星なき者達の購買戦争
人物紹介
【マンダリン・クリッテ】(1)
今はまだ登場していないが、国王であるムチダ・クリッテから存在が明らかになっている。
現在10位。兄のイッタ(卒業生)と妹のナニィ(4歳)がいる。
【フレイジス・コルエス】
1限と2限が終わった俺達は昼食を買うため、購買にやって来た。
フエーラーの攻撃で受けた傷は、しっかりと治った。
……といっても、保健室の職員の方による”治癒魔法”のおかげだが。
オイシーネに”フエーラーが勝った”と聞かされた時は、分かってはいたが、認めたくなかった。
俺は大人に負けたことは何度かあったが、初めて同じ年の子供に負けたのは、今まで鼻が高かった俺にとっての、初の挫折だ。
ただ、”俺が強い”という自信が消えた訳ではない。
かといって、”俺が負けたのはまぐれだ”とか言ったりはしない。”まぐれ”は嫌な言葉だ。学園に入る前、俺に負けた奴らに何度言われた事か……
「あ。」
購買に着くと、フエーラーが”ワイバン肉のソースパスター”と”卵プリリン”を買っていた。
どちらもこの購買にとっては人気の商品だが……俺達は違う。
俺達スターエイトは、あらかじめ買いたい商品を日ごとに予約できる制度がある。
だから、”一つの商品を巡っての殺し合い”に参加する必要はないのだ。
「……一緒に食べない?」
フエーラーが誘ってきた。
こういう時に変なプライドを持って断るのは変だ。それに、直接話したいこともある。
「あぁ、俺も買うからちょっと待ってくれ。」
俺は人気1位の”カーレィバン”を2つ買って、フエーラーと共に外の近くにあるベンチに向かった。
「このプリン……プリリンって美味しいんだよねぇ。」
「あぁ。プリリンは”極上のデザート”と言われる位だからな。」
俺はベンチに座って、フエーラーにどうしても聞きたかった事を聞こうとした。
「なぁ、お前の両親はどんな魔法を使えるんだ?」
遺伝魔法で遺伝される魔法には、とても希少な一例がある。
それは、”両親の魔法が混ざって、新たな魔法が誕生する”という例だ。
”瞬き一回で相手を切り裂く”という魔法は、どこにも情報がない。
「僕の両親は……幼い時に大火事で死んだんだ。だからあまり口に出したくないんだよね。」
「……そうか。」
生まれたときから片親だった俺にとっては、気持ちが分かりそうで分からない。
愛してくれた……のかは知らないが、そんな親が二人とも死んだとなると、心の傷は残ってるはずだ。
「そうだ。コルエス君って、なんでそんな”強さ”に拘ってるの?」
「それはだな……」
(ドカーン!!)
「……っ!?」
何だ!?購買の方から爆発音が!?
気になった俺とフエーラーは購買に戻る。
「貴様……よくも!俺のプリリンを!」
「……出遅れたお前が悪い!」
「あぁ!私のアマインジューシーがぁ!」
「ふふーん!もうわしの物じゃ!」
……醜い争いだ。”購買のあと一つ”を巡っての戦争が起こっている。
以前校長先生も言っていたが、この学園は”授業以外での生徒同士の殺害に一切の責任を負わない”。
だから授業じゃないこの争いに死傷者が出ても、学園側は何もしてくれない。
……何かしてくれると言ったら、死体処理程度だ。
「ぐあああぁ!ゴホッ……」
俺達の足元に、爆発で吹っ飛ばされた男が血を吐いて倒れた。
……一人の生徒が重症を負っても平然としてる購買のレジ係は何なんだ?
「貴様!その手に持ってるのはソースパスターだとぉ!?ならば、死ねぇ!」
一人の男が必死の形相でフエーラーに襲い掛かる。
フエーラーは……
「ちょっと持ってて。」
まだ食べていないソースパスターとプリリンを渡してきた。
……おい、まさか、フエーラー?
あの攻撃、下手したらあいつ死ぬぞ!?
フエーラーが瞬きした。
「ぶへぇあああああああああぁぁぁ!?」(キラーン★)
「……は!?」
吹っ飛ばした……だと!?
どういう事だ、斬るんじゃないのか!?
俺はてっきり、フエーラーの魔法は”瞬きからの斬撃”かと思っていたが……
訳が分からない……
「おい、フエーラー!?どうなってるんだ!?何で斬撃じゃないんだ!?しかも何だあの吹っ飛び方は!?」
「……まぁ、斬撃は普通死ぬかもだしね。あ、ありがとう持っててくれて。」
その後、フエーラーは美味しそうにソースパスターとプリリンを食べていた。
俺も隣でカーレィバンを食べたが、ますますフエーラーの事で頭がいっぱいになった。
【一般クラス】
「なぁ、聞いたか?あの1位の奴の噂。」
「あぁ、あのチオニス・フエーラーとかいう奴だろ?馬鹿つえぇらしいぜ。」
「今日の昼休みも、襲い掛かって来た奴を瞬き一つで吹っ飛ばしたらしいからな。」
「……どうにかあいつの順位を落とせないか?もしくは不意打ちでぶっ殺すか。」
「おいおい、あいつを落とすより、まずは少しでも早くスターエイトになる方が先決だろ?」
「そうだな。あいつをぶっ殺して1位になるのは、その後だ。」
一般クラスにとってスターエイトは目標であり、一部の生徒は現在所属している生徒を知ろうとする。
その中でも、やはり1位であるチオニスは注目の的である。
「なぁ、知ってるか?一般クラスに、王族の娘がいるってよ!」
「あぁ。あの可愛い子だろ?俺の彼女にしてぇー!」
「彼女とまではいかないが……あいつと仲良くなって、父親に紹介して気に入られれば、1位でなくとも好待遇を受けれるんじゃないか!?」
「あぁそれいいな!じゃあ早速話しかけようぜ!」
「待て、それはナンパだ。自然に仲良くなる計画を立てるんだ。」
ヒソヒソと話す2人の目線の先には、誰がどう見ても美人で、アイドルのような体つきの少女がいる。
3限目が終わり、その少女は帰ろうとしていた。
「仲良くなるぞ。現在10位にして王族の娘である、マンダリンちゃんと。」
どうか私に……星という恵みを……
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