第33話 「ギルドランクアップとヲタ通」
クミたちは、ギルドにやってきた。ミリアとフィリアも機嫌がいい。受付には、ツヤツヤした顔のリリナさんがいて、書類を取り出していた。結菜は少し寝不足気味っぽい。
「さて、今日は皆さんのランクアップについて説明します」
「ランクアップ?」
クミが首を傾げる。
「そうです。今回の決闘や依頼達成によって、ランクアップするのは皆さん知っていますよね。そして、今日、ランクアップ条件を満たしているか確認をいたします」
すると結奈が聞く。
「条件って?」
リリナさんは指を立てた。
「実績」
「ギルドへの貢献度」
「メンバーのレベル」
「これらを確認中です」
しばらくして。
リリナさんが紙を見ながら告げた。
「結果です」
全員が身を乗り出す。
「ランクアップは、できません」
「えええええ!?」
驚いたのはミリアだったが、クミは逆に安心していた。
「よかった」
「何がよかったなのよ?」
「ほら、前のランクアップ時、試験が大変だったから」
「そ…そんなに大変なの」
「あっ、そうか。結菜いなかったんだ」
するとフィリアが
「そうそう...あの時は大変だったね」
ミリアもうなずいている。
「レベルは全然足りないし、クミはバカばっかりやるし‥」
「そうそう…」
《クミがばかばっかりしましから》
「言うなぁああああ」
すると結奈は、こう思ったに違いない。案だけ訓練しているのになぜ?クミ君だけレベル上がるの遅いんだろうか?
するとナビ子が
《安心してください。クミさんはランクアップ試験に落ちます》
「安心できねぇ!!」
ミリアは肩を落とした。
「ナビ子までそういうなら、仕方がなし。でも、上がるなら上がりたかったな」
フィリアも頷く。
「私も同感です」
すると結奈は、「わたしは、どっちでもいいかな」とあっさり答えた。
リリナさんは呆れた顔になる。
「あなたたち欲がないの?」
「別に」
「今の生活で困ってないし」
実際、クミたちは金欠気味ではあった。しかし、普段は自分たちで稼いだ金だけで十分生活ができていた。そのため、ランクアップへの執着がほとんどなかった。
「では理由を説明します」
リリナさんは資料を見せる。
実績 達成 〇
貢献度 達成、〇
レベル 未達 ×
「パーティーのレベル不足が原因です」
「誰が?足を引っ張っているんだ」
すると全員がクミを指さした。
「「「クミ(くん)!!」」」
そこに間髪を入れず
《圧倒的にクミです》
「うぐっ」
《クミが足を引っ張っています》
「うぐぐっ」
《その通りです》
ミリアがため息をつく。
「否定できないのが悲しいわね」
フィリアも頷く。
「事実です」
「仲間だろお前ら!!」
☆☆☆
今日はクミたちが、ギルドの訓練場に来ていた。クミたちは時々通って、訓練をしているが、昨日の結果を聞いて、やはり弱い自分を鍛えなおさないとと思ったクミが、リアにお願いして、やってきたのだった。
「クミ、本当にやるの?」
「やる」
「ボコボコになっても知らないわよ?」
「大丈夫だ。お願いする」
クミが訓練用の槍をかまえるとミリアは、木刀を構えた。
「行くわよ」
槍という有利さをミリアは、スピードで圧倒した。
バシィ!!
「ぐぇ!!」
開始3秒、クミ吹っ飛んだ。
《敗北を確認》
「ナビ子!!決定が早すぎる!!」
クミは、立ち上げって再び立ち上がるが、ミリアは首を横に振った。
「いや、クミが弱すぎるのよ」
《その通りです》
「ナビ子まで!!」
クミは、槍を構えた。
「まだだ!!」
するとミリアが一言
「無駄よ」
「え?」
「今のクミでは、無理」
「なぜ?」
「いまだに魔力がうまく使えていないからよ」
「しかし」
それは、クミも知っていた。魔力を循環させるとすぐに魔力不足になる。なので、あまり使えない。
「いや。もう一度だ」
「はぁ...意味ないけどね」
クミは考えた。初手は、ちゃんと受けるように魔力を使おうと考えているとナビ子のアドバイスがあった。
《クミ、初手と次の手くらいまでは、魔力を使ってください》
「では、行くからね」
ガン!!
ミリアの剣を槍で受けたクミ
《次を予想して行動してください》
「ぐふぅ…」
クミの予想は外れ、ミリアの蹴りが腹に入ってきた。しかし、魔力を込めていたので、何とか吹き飛ばされなかったが、しりもちをついた次の瞬間、ミリアの剣先は、クミの頭でピタッと止まった。
「これで君は死んだよ」
「くっ!!もう一度!!」
クミは何度も繰り返した。そして、魔力切れになった。
「今日はここまで」
すると結奈がやってきた。
「ミリアさん。たまには稽古をつけてください」
そして、練習場の隅でへばっているクミを見つけた。
「クミ?どうしたのこんなところで」
「珍しく訓練を手伝ってくれってね」
「それで?あの状況は」
「魔力切れよ」
「だったらこれを飲ませましょうか」
結奈が赤い液体の入った小瓶を見せた。
「それは?」
「魔力回復ポーションよ」
「へ―高いんじゃないの?」
「今度、ポーションも取り扱うことになったから、商品サンプル」
「クミ!!魔力ポーションだって、飲んでみる」
クミは有無を言わさず飲んだ。次の瞬間「かはっ」と声をあげたかと思うと、顔色が真っ青になって、口を押えた。苦いでもなくまずいでもなく、ただ、気持ちが悪くなる味がした。そして、胃袋から全身に何か得体のしれないものが駆け巡って、クミはバタンと倒れた。
「クミ!!大丈夫?」
すると結奈が
「大丈夫よ。たぶん」
「たぶんって」
「うちの従業員も同じだったから」
「あっ…そう」
しばらくして、よみがえったクミ。ちょうどその頃、結奈はミリアと訓練をしていた。そして、クミが復活したのに気づいた結奈は、クミに声をかけた。
「じゃぁ、私が相手してみようか」
「え?結奈が?」
「私じゃ不満?」
「いや、そうじゃないけど、結奈で大丈夫?」
結奈がにこりと笑った。しかし、その目は怒っていた。そして、槍を構えたクミに向かって、剣を構えた。
「じゃあ。遠慮なく行くね」
するとミリアが叫んだ。
「結奈!!ちょっと待!!あーあ」
ドゴォォォォン!!
「ぐふう!!」
結奈は、一瞬でクミの懐に入って、剣を一振りした。何もできなかったクミは、壁まで吹き飛ばされていった。
「弱っ」
「結奈!!あんたね。クミがいくら弱いからって壁ドンしたらかわいそうでしょ」
《現在の能力は以下の通りです》
ミリア
筋力35
魔力80
結奈
筋力40
魔力120
クミ
筋力21
魔力53
クミはミリアと結菜の訓練を見ていた。
「俺はどうしたらいい?」
《柔よく剛を制すです》
「柔道?」
《違います》
「合気道?」
《違います》
「受け身?」
《惜しいです》
「わからん」
ナビ子が説明する。
《受け流しです》
《後の先》
《相手の攻撃を受け流し》
《反撃の瞬間だけ魔力を使うのです》
クミはしばらく考えた。そして、剣を槍で受け流す。簡単に言うけど、やってみる価値はある。
「なるほど」
《風間戦では受け止めました。しかし、今回は剣を槍で受け流します》
こうして、ミリアに訓練をお願いした。クミの訓練が再開した。
「ほら。ここが甘い!!」
槍が空を切って、ミリアの剣が胴にはいった。
バシッ
「ぐぇ」
この日は失敗だけで終わった。しかし、この後、クミは一人で受け流しの練習をしていた。
翌日、ミリアと訓練をしていた。すると何十回目かのことだった。ミリアの剣を槍で受け止めた瞬間、
「今だ!!」
槍の角度を変えて、ミリアの剣を滑らした。
ズルッ
受け流し成功とクミは、声を上げた。
「やった!!」
しかし、そんな隙をミリアは、見逃すわけがなかった。
ドゴォ!!
「ぐはぁ!!」
ミリアの蹴りがクミの腹部に入った。
《反撃前に蹴られました》
こうして、クミは何回か受け流しを練習した。
「ちょっとましになったな」
「そうかな」
「まだまだだけどな」
「ミリアありがとう」
すると結奈がやってきて、
「へえ…クミできたんだ。で?どうやるの?」
結奈が一回目で成功した。
「こう?」
スッ
受け流し成功
ドン
反撃成功
「できた」
「なんでだよ!!」
《才能の差です》
「言うなぁぁぁ!!」
この日の練習はクミにとって、かなり充実した内容だった。するとミリアが
「まあ、前よりは良くなったよ」
「ほんとか?」
「オーク相手なら」
《そうだね。10秒くらいは、生存できます》
「褒めてねぇ!!」
そんな話をしているとことに、リリナさんがやってきた。
「国からご指名依頼です」
「へ?」
「王城から?」
「そうです」
クミたちは嫌な予感しかしなかった。
「内容は」
「男子勇者たちの再訓練補助」
「へ?」
「俺たちが?」
リリナさんが頷く。
「女子勇者組も補助要員として参加です」
「嫌な予感しかしない」
クミが呟く。
《安心してください》
「その台詞やめろ」
《今回も面倒事です》
「やっぱりぃぃぃ!!」
読んで下さりありがとうございます。
・面白かった、楽しかったは
・続きが気になる
と少しでも思ってくださった方は、
画面下部の☆☆☆☆☆を★★★★★にして応援して下さると嬉しいです。




