜ。

 ところで、タップはどうなった?」


「.......」


話すべきか?いや、コイツならいいか。

マナに目配せする。


マナが顎で、いいぜ、と言ったような気がした。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「..........まァ確かに終始様子はおかしかったな。」


ネレイドが壁にもたれかかり、

そのまま床へとずり落ちていく。


タバコの火は既に消えていた。


「そして...だ。一番気になるのはそのエステルとかいう奴が

 消えたことだな。お前等も知ってると思うが、

 グループAの作る結界はそう簡単に入れるもんじゃねえ。

 手練れだぜ、ソイツ。余裕で0級よりも上だろうな。」


「そんなすげえの....?」


今度会ったら顔面一発ぶん殴ってやろうと思ってたのに。

0級ちょい上......。


「....マナと同じくらいか?」


「どうだろうな。ちょっとしんどいと思うぜ」


「.....そんな強いのかお前は」


ネレイドが新しくタバコを取り出す。


「とりあえず今は二次試験だ。

 あと10時間くらいで始まるだろう。

 俺はいつでもここにいる。

 .......聞きたいことがあったらいつでも来い。」


そう言い、ネレイドはタバコに火をつけた。

煙がゆっくり立ち昇っていく。


「随分協力的なんだな」


「別に俺もむやみやたらに殺し合いたいわけじゃねえ。

 意外と俺は平和主義でな。

 お前等を襲ったのもタップの提案だった。」


「.......そうか。じゃあまた今度」


「ああ。あともう一つ頼みがあるんだが.....」


「なんだ?」


「.....食料を持ってきてくれないか.....」


「ああ......わかった。」


   つづく

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