お返し
ロイズデパートは大混乱に包まれていた。
逃げ惑う人で通路は埋もれ、階段では将棋倒しが起きていた。
「じゃんじゃん持ってこーい!」
「ははは! 頂きっぺ!」
金銭、宝石類、骨董品……。高価な物を次々と盗んでいく盗賊団。陳列されていた品物が、次々と消えていく。
「食い物はどうするっぺ?」
「持っていくと荷物になる。食っていけ!」
「「ははは!」」
※ ※ ※
「大尉、速く走れって!」
「これでも飛ばしている! 無茶を言わないでくれたまえ!」
「何で四人乗りなんだって! 動きづらいじゃないかって!」
「こういう車なんだ。つべこべ言われても困る」
「……だったら、少尉に運転を変わってもらって、大尉は稲妻で突っ切れって!」
「馬鹿を言うな。リバルナ盗賊団と戦う前に疲れてしまってどうするか!?」
「じゃあ先に俺が突っ込むって。ワープしながら行けば、大尉程じゃないけど早く着く」
「子供を先に行かせる訳にはいかん! 堪えるんだ」
精一杯アクセルを踏むものの、簡単に着く距離ではなかった。ロイズ司令部からでも車で二十分。その時間が歯痒かった。
※ ※ ※
「すまん、メル。僕は先に行く。君はこのまま向かうんだ」
「メイル!?」
ライドが運転する車を追う車に乗っていたメイルだったが、この状況に堪えかねて、ワープで先へと進んでしまった。
※ ※ ※
「そろそろ引き際だ! オイラ達の恐ろしさ、ロイズの連中にも分からせてやった。充分だ!」
「「ははは!」」
「……待て! ……」
異次元の穴を通り抜け、颯爽とメイルが到着した。
メイルの姿を見たリバルナ盗賊団は、クスクスと笑っていた。
「一応訊くが……何の用だ? ガキ」
「いつかの、お返しに来たのさ」
「あんだけ痛い目に遇ったのにっぺ?」
「だからだよ。あのまま負けたんじゃ、僕の面目、丸潰れだから」
「ガキが調子に乗りやがって。いいぜ? また思い知らせてやりゃあいい。オイラ達の恐ろしさをな!」
「「ははは!」」
数十人の盗賊が、一斉にメイルに掛かってきた。
瞳術を発動したメイルは、穴を使った戦法で翻弄していく。異次元の穴に吸い込まれた盗賊が次々と倒れていく。
「核師でも苦しいと評判の空間だ。生きて出てきただけでも、大したものだぞ」
「核師だったのか!」
「あの時は、上手く使えていなかったからな。一方的に殴られてばっかだったが……」
「調子に乗るなよ!」
「……今度は、僕の番だ!」
リバルナ盗賊団の頭の剣捌きを避けていくメイル。背中に差した剣を引き抜くと、頭の剣を跳ね飛ばした。
「ちぃ!?」
「お前達に遣られなければ、僕は剣を獲ることはなかっただろう。そういう意味では感謝だぞ」
「オイラ達、リバルナ盗賊団を敵にしたことを後悔するぞ! ははは!」
「この状況で何がおかしいんだ? 頭の負けで全て終わりの筈だぞ」
「それは……どうかな?」
※ ※ ※
「……ど、どういう事だね!?」
車のタイヤを撃たれ、停車したライド達の前に現れたのは、紫の瞳を宿した先住民、ダルン族だった。




