維持のメリット(前編)
人物紹介
【マンダリン・クリッテ】(2)
順位変動戦を通してスターエイトに成り上がった王族の第一王女。
集団で命を狙われそうになるも、チオニスに助けられる。
彼女は助けてくれた彼をどのように感じたのだろうか。
【フレイジス・コルエス】
「……はっ!ここは……?」
俺は確か、マンダリンが襲われた時に、急にチオニスに攻撃されて……
「目覚めた?」
「チオニス……?さっきは何を……」
「えーっ……色々あって気絶させた、ごめん。」
色々って何だ?
「マンダリンは無事なのか?」
「それが……助けたんだけど、話そうとしたら顔を赤くして逃げちゃった。」
「あ、そうか。」
助けるのに、俺を気絶させる必要があったのか?
というかマンダリン……何だかチオニスとイイ感じになりそうな気がする。
「じゃあ、帰ろ。明日はアレを貰えるからね。」
「あぁ。」
~翌日~
「よーし席に着こうかー!」
ザクロ先生に声を掛けられ、俺達は席に着いた。
マンダリン以外は、スターエイトを1か月維持したメンバーだ。
順位が変わってメンバーが変わっても、大胆な席替えは先生の気まぐれでしかやらない。
マンダリンは、元々キチエエテが座っていた……俺の隣に座った。
「よろしくお願いします。」
王女様らしく、華麗に挨拶をして来る。
「△△△△~~」
先生が話をしているが……
マンダリンは先生の方を向いておらず、右前を向いている。
その視線の先にはチオニスと隣に座るスーギールがいた。
「マンダリンさん?どうして……そんなに右前を見てる……んですか?」
同年代に敬語を使うのはいつぶりだろうか。
ただ、相手は第一王女様なので敬語で接する。
「ふぇ!? あ、えー……このクラスの人がどんな人なのか気になってましたので、お気になさらず。」
最初の驚きは何だったんだろうかと思うほど、すぐに切り替えて華麗に接してくる。
「チオニスの事で気になるんですけど、あいつが貴方を助けてくれたようで。」
「あ、え、あー、その……感謝してますよ。」
「顔を赤くして逃げたそうですが……」
「そ、その話はおしまいにして、真面目に先生の話を聞きましょう!」
「あ、あぁ……そうですね。」
先生の話は続いていたが、遂に……
「じゃあクリ……何て呼べばいい?マンダリン王女?」
「皆さんと同じように、クリッテと呼んで下さい。」
「そうか。そしたらクリッテ以外は廊下に並んでくれー!」
そう。アレを貰う時が来たのだ。
「知らない場合もあるから説明するぞー!この学園でしか手に入らない”習得魔法”の事。」
習得魔法。
遺伝魔法とは違い、発動する為の魔力さえ取り込んでしまえば、誰でも使える魔法だ。
しかし、習得魔法は遺伝魔法と同じ位、強力であると同時に”危険”でもある。
誰もがこの魔法を使えるようになれば、いずれこの世界は滅んでしまうだろう。
習得魔法の魔力は世界に2校しかない”強さを極める学園”が保管していて、使えるのは学園でスターエイトを最低1か月維持した者だけと言われている。
そんな凄い力の源を、今日までよく部外者から奪われなかったな、と思う。
「この部屋だ、今開けてやるから待ってろー。」
そういって先生はパスワードを打ち込み、手をかざして認証させた。
すると扉が開き……
(テッテレーテッテレー♪)
……開き……
(テレレレー♪テレレレー♪テレレレレッレッレーレッレッレ♪)
「……は!?」
何だこの部屋は!?何だこの愉快な音楽は!?
「アレを見ろー!」
アレは……!何だ?
とてつもなく大きな台があり、中心部分には電子画面がある。
「あれは”ガチャ”というものでな。かなり前の卒業生達が作った、世界で唯一のランダムマシンだ!」
ガチャ……?
ガチャというのがどういうものか分からないが……名称に反応を見せたのはチオニスだけだった。
「まずは……これだ。」
先生は金色のコインを俺達に見せる。
コインには”10”と明記されていた。
「そしてこれだ。ここに、コインを入れる穴が二つあるだろ?どちらかに入れることでガチャの排出内容が変わるんだ。」
「……!!」
娯楽で使われるようなマシンに誰しもが困惑しながらも、チオニスだけ周りと違う表情を浮かべた。
「そもそもこのマシンから出るのが”外れチケット”か”5種類の習得魔法の魔力の素のどれか1つ”のどちらかだ。これを作った卒業生達に聞いた所、魔力の素の排出率は各2%位で、計10%らしい。」
という事は、今月のガチャで外れしか出てこなかったら、習得魔法は覚えられないって事か。
「左の穴に入れると10連続でガチャを引く。そして右の穴に入れると……1発しか引けないが魔力の素の排出率が66%に引きあがるぞ。そして……」
色々複雑だな。
「隣にチケット交換所と呼ばれるマシンがあるんだ。そこに外れチケットを100枚入れると魔力の素が確定で手に入るルーレットを遊べる。」
つまり、10か月の間1回も当てれなくても、確実に習得魔法を使える保険があるという事か。
ただ、外れチケットは左の穴での10連続ガチャでないと手に入らない。
66%という数字には目を惹かれるが、ここは順当に、10連続ガチャを引いた方が良いだろう。
「試しにフエーラー、引いてみろ。」
チオニスが最初に呼ばれる。
少し迷ったチオニスは10連続のガチャを引いた。
(俺に力を貸してくれー! はぁー!)
「……は!?」
電子画面に謎のキャラクターが映し出され、その画面の中で戦闘を始めた。
「これは”ガチャ演出”というものらしい。この演出のどこかで変化があるかもしれない。もし変化があれば、習得魔法の魔力の素が確定するらしいぞ。」
(これで決める!)
謎のキャラクターが剣に力を溜め始める。すると、その剣が白く光り始め……
(き、来たぁ!)
……たと思えば、その剣の光が虹色に変化した。
「おぉ!凄いじゃないかフエーラー!早速当たりだぞ!」
これが当たりのガチャ演出か。
虹色の光を灯した剣で、相手キャラクターをみじん切りにした所でガチャ演出が終了した。
すると画面が変わり、別の演出が映し出された。
『結果』
:外れチケット :外れチケット :外れチケット :外れチケット :外れチケット
:外れチケット :外れチケット :外れチケット :外れチケット :《滞空》
「おぉー!滞空魔法かぁ!お前のその謎めいた瞬き技と相性抜群なんじゃないか?」
滞空魔法……聞いただけでも強いと確信出来る。
俺が世界最強になるべく打ち破りたい壁が、どんどん高くなっていく気がした。
「その外れチケット9枚はしっかり持っておけよー。来月からどんどん溜めて、100枚で交換出来るからな! じゃあ次は、コルエス!やってみるか!」
次は俺の番だ。
来い、習得魔法!
どうか私に……星という恵みを……
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