夏といえば
リバルナ盗賊団とダルン族の一件が一段落したことを受けて、ウル達は海へと来ていた。
「あちィーって」
「ほら! そんなとこで休んでないでさ、一緒に海に入ろうよ!」
砂場の日陰部分で休んでいたウルを、ティタが無理矢理引っ張っていく。腕をグイグイ引っ張られるウルに、抵抗する気力はなかった。
「うーん! 冷たくて気持ちいい!」
「一度入ったら、絶対に出たくなくなるから入ってなかったのにって」
「あのまま暑いのを我慢している方が毒よ」
「そりゃまあ……」
ウルは、目の前に居るティタの水着姿にドキッとしていた。故郷から出たことがなかった為、海に来るのは初めてだった。
(ティタって、あんなに綺麗な肌だったっけ?)
「……ウルのエッチ。私のこと、ジーッと見てたでしょ?」
「み、見てないって!?」
「もう! 素直に堂々と見ればいいのに」
「何言って!?」
水を浴びるティタの姿を見たウルの顔が赤くなる。
二人の様子を見ていたメルが、赤くなっているウルをおもいっきり笑っていた。
「ウルくんってば、分かりやすいのだよ」
「だってよ……普通、恥じらいとかないのかって」
「ない訳じゃないけど。それよりも、好きな人に見てもらいたいって気持ちの方が上なのだよ」
そう言って、海に浸かっているメイルを凝視するメル。どうやら、メイルも直視出来ていないようだ。
メルのアプローチをなんとか逃れようと泳ぎまくっている。
「見せ付けてくれちゃってさあ。なんかズルいよ」
「ティタ?」
「あーあ。こういう時、こういう場所でのアプローチって効果抜群らしいよ?」
「だからなんだって?」
「……ウルの鈍感! こういう時の第六感でしょう!」
ウルに迫るティタ。そんなつもりなどなかったウルだったが、ティタの迫りを妨害する弾みで胸を触ってしまう。触られたティタは、恥ずかしさでウルから離れてしまった。
「ごめん! わざとじゃなかったって!」
「そんなに謝らなくてもいいんじゃない? 私達、恋人同士でしょう?」
「だだだけど!?」
「そんなに悪いと思っているのなら、……してよ」
「何だって?」
「……ウルから……キスしてよ」
恋人やらキスやら聞かされたウルは、堪らず海に潜ってしまった。
そんなウルの反応に、ティタは肩を落とした。
(私って、魅力ないのかも)
「……ぶはっ!」
「……ばか。ずっと潜ってなんかいられないでしょ」
「これでも、頭を冷やして考えてたんだって」
「何をよ?」
「……照れずにキスする方法って!」
ティタをグイッと抱き寄せると、静かに口を塞いだ。時間にして数秒。それがとても長く感じる二人。
「……長いよ」
「……終わりまで考えてなかったって」
お互いに見つめ合って照れている。
そんな感じのムードを壊すかのように、メルの水飛沫が二人を襲った。
「良いもの見せてもらったのだよ。でも、遊ぶほうが楽しいのだよ!」
「「ぷっ!」」
なんだか分からず笑ってしまう。何がツボに入ったのか、どうして笑ってしまうのか? そんなことは関係ないのだろう。
恋も友情も大事なのだから。まだまだ子供なウル達には、今を楽しめれば充分なのかもしれない。




