夢と希望の牛乳
計三時間。とうとう終点であり目的地でもあるノランへと到着した。
ティタとメルを起こし、列車を降りる。
寝起きでよたつくティタとメルは、ノランに着いたことを理解するまでに時間が掛かった。
「荷物は持つから、新鮮な空気でも吸うって」
「うん。ちょっとお願い」
「ボクも深呼吸なのだよ」
ティタとメルが深呼吸をしている近くでは、メリーが地図と格闘していた。
「地図、読めないって?」
「また、アンチャか。そんなことない。アタチは地図を読める」
「ならいいけどって」
三歩程下がって様子を見る。地図を読めると言っていたが、何度も地図の向きを変えては悩んでいる様子だった。
見かねたメイルが助け船を出した。メリーの耳は赤くなっていた。
「ありがと」
「礼には及ばないぞ。困った時はお互い様だ」
トボトボと歩いていくメリー。
それを見たウルとメイルは一安心した。
「誰なのだよ? 今の」
「列車で、ウルの奴が声を掛けたんだ。ジュースではなく、牛乳を選んで飲んでいたのが不思議だったんだと」
「牛乳が好きなだけじゃない?」
「僕もそうと思っているが、ウルはどうやら引っ掛かっているらしい」
「ウルお得意の第六感?」
「まあ、そんなとこだって」
メリーを追い始めるウル。ずっと感じている〝何か〟を知りたくて追い掛けていた。
ウルの行動に呆れる三人だったが、ウルの第六感を信じて追い掛けた。
「おーいって」
「!? な、何故」
「気になったから。お前に対する〝何か〟が」
「消えて。アタチに関わらないで」
「じゃあせめて一つだけ。どうして牛乳なんだって?」
「……アタチの夢を叶えてくれる……希望。だから飲む」
「夢?」
「アンチャには関係無いしょ」
足早に去っていくメリー。その姿は、ある建物に吸い込まれていった。
ウル達も足早に追い掛けた。その建物の看板には大きく『牛乳』と書かれていた。
「本当に好きなんだなって」
「あまり飲みすぎて、お腹を壊さなければいいんだが」
数分後、店から出てきたメリーは驚いた。ウル達が、外で待っていたからだ。
「何なんだ。暇なの?」
「教えてほしくて。お前の夢」
「列車で話した程度の相手に教える程、アタチの夢は小さくない」
「ボクに教えてほしいのだよ。ボクは、メル。ねー、駄目?」
「話したら消えて。分かった?」
「分かったのだよ」
メリーの夢を耳打ちで聞いたメルは、メリーに声援を送っている。
話すだけ話し、メリーは歩き出した。
「なあ。メリーの夢って何だって?」
「『胸を大きくする』だって」
ウルの問いに、メルは普通に話してしまった。
メイルは、そんなメルに溜め息を吐いたのだった。




