第49話 「一号遺跡とヲタ通」
魔王城近郊 ―― そこには、一号遺跡が存在する。
現魔王に魔王軍の幹部が走り込んできた。
「魔王様!! 一号遺跡の封印が破られていました!」
「なに!? それで、封印されていた魔王はどこへ行った?」
「見つかりませんでした」
「セバスは?」
「セバスの姿も見当たりませんでした」
「……そうか。嫌な予感がする」
すると一人の部下が駆け込んできた。
「魔王様!!二号遺跡の封印が破られていました!」
「なに!!封印は破られていなかったではないのか?」
「それが、偽装されていました」
こうして、魔王城で緊急会議がはじまった。
「作戦『畏怖』の失敗に続き、復活した二柱の魔王が人間側につくとは……。さらに、もう一体、計り知れない存在まで現れるとは」
魔王ユダが机を叩いた。するとセイレーンが
「復活した二柱は、元の魔王様が善と悪に分かれた存在です。単純な戦力だけを見れば、全盛期の半分程度でしょう」
ユダは静かに目を閉じる。
「半分……か。ならば勝機はある」
「御意」
「ですが、侮ってはなりません。ライオン丸。そして――セバスチャンがいます。この二人が合流すれば厄介です」
ユダは小さく笑った。
「よい。ならば、まずは引き離せ」
「真なる魔王軍の反撃をはじめるのだ」
「魔物の準備はできております」
「魔王軍も準備できています」
「厄介なのは、あのもう一人の魔王だな」
「その通りです」
するとセイレーンが地図に線を書いた。
「このように3方向から攻めましょう」
「正面軍には魔物二万」
「右側面軍にも魔物二万」
「四部隊に分けます。部隊同士の距離を十分に取り、範囲攻撃を受けても1部隊しか被害が出ないようにします」
「それは名案だ」
「正面軍はあの勇者にやらせよう。勇者には正面で派手に暴れてもらう」
「そうだな」
「奴も喜ぶだろう」
「右軍には、さらに航空部隊をつける」
「そして我々本隊は航空部隊を中心に左翼へ展開する。そして、王国軍の注意が正面と右側へ向いた瞬間、一気に急襲します」
☆☆☆
風間SIDE
「今日から勇者様の世話をすることになった者だ。今後は、彼女たちに依頼するように」
そこには、小太りの木こりのような高齢の女性と黒いワンピースを着た少女が立っていた。
「アルオンジとアルハイジだ」
「お前たち、勇者様に挨拶を」
「私はアルオンジ。そして、こちらは、孫娘の」
「アルハイジです」
「けっ……年寄りとガキかよ。まぁ、よろしく頼むわ」
「はっ!!」
こうして、二人は控室にいった。
「使えなさそうだな」
「色気も何もない」
「そうだな」
☆☆☆
―――控室にて
「カミエル様…いかがでしたか」
「ん?何がですか」
「あの勇者です」
カミエルは優しい笑顔で
「あ?あの方ですか?」
カミエルは少し考えた。
「そうですね……。あの程度では、盾にもなりませんね」
その言葉にセバスチャンも頷いた。
「だから、身を隠すにはちょうど良い」
「左様で」
「しかし、封印が破られるとは……」
「あの土人形だけで封印を破るとは……」
「あの土人形は、ただの鍵穴だったはず。だとすれば、ミカエルの封印を解いたのも、誰かの差し金か」
「わかりません」
「まぁ…よい」
「さて、しばらく、様子見としましょう」
☆☆☆
一方、王都の広場では、皇帝が壇上に立っていた。
「諸君!!大儀であった。今日は、祝いの会だ。たらふく飲んでたらふく食べてくれ」
「カンパーイ!!」
「「「「カンパーイ!!!」」」
こうして、王都での大宴会が始まった。そして、王城の連中が、結奈の料理に驚愕していた。
特に驚いたのは皇帝陛下だった。
「なんだこれは!!」
から揚げをほおばって、満面の笑みを浮かべている。
「うますぎる!!おかわりだ!!」
そう言った途端に来た唐揚げの盛り付けを配膳係から取り上げた。するとフィリアが冷静に
「へ、陛下……それ、私のお皿です」
一方、ドロシーがクミにまとわりついている。
「クミ…今日は逃がさないわよ」
「あの…ドロシーさん」
「ドロシーと呼んで」
クミに抱きついたまま離れようとしない。そこに、魔王覇気が漂っていることにも気付かないほど、ドロシーは完全に酔っていた。
「ドロシーさん。そろそろ…」
「クミ...たら…冷たい!!」
「ドロシーさん…ひっ!!」
クミは、結奈の姿を見て驚いていた。
「ん?なんだ?」
結奈の電撃がドロシーとクミを襲った。
バチィィィ!!
「「あばばばばばばば!!」」
「……また始まった」
「今日は二人まとめてか」
「クミさん、ご愁傷様です」
「なんで俺までぇぇぇ!!」
《自業自得です。合掌!!》
「ナビ子まで合掌すんな――!!」




