第13話 澱み
翌日から、狩りに出る人が減った。
朝になっても広場に残っている転生者が増えた。思い出の品を抱えて、ぼんやりしていた。アルバムをめくっている人がいた。携帯電話を眺めている人がいた。電源は入らないのに、ずっと見ていた。
カイは声をかけなかった。
◇◇◇
二日目、スミレがカイのところに来た。
「魔石が減ってます」
「わかってる」
「狩りに出てるのは十人くらいです。このままだと食料が」
「しばらく様子を見る」
スミレは少し黙った。
「カイさん、みんなの気持ちわかりますか」
「わかる」
「家に帰って、余計につらくなった人もいると思います。行かなきゃよかった、って」
「そうかもしれない」
「でも行かないと諦めもつかなかった」
「そうだな」
スミレは広場を見た。ベンチに座ったまま動かない男がいた。アルバムを膝の上に置いて、空を見ていた。
◇◇◇
三日目の夕方、声が上がり始めた。
「なんでカイだけ転移鏡を持ってるんだ。俺も自由に色々行き来したい」
広場の隅から聞こえた。三十代くらいの男だった。
「俺たちは毎日狩りをしなきゃいけない。でもカイは魔王のお気に入りで特別扱いだ」
誰かが頷いた。
「魔王に頼らないと家にも帰れない。俺たちは一生ここで魔王のために働かされるのか」
声が大きくなった。
カイは広場の中央に立った。
「なんで魔王はカイの話だけ聞く。俺らの話を聞かないんだ」
カイは答えなかった。
男が一歩前に出た。
「魔王はどこだ。直接聞きたい」
建物の影で、マイがその場面を見ていた。




