表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/130

旅の目的

 お腹が空いたと言うティタとメルの意見を聞いたウルとメイルは、ティタのガイドブックを頼りにレストランに辿り着いた。


「このレストランのオススメは、シチューだって」


「シチューか。どうやら、今日は牛乳日和のようだな」


「頼むのはシチューで決まりなのだよ」


 シチューを注文した四人。

 料理が来る間、店内を眺めていたティタが、ある事に気が付いた。


「ねえ? あの子」


「メリーだって!?」


 たまたま入ったレストランなのに、そこには確かにメリーが居た。丁度注文を終えたようだ。

 ティタが駆け寄り、声を掛ける。ティタに誘われたのだろう。メリーが、ウル達のテーブルへとやって来た。


「誘いを断るのは失礼。アンチャとは違って、丁寧に声を掛けてくれた」


「私は只、一緒に食べようって誘っただけよ。一人より、皆で食べたほうが美味しいしね」


「それはそうなのだよ。健気な女の子が、一人で食事なんて寂しいのだよ」


「女の子?」


 ウルはメリーを見る。華奢な身体だとは思っていたが、一人で行動をしていて眼帯を着けている為、女の子と理解していなかったようだ。


「ウルくん。 メリーちゃんの夢、言ったのだよ?」


「『胸を大きくする』だっけ? ……あ、そっか」


 ウルとメルの会話を聞いていたメリーの耳が赤くなる。左目がみるみる潤んでいく。

 その様子に気付いたメイルは、メルの口を塞いだ。ウルに対してはコツンと小突いた。


「済まない。二人共、悪気はないんだ。只あまり、物事を深く考えないところがあってだな!?」


「軽々しく言ってしまったアタチにも、非はある」


「もう。メルちゃんも女の子なら分かるよね?」


「あはは! ごめんなのだよ」


そうこうしているうちに、注文したシチューが運ばれてきた。五人は一旦会話を止め、温かいシチューを食べ始めた。


※ ※ ※


「「美味しい!!」」


 女子達の歓喜の声が重なった。さっきまでの空気はどこへやら。三人仲良く感想を言い合っていた。


「メリー。盛り上がってるとこ悪いけど、やっぱり気になって仕方ないから」


「何?」


「その眼帯、どうしたって?」


「この眼帯を外したら視える。視たくないのに」


「……何がって?」


「未来、しょ。アタチの右目は、未来を予知出来るしょ。だから普段は、眼帯で塞いでいる」


「やっぱって。俺の勘に狂いなかった」


「勘?」


「俺の第六感は鋭いって評判なんだって。お前に〝何か〟を感じたもんで。その〝何か〟をどうしても知りたかったんだって」


「それがアンチャのコア?」


「違う。俺のコアは、変身だ」


「メリーちゃん。一人でノランに来たのは何でなの?」


「……おとうに会う為しょ。おかあに会わせたいから……」


「離れて暮らしているの?」


 ティタの問いに、メリーは静かに頷いた。

 両親が離れて暮らしているという事実を知ったメルは、自分とメリーを重ねていた。


「パパは、ノランに住んでいるのだよ?」


「分からない。お母に届いた手紙の住所を頼りに来たんだしょ」


「どうして会わせたいんだって?」


「お母の病気が酷いの。そんなに長くないみたいしょ」


「「えっ!?」」


 メリーの発言に、ウル達は驚きで声を挙げた。

 シチューを食べ終えたメリーは、ささっと支払いを終えて店を出た。

 ウル達も、〈送迎書〉を提示して店を出た。


「待てって!」


「時間ないしょ。アンチャ達に構っている余裕ない」


「俺達も協力するって!」


「アンチャ達には無関係」


「ズコズコ色々訊いといて、あとは知らないなんて出来ないって! 俺達は、旅そのものが目的だ。だったら、人助けだって旅のうちだって!」


「滅茶苦茶。無理矢理しょ。けど……」


「けど?」


「……お願いする。一緒にお父を捜して!」


 メリーの不安げな瞳に、一筋の光が射し込んだ。

 ウル達の旅にまた一人、仲間が加わったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ