第14話 「ランクアップとヲタ通」
...風間Side...
―――王城の訓練場にて
訓練場に集められた俺たちに衛兵長から訓示があった。しかし、それは、女子の連中のためのものであった。
「瑞稀、この度のガ-ウルフ討伐、ご苦労であった」
「はい」
「しかし、訓練はこれから佳境に入っていく、次の目標はゴブリンリン討伐だ。こやつらを倒せるようになってやっと一人前、それまでよく精進しておくように」
「はい」
そして、今回の討伐結果に伴った褒章が瑞稀に渡された。本来は勇者である俺があそこにいるはず。女子たちが悪い。俺たちをおとりに使いやがって…前回のガ-ウルフ討伐での戦果は、ガ-ウルフ4匹、それ以外はすべて女子たちが倒した。俺たちが囲まれても、後ろで待機して、俺たちが前で食い止めてる間に、後ろから攻撃しただけじゃないか。俺は、衛兵長に抗議した。
しかし、衛兵長は、
「わかった」
とだけ答えた。
その時の俺は、
まさか本当に女子と切り離されるとは思っていなかった。
「この度の件で、男子組と女子組双方から申し入れがあった。よって、お互いの言い分をこちらで検討した結果を伝える」
来た。これで今度こそ、俺たちが…と思っていると
「今後、男子組と女子組は別行動とする」
「え?」
俺を含め、竜也、リク、そして、幸一、男子のすべてが驚いていた。一方で、女子はというと歓喜の声を上げていた。
「衛兵長!!何かの間違いでは」
すると、衛兵長は、すました表情で
「風間!!何を言っている。君の言い分をちゃんと聞いたではないか」
「は?」
「女子たちが足手まといだから、何とかしてほしいとの申し出だったよな」
「それは…」
ガーウルフ討伐の後、俺たちは、男子のみんなで話し合った。
「女子がいけないんだ。あんなところに逃げやがって」
「そうだ。そうだ」
「だから、足手まといなんだって」
「そうそう、臆病風に吹かれて、立ち止まっていたに違いない」
「おれは、衛兵長にこう申し出をする。『足手まといの女子を何とかしてくれ!!』これでどうだ」
「そうだ!!そうだ!!今回の失敗は女子が臆病になって動かなかったせいだ」
「頼んだぞ!!風間」
「おう!!」
こうして、俺は、『足手まといの女子を何とかしてくれ!!』と言ったのは事実だ。
「衛兵長!!それは」
「何か問題でもあるのか?」
「確かにそういいましたけど」
「だったらいいじゃないか」
「ですから」
「この度はご苦労であった。さっきも言ったが、今日から男女別々で行動することになる。来週、もう一度、男子、女子、別々でガーウルフ討伐を行うので、しっかりと準備をしておくように」
何故こうなった?なぜだ?そして、今までのことを振り返るとおかしくなった原因は、結奈が、キモブタ側についたせいで、女子たちまでおかしくなった。
結奈さえ戻れば、また元に戻るはずだ。
一週間後、俺たちは、ガーウルフ討伐に行った。やはり、取り囲まれ、防戦一方、俺が何とか、ガーウルフの一角を崩して、全員脱出することができた。女子のことはわからない。しかし、さらに俺を苦しめることを言われた。
「以上の4名を戦力外とし、勇者パーティーから外す」
最初、クラスメイトは三十人。
男子は十五人いた。
そのうち五人は、最初から戦力外。国府田も含む。
一人は、訓練中の事故で死んだ。
そこから更に、今回四人が外された。
残ったのは――
俺、竜也、リク、幸一、そして、おとなしい伸一だけだった。
「そんな!!この人数で、どうしろって!!」
「頑張りたまえ、勇者殿」
そう言い残して衛兵長は去っていった。
「―――っ!!ふざけるな―――!!」
☆☆☆
一方、皇帝は、宮廷魔導士であるルナを呼び出した。
「ルナよ。そなた、何か隠しているのではないか」
「皇帝陛下、それはありませぬ。コウダに関しては、前回、提出した通りです」
「誠か」
「それでは、ギルドから最新のコウダのデータをお見せします。おい、ここにもってこい」
すると衛兵の一人が、ギルド水晶を持ってきた。ギルド水晶には、登録されている冒険者のランク、スキル、体力などが分かる。現代でいう端末的なものになっている。
「ふむ…確かに、ルナの言うとおりだな。一応Eランクになっているが、この二人、ミリアとフィリアがEランクだから、補助的に上がっているということだな」
「左様で」
そう答えながら、ルナはわずかに眉を寄せた。
「わかったが解せぬ。ルナよ。もう一度、コウダのところに行き、奴を調査せよ」
「わかりました」
☆☆☆
〜クミSide〜
あれからの日々、俺たちは、薬草採取、低ランク魔物討伐、時々、実習訓練という日々を送っていた。特に実習訓練は、おいしい、何せ報酬がいいんだけど、警戒している女子たちを相手だから、俺は窮屈だ。しかし、実習ということで、ミリアとフィリアはべたべたできるので、喜んでいて、結奈は、クラスメイトと会う機会ができたことで、喜んでいた。しかし、最近、茉子が話しかけてくるようになった。それは、俺だけでなく、ミリアとフィリアにも話かけてきて、一連の流れみたいな感じで俺に話しかけてきていると思う。
《その通りです。クミを狙って話をしていませんので、勘違いしないでください》
うるせぇ!
こうして、俺たちはいつも通りギルドの受付に来ている。するとリリナがある書類を見せた。そこには ランクアップ試験の文字があった。
「ランクアップ試験?」
「はい。クミのパーティのギルドポイントが、ランクアップ試験に合格したら、Dランクに上がれるまでたまっているのよ。本来なら自由なんだけど、普通は断る人がいないから、当然受けるよね」
俺はミリアとフィリアの顔を見た。すると、嬉しそうにうなずいた。そして、結奈を見ると真剣な表情をしながら、受けましょうと呟いた。
《ランクアップすべきです》
ナビ子はやたらと素直だった。
《Dランクに上がると、基礎報酬がその分上がります》
「そっち?」
《クミは無駄遣いしすぎです》
「うるせぇ!!」
「クミ君は、いったい何に使っているのかな?」
結奈の笑顔が怖いんだけど、するとミリアとフィリアが俺の横でおなかを撫でるとプルンプルンとたわんでいる。
「すべてこれ…」
《クミは、お金を脂肪に変換しています》
「最近ちょっと抱き心地よくなったわよね」
「前はもっと硬かったもの」
「お前らやめろぉぉぉ!!」
するとドン!!という音が机からした。振り返るとリリナの顔は笑顔なんだけど、いっぱい怒りマークが見えた。
「じゃれあうのは、他でやっていただけるかしら?」
《警戒情報!!警戒情報!!》
俺たちの前に浮かんでいる。画面の文字が赤く表示された。
《リリナさんから魔王覇気を感知》
「やべ!!」
「だれが!!魔王よ!!」
逃げたいが、今は、ランクアップ試験の話をしないとと思って、リリナの話を真剣に聞くことにした。
「討伐対象は――ゴブリンリンです」
その瞬間。
「「「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」
俺とミリアとフィリアの声が重なった。
結奈だけが、
「え? そんなに嫌なの?」
と不思議そうに首を傾げている。
《クミたちが露骨に嫌な顔をしています》
「いや待て待て待て!!」
俺は机を叩いた。
「あいつらマジでウザいんだって!!」
「「そうよ!!」」
前回、あのゴブリンリンたちを討伐できるまでは、本当に苦労した。
逃げる。
隠れる。
石を投げる。
挑発する。
仲間を呼ぶ。
匂い玉をはじめとする度重なる作戦の失敗。最後のボブゴブリンリンとの死闘
とにかく最悪だった。
《なお、クミは同族嫌悪の可能性があります》
「誰がゴブリンリンだ!!」
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