第六十二話 開戦
「にしても持ってくるの刀とスマホだけで
良かったのかなぁ.....」
「あん?私は何も持ってきてねえぞ」
バス停で暇つぶしにマナと話す。
今俺達は一級試験会場へと向かう
バスを待っている。
意外と近所にも影法師は多かったらしく、
俺達とは別に4人ほど受験者がいた。
「あ....アレじゃねえか?」
マナの目線の方向を見る。
そこには、空間の裂け目から出てくるバスの姿があった。
バスが俺達の目の前で止まる。
「行くか。」
「.....マナ。」
「なんだよ。」
前から言おうと思っていたことを打ち明ける。
「俺はぶっちゃけ、一級にならなくてもいい。
一級にならずとも、ノアの護衛くらいはできるしな。
だからその点で考えると、
お前が一級になること優先の方がいい。
お前の合格には魔法少女の命がかかってんだろ。
....常に本気でやれ。
試験を荒らすくらいの勢いでな。
お前ならできんだろ。」
「.......そうだな、ありがとな。
だがそれならお前も本気出せよ。
あまりにつまんなすぎてもアレだ。
何より試験では敵同士かもしれないしな。」
「まあその時はその時だな。」
会話を終え、俺達はバスに乗り込んだ。
マナが適当な席に座り、
俺はそれの2個後ろの席に座った。
バスのドアが閉まり、
バス停から発車する。
「ご乗車の皆様へご連絡です。
この度は一級影法師・一級遺物者一般昇級試験
にご参加いただき誠にありがとうございます。
ルールの説明を致します。」
もうルールを聞かされるのか。
ちゃんと聞いとかないと....。
「今回の第一次試験は三人一組のチームに分かれてもらいます。
チームの数は全部で24。
また始まると同時に全員に専用の端末が配られます。
なくさないようくれぐれもお気を付けてください。
また、絶命、端末の破壊、メンバー全員の意識の消失
または行動不能、意識が途絶えて40分以上経過した場合
......即失格となります。」
要は「死ぬな」「守れ」「勝て」
ってことか。
「それでは.....」
その瞬間、
バスの床が抜けた。
「えっ.....うおおおおわあああああああ!!!!」
下には雲と森林が広がっていた。
てかなんで空中にいんだよ!!
さっきまで住宅街だったろ......
.....まあ一級になると
影界の仕事も増えそうだし....
空中での対応力を量る試験でもあるんだろう。
......てかこの一次試験だけで
何人か脱落になるだろ。
一人だけのチームも何個か生まれそうだ。
.....まあとりま俺は影で着地できるから良い。
マナも地面への攻撃で着地できるだろうし、
なんなら気合いで飛べるしなアイツ。
だから今気にするべきは.....。
「おいアイツ見ねえ顔じゃねーか?」
「先に殺んぞ!!」
男二人が俺へ向かって剣型の
遺物を向ける。
これは玲さんが言ってた....。
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昨晩......
「一級試験は死ななきゃ何浪でもできる。
だからその分仕組みを熟知した奴もいるんだ。
いわば初心者狩りだな。
俺の試験の時もいたな。
だがそういう奴ほど油断してる。
冷静に対処しろよ。」
「玲さんは一発合格ですか?」
「いや、三次試験で一回落ちた。
その後スカウトされて1級を飛ばして0級になったんだ。」
「ええ......」
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いや三次試験何があんの?
まあいいや。
とりまこの状況を何とかしないと。
俺を狙ってるのは3人くらいか。
タイミングを見極めて撃ち落とす.....!
「【起動】!!」
「!!」
男二人の持っている剣が横向きに曲がり、
先端から黒い光線が発射される。
剣として使うんじゃないんかい。
体に影を纏って耐える。
思いのほか、衝撃は少なかった。
えーと....端末を壊されたら脱落だっけか?
しばらくは端末にだけ影を強く纏っておくか。
さて....
「【喰術影】!!」
手から弾性の影を出し、
俺を狙ってきた二人の男へと放つ。
「なんだこれ...!?」
「ぐあっ...」
影を巻き付け、拘束する。
そのまま二人を俺の頭上へと浮かべる。
端末.....。
振れば出てくるか。
影をあらゆる方向に曲げ、
空中で二人の体を、
ロープを付けた石のように振る。
「ぐあああああ!!」
「うっ...酔ってきた....」
.......!!!
二人の体からスマホのような形をした
端末が落ちてきた。
もう二本 影を出し、
全てキャッチする。
そのまま影で端末を握りしめる。
ガシャン!
端末が割れ、
破片が空中に舞った。
ピロン。
俺の懐から通知が鳴る。
「試験番号19番、72番、端末の破壊により脱落。」
端末に連絡が来たのか。
影で縛っている二人の方を見る。
「.....!?」
二人がどこからともなく現れた
影に飲み込まれていく。
「ちくしょおおおおおお!!!」
「もういやだあああああああ!!!」
二人の男は叫びながら、
影の中へと消えていった。
脱落するとああなるのか。
痛みとかはなさそうか?
下を見る。
もうすぐ地面というところだった。
まあここは木の影に入ればいいか。
俺は落ちる勢いに身を任せる。
とりあえず仲間を見つけないとな。
.....どうやって判別するんだ?
森へとどんどん落ちていく。
その時だった。
「危ない!!!」
「あ!?」
つづく




