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第4話 「二人の美女とヲタ通」


三人は、ギルド併設の酒場へ移動していた。夕方ということもあり、酒場の中はかなり賑わっている。焼いた肉の匂い、スープの香り、冒険者たちの笑い声、その中で、俺は妙に緊張していた。


「で、改めて自己紹介ね!」


赤髪の少女が胸を張る。


「私はミリア! 見ての通り剣士!」


確かに、腰には片手剣。革鎧も使い込まれている。


「まだEランクだけどね!」


明るい。めちゃくちゃ明るい。コミュ障には少し眩しいタイプだ。すると、隣のエルフ少女が静かに頭を下げた。


「私はフィリアです。魔法使いをしています」


長い金髪。整った顔立ち。いかにもエルフって感じだ。


「そ、それで俺は……」


「コウダクミ、だよね?」


ミリアが笑う。


「治療室で聞いた!」


「あ、うん……」


名前を言うだけなのに緊張する。


すると――。


《陰キャスキルが発動中です》


脳内にナビ子の声が響いた。


「うるさい……」


思わず小声で呟いてしまう。


「え?」


ミリアがきょとんとする。


「あ、いや、なんでもない」


するとナビ子が不満そうな声を出した。


《なお、陰キャスキルは私が発動したものではありません》


「わかってるよ!」


《これは久実様の標準搭載機能です》


「標準搭載言うな!」


「ぷっ……」


ミリアが吹き出した。


「なに今の、一人ツッコミ?」


「……変な人ですね」


フィリアまで少し笑っている。


「うぅ……」


穴があったら入りたい。


《コミュニケーション失敗率上昇を確認》


「黙れナビ子ぉ!!」


ミリアはそんな俺を気にした様子もなく、肉串を頬張った。


「しかし、本当に助かったよ〜」


「……ガーウルフって、そんな強いの?」


俺が聞くと、フィリアが真面目な顔になる。


「通常は二〜三匹程度です。ですが今回は群れでした」


「群れ?」


「繁殖期なのよ」


ミリアが酒を飲みながら言う。


「この時期のガーウルフって、妙に凶暴化するんだよね〜」


「しかも運悪く、上位種まで混じっていました」


「あー……銀色のやつか」


思い出しただけで怖い。すると二人が不思議そうな顔をした。


「よく倒せたよね」


「普通の新人では難しいと思います」


「いや、あれは……」


オタク知識です、とは言えない。


「……勘?」


「勘でガーウルフ倒す人初めて見た!」


ミリアが爆笑する。その時だった。隣の席の女性冒険者たちの会話が聞こえてきた。


「いいよねぇ、男の人」


「最近サポートセンターも抽選だしね〜」


「この前なんて三週間待ちだったよ?」


俺は首を傾げた。


「……サポートセンター?」


ミリアが「あっ」という顔をする。


「クミって、ほんと世間知らずなんだね」


「え?」


フィリアが静かに説明してくれた。


「この国は、男女比が極端に偏っています」


「偏ってる?」


「男性一人に対して、女性がおよそ十人前後です」


「じゅ、十!?」


「魔力が高い。王侯貴族だと数えるほど」


「そんなに…男が少ないの」


思わず変な声が出た。


「だから、見なよ」


今気づいた視線が痛い。ミリアは酒を飲みながら続ける。


「だから普通の男の人って、ほとんど働かないんだよ」


「え?」


「家にいるか、“男性サポートセンター”所属かな」


嫌な予感しかしない。


「そこって……何する場所?」


フィリアが少し言いにくそうに口を開く。


「生活支援施設です。住居や食事、医療補助もあります」


「へぇ……意外と普通?」


「その代わり、週に一度、“提供義務”があります」


「提供?」


数秒後。意味を理解した。


「…………あっ」


ミリアが頷く。


「精子バンクだね〜」


「ぶっ!?」


危うく酒を吹きそうになった。


「男の人少ないからさ〜」


「いや、なんだその世界!?」


「だから男の人って大事なんだよ?」


ミリアが酔った勢いで、ぐいっと顔を寄せてくる。近い。めちゃくちゃ近い。


「しかもクミ、結構いい感じだし」


「へ?」


「魔力多いし〜」


フィリアまで頬を赤くしていた。


「……確かに、先程から妙に落ち着きます」


なんだこの状況。そして酒は進む。


一杯。


二杯。


三杯。


気づけば三人とも完全に出来上がっていた。


「ねぇ〜クミィ〜」


ミリアが肩へ寄りかかってくる。


「男の人って週一回しかできないんだよ?」


「へ?」


「取り合いになるの」


するとフィリアが真顔で言った。


「なので、女性同士で順番を決めることも珍しくありません」


「……順番?」


ミリアが突然立ち上がる。


「じゃんけんしよ!」


「なんで!?」


「えいっ!」


「最初はグー!」


酔っ払い二人が本気でじゃんけんを始めた。しかも妙に白熱している。


「勝ったぁ!!」


「くっ……」


「何の勝負なんだよ……」


ミリアがにやにやしながら俺を見る。


「ひみつ〜」


嫌な予感しかしない。


☆☆☆


その後、さらに酒が進み、気づけば、三人は肩を組みながら街を歩いていた。


「クミ〜ふらふらしてる〜」


「ミリアの方が酔ってるだろ……」


「……宿に入りましょう」


フィリアが爆弾発言をした。


「へ?」


「このままだと危険です」


「そ、そうだね〜!」


二人に両腕を掴まれ、そして、そのまま、流れるように宿へ入っていった。


☆☆☆


《魔力循環条件を確認》


《パーティリンク成立》


《魔力通環を開始します》


「……へ?」


頭の中でナビ子の声が響く、その直後だった。視界がぼやける。熱い。下全身が熱い。ミリアが、ぼんやりした目でこちらを見ている。徐々に顔が近づいてきた。


「なんか……身体熱い……」


フィリアも息を乱していた。


「魔力が……共鳴しています……」


《初級魔力通環を自動実行します》


「ちょっ……待っ……」


そこで、俺の意識は途切れた。


☆☆☆


目を覚ますと知らない天井、何故が、柔らかい感触が両側にあって、もぞもぞと動いた。


そして――。


「……は?」


裸だ。完全に。


「え?」


左右を見る。


ミリア。


フィリア。


二人とも裸、しかも普通に抱きついて寝ている。


「ななななななっ!?」


俺は飛び起きた。その瞬間。ぽろっ。


「うわぁぁぁぁっ!!」


慌てて毛布を掴む、するとミリアが目を擦りながら起きた。


「ん〜……朝ぁ?」


そして、自分の姿を見る。


数秒停止。


「……え?」


次の瞬間。


「きゃぁぁぁぁぁっ!!」


絶叫。


その声でフィリアまで飛び起きた。


「な、何事……え?」


数秒後。


「……………………」


無言で毛布へ潜った。顔だけ真っ赤だ。


「ち、違う!! 俺何も覚えてなくて!!」


「わ、私だって覚えてないし!!」


「……魔力通環、ですね」


フィリアだけが比較的冷静だった。


「魔力酔い状態で、無意識に発動したのでしょう」


「そ、そんな勝手に発動するもんなの!?」


《します!》


ナビ子が元気よく答えた。


《初回パーティ接続成功です!》


「お前のせいかぁぁぁ!!」


しかし、ミリアが急に残念そうな顔をした。


「……でも」


「え?」


「全然覚えてないの、ちょっともったいないかも」


「ぶっ!?」


フィリアまで小さく頷く。


「……確かに」


「同意するなぁ!!」


《現在ステータスを表示します》


半透明の画面が現れる。


《個体レベル上昇を確認》

《レベル:1→3》

《魔力量増加》

《身体構成最適化開始》

《脂肪燃焼補正を確認》

《筋肉密度微増》

《スキル適応処理開始》

《ヲタ通:カテゴリ解析》

《新規機能解放》

・簡易解析

・素材合成

・初級戦術補助

・マップ連動表示

・モンスター弱点補正


《未接続カテゴリを確認》

・SF

・ロボット

・近未来兵器

・宇宙戦術

・異能戦闘

・超常解析

・料理特性

・魔法特性

・戦国特性


《現在レベル不足により制限中》


「……なんだこれ」


俺は自分の腹を見る。


「あれ……?」


昨日まであった肉が、少し減っている。腹も、ほんの少しだけ引き締まっていた。


「え、マジで……」


身体が軽い。立っただけで違う。するとミリアが目を丸くした。


「……なんかちょっと顔変わってない?」


「へ?」


「目元、少しスッキリした気がします」


フィリアまで頷く。


「魔力循環による身体最適化かもしれません」


《脂肪燃焼補正は正常です!》


「その機能いる!?」


するとミリアも驚いた顔をした。


「え、私も魔力上がってる!」


フィリアも自分の手を見つめる。


「……身体強化効率が上がっています」


《パーティ全体へ成長補正が発生しました》


「……なんだこのチート」


《オタ通は素晴らしいスキルです!》


ナビ子がドヤ顔している気がした。その時だった。ミリアが、にやぁっと笑う。


「ねぇクミぃ」


なぜかエロい声でしかも顔が赤い。


「え?」


「……もう一回、やっとく?ほら」


俺のチンポを握った。


「うは?」


「こんなに元気」


次の瞬間、


どんっ。


二人に押し倒された。


「ちょっ!?」


「今度は覚えてたいし〜」


「検証は必要です」


「フィリアまで!?うぐ…」


裸で押さえつけられて、二人にチンポを握られた俺に逃げ場はなかった。なお、この後は――。想像にお任せします。


読んで下さりありがとうございます。


・面白かった、楽しかった


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と少しでも思ってくださった方は、画面下部の☆☆☆☆☆を★★★★★にして応援して下さると嬉しいです。


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