第44話 「魔王とヲタ通 2」
結局、何も聞き出せななかった。魔王代理2号は、何も知らなかったのだった。
「ところでお前、本当は何者なんだ?」
ショボイ体で胸をはった。
「俺は魔王軍四大天王の一人!魔獣王!ライオン丸だ!」
俺はついていた頬杖が外れた。
「最後ぉぉぉ!!」
結奈も目が点になって、おもわず叫んでいる。
「途中までカッコよかったのに!」
なぜか、ライオン丸の横で魔王ははうんうんと頷いている。
「なんでライオン丸なんだよ!」
その言葉を聞いた魔王は、驚いた。
「ええ!!そこをツッコむで、ありますか?」
一方、結奈は頷く
「その名前、お父さん止めなかったの?」
「父君から授かった誇り高き名だ!」
「責任者がお父さんだった!」
「それで、なんでも今は魔王代理2号になったんだ?」
「それは」
その話をする前に、ライオン丸は結奈へ耳打ちした。
結奈は小さく頷くと、魔王を連れて少し離れた場所へ向かった。
「俺たちは、魔王様を守って勇者と戦った」
「戦いでは、負けていたわけではない。むしろ勝っていたのだ」
「じゃあ、なぜ?」
「それは、味方に裏切られたからだ。あいつに騙された。勇者が最大奥義、ファイナルアタックをすると言われ、避難壕に退避したら、そのまま封印された」
「なるほど」
「つまりお前も被害者か」
「そうだ」
「ところで前はどんな姿だったんだ?」
「顔はライオン」
「筋骨隆々」
「黒いパンツにビキニトップ」
「完全に覆面レスラーじゃねぇか!!」
「おぬしが言っている意味がわからないが」
すると魔王が走ってやってきた。
「クミーー!!」
そう言って、俺に抱きついて来た。
「おいおい。大丈夫か?そんなことして」
「結奈様の許可をもらったから」
俺に抱きつく魔王を怖い笑顔で見ている。結奈、ミリア、フィリアの姿があった。
「結奈、ミリア、フィリア、すまん。こんなことになって」
「いいよ。クミだから」
「そうそう。クミのお約束だし」
「魔王さんもかわいそうだし、あと、かわいいから許す」
「結奈様、ありがとうであります」
魔王は結奈に最敬礼をした後、再び俺に抱きついた。
「へへー、あーし、クミのこと大好き。ことよろ〜♡クミ♡」
「はにゃ」
そして、なぜか、はにゃ土偶が俺の足にしがみついていた。
「こいつは?」
三人は、遠い目をしている。
「はにゃ、はにゃ」
「……増えた」
《仲間が増えました。+1》
《はにゃ土偶は、おまけです。》
「え?」
《キャンペーン期間中につき、一体無料でプレゼントされました。》
「お前!!おまけなのか!?」
「はにゃ」
《返品はできません。》
「返品制度あるのかよ!!」
その時だった。
ライオン丸が何も言わず、再び封印されていた祭壇の前へ歩いていく。
「おい?」
ライオン丸は床に手を当てる。
ゴォォォ……
魔力が流れ込み、砕けていた封印が少しずつ元の姿へ戻っていった。
「……何やってるんだ?」
ライオン丸は真剣な表情で答えた。
「痕跡を消す。」
「え?」
「魔王様が復活したと知れれば、必ず追っ手が来る。」
その場の空気が少しだけ引き締まる。
「封印が残っていれば、まだ封印中だと思わせられる。」
「少しでも時間を稼ぐ。」
ルナ様が感心したように頷く。
「なるほど……。」
ドロシーも腕を組む。
「見た目はアレだけど、ちゃんと考えてるのね。」
「見た目は余計だ。」
ライオン丸は不満そうに鼻を鳴らした。
結奈も感心したように言う。
「意外と頭いいんだ。」
「意外とはなんだ!」
「だってライオン丸だし。」
「名前は関係ない!!」
「そこは気にするのか。」
「もちろんだ!」
ようやく場に笑いが戻った。




