第26話 「勇者パーティーとヲタ通」
午後からは全員集合。訓練場に向かって廊下を歩いていると彩音を見つけた。
今回の集合は、女子も一緒だったとは、しかも、俺に気のある彩音と会えるとはついている。この世界に来て、女のは事欠かないが、ほとんどが年上。つまり、おばさんの相手をさせられている。最初は、エッチができるということで喜んでいたのだが、最近は、やらされていると言った方がいい。
同じ年の女の子と会う機会がないので嬉しい。こいつは、男女が分けられる少し前まで俺に好意を抱いていた。ということは、チャンスと思って声をかけた。
「彩音!!」
彩音が振り返り、俺に「あっ風間君っ!!」と言ってくるかと思ったら、少し困ったような顔をしている。
「何?」
「最近全然来ないじゃないか」
彩音は息を大きく吐いた。そして、俺と目を合わそうとしない。
「い…行くわけないでしょ」
目を合わせない。そして、この話し方、俺には悪いと思っているに違いない。むしろ会えなかった寂しさなのかもしれない。俺は笑顔で近づいて話しかけてみた。
「まだ怒ってるのか?」
すると彩音は、俺から少し離れた。
「怒ってる?...ち...違うわよ」
なるほど、怒っていないということは、やはりまだ俺に未練があるに違いない。そういえば、この前抱いた女は、『嫌よ嫌よも好きのうちよ』なんてことを言っていた。ということは、一人ボッチで寂しがっているのか
「寂しかったのか?」
すると、彩音の顔はこれまでにないくらいゆがんだ。図星を突かれたからだ。やっぱりそうだ。俺のことがまだ好きなんだ。
「は?近づかないで!!」
「なんだ、俺はお前のことが気に入っているんだけど…」
「はぁ~?いい加減にしてよ。もう、私に二度と近づかないで!!」
「何言ってるんだ」
「風間!!自覚ないの?」
「何のことだ?」
「あんたと一緒にいたら、命がいくつあっても足らないの。私、まだ死にたくないの。だから、これ以上近づかないで?」
「何を言っている。俺は勇者だぞ?そんなことがあるものか。彩音。それに俺のことがまだ好きなんだろ」
俺が手をつかんだとたん振りほどいた。
「もう!!いい加減にしてよ!!風間よりよっぽど国府田の方がましよ!!」
「なっ!?」
「少なくともあっちは結奈を守ってるし。仲間を殴ったり、脅したりしない」
「違う!!結奈は騙されているんだ!!キモブタなんかと一緒に暮らしているんだぞ!!どうせ毎日洗脳されてるに決まってる!!」
「は?本気で言ってるの?」
「当然だ!!」
彩音はなぜか顔を抑えている。そうか、口ではああ入っていても、本音は違うんだ。だから、言わないとみんなを元に戻すには結奈を取り戻さないといけない。
「だからこそ結奈を取りものさないといけない。そして、キモブタの洗脳から解放してやらなければならない!!」
「今更、何を言っているのよ。もう元に戻ることはないわよ」
顔を背けて言うなんて、まさか、彩音もキモブタの洗脳を受けているのか、だそしたら納得がいく。顔を背けているのは、洗脳に抵抗している証拠だ。ここですべてを話せば、彩音と…
「結奈が戻ってくれば全部元に戻る。だから、今から俺についてきてくれないか」
俺は彩音の腕をつかんだ。
「……戻らないわよって、手を放しなさいよ!!」
「戻る!!」
「戻らない」
「戻るんだ!!」
「だから戻らないって」
まさか、さっきから様子がおかしいと思ったら、彩音も...そういえば、結奈のところに行ったって聞いたことがあるということは
「やはり、お前まで洗脳されたのか!!今すぐ俺が隷属魔法を解いてやる!!」
今度は、彩音は、手を振りほどこうと抵抗をしてきた。
「何!!わけのわからないこと言っているのよ。はなしてよ!!」
その時だった、
「風間、彩音に何をしている?」
低い声、振り返ると瑞稀が立っていた。しかも、すでに剣を抜いて、剣先は俺の鼻先に来ていた。
「げっ!!」
「その手を放しな」
「チッ」
俺は逃げるしかなかった。
☆☆☆
「相変わらずね」
「うん」
「昔は好きだったんだけどなぁ」
「見る目なかったね。彩音」
「ほんとね」
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