第18話 歳
一ヶ月が経った。
村は落ち着いていた。
争いが減った。魔石が安定して集まるようになった。狩り以外の仕事をする人も出てきた。畑を耕す人、建物を作る人、料理をする人。
カイはそれを見ながら思った。
——うまくいってる。
◇◇◇
スミレを含めた数人を、マイが配下にした。
マイが直接管理するのではなく、配下が間に入る形にした。転生者の声を聞いて、マイに伝える。マイが判断して、配下が動く。
スミレは配下になることを、一日考えてから答えた。
「わかりました」とスミレが言った。「でも一つだけ条件があります」
「なに?」とマイが聞いた。
「困ってる人の話を、ちゃんと聞ける時間をください」
「うん」
それだけだった。
◇◇◇
スキルについても変えた。
氷弾と回復魔法の二択ではなく、スキルポイントという形で配布することにした。ポイントを使って、自分で取りたいスキルを選べる。
カイがその仕組みを考えた。マイが設計した。
「よくできてるな」とカイが言った。
「あたしとカイで考えたから」とマイが言った。
◇◇◇
出会ってから半年が経った頃の朝だった。
二人で村を見下ろしていた。
カイがふと言った。
「マイって、歳とらないよな」
「うん」マイが当然のように答えた。「でも魔人ってそんなもんじゃないの?」
カイは少し止まった。
「そうだな」
「カイもそうでしょ?」
カイは村を見ていた。
「ああ」
「よかった」マイが言った。「カイだけ歳とったら嫌だから」
風が吹いた。
カイは何も言わなかった。
——俺は違う。
それだけを思った。マイには言わなかった。




