旅の目的
お腹が空いたと言うティタとメルの意見を聞いたウルとメイルは、ティタのガイドブックを頼りにレストランに辿り着いた。
「このレストランのオススメは、シチューだって」
「シチューか。どうやら、今日は牛乳日和のようだな」
「頼むのはシチューで決まりなのだよ」
シチューを注文した四人。
料理が来る間、店内を眺めていたティタが、ある事に気が付いた。
「ねえ? あの子」
「メリーだって!?」
たまたま入ったレストランなのに、そこには確かにメリーが居た。丁度注文を終えたようだ。
ティタが駆け寄り、声を掛ける。ティタに誘われたのだろう。メリーが、ウル達のテーブルへとやって来た。
「誘いを断るのは失礼。アンチャとは違って、丁寧に声を掛けてくれた」
「私は只、一緒に食べようって誘っただけよ。一人より、皆で食べたほうが美味しいしね」
「それはそうなのだよ。健気な女の子が、一人で食事なんて寂しいのだよ」
「女の子?」
ウルはメリーを見る。華奢な身体だとは思っていたが、一人で行動をしていて眼帯を着けている為、女の子と理解していなかったようだ。
「ウルくん。 メリーちゃんの夢、言ったのだよ?」
「『胸を大きくする』だっけ? ……あ、そっか」
ウルとメルの会話を聞いていたメリーの耳が赤くなる。左目がみるみる潤んでいく。
その様子に気付いたメイルは、メルの口を塞いだ。ウルに対してはコツンと小突いた。
「済まない。二人共、悪気はないんだ。只あまり、物事を深く考えないところがあってだな!?」
「軽々しく言ってしまったアタチにも、非はある」
「もう。メルちゃんも女の子なら分かるよね?」
「あはは! ごめんなのだよ」
そうこうしているうちに、注文したシチューが運ばれてきた。五人は一旦会話を止め、温かいシチューを食べ始めた。
※ ※ ※
「「美味しい!!」」
女子達の歓喜の声が重なった。さっきまでの空気はどこへやら。三人仲良く感想を言い合っていた。
「メリー。盛り上がってるとこ悪いけど、やっぱり気になって仕方ないから」
「何?」
「その眼帯、どうしたって?」
「この眼帯を外したら視える。視たくないのに」
「……何がって?」
「未来、しょ。アタチの右目は、未来を予知出来るしょ。だから普段は、眼帯で塞いでいる」
「やっぱって。俺の勘に狂いなかった」
「勘?」
「俺の第六感は鋭いって評判なんだって。お前に〝何か〟を感じたもんで。その〝何か〟をどうしても知りたかったんだって」
「それがアンチャの核?」
「違う。俺の核は、変身だ」
「メリーちゃん。一人でノランに来たのは何でなの?」
「……お父に会う為しょ。お母に会わせたいから……」
「離れて暮らしているの?」
ティタの問いに、メリーは静かに頷いた。
両親が離れて暮らしているという事実を知ったメルは、自分とメリーを重ねていた。
「パパは、ノランに住んでいるのだよ?」
「分からない。お母に届いた手紙の住所を頼りに来たんだしょ」
「どうして会わせたいんだって?」
「お母の病気が酷いの。そんなに長くないみたいしょ」
「「えっ!?」」
メリーの発言に、ウル達は驚きで声を挙げた。
シチューを食べ終えたメリーは、ささっと支払いを終えて店を出た。
ウル達も、〈送迎書〉を提示して店を出た。
「待てって!」
「時間ないしょ。アンチャ達に構っている余裕ない」
「俺達も協力するって!」
「アンチャ達には無関係」
「ズコズコ色々訊いといて、あとは知らないなんて出来ないって! 俺達は、旅そのものが目的だ。だったら、人助けだって旅のうちだって!」
「滅茶苦茶。無理矢理しょ。けど……」
「けど?」
「……お願いする。一緒にお父を捜して!」
メリーの不安げな瞳に、一筋の光が射し込んだ。
ウル達の旅にまた一人、仲間が加わったのだった。




