大将会議
翌朝、にょんちゃんはライドの部屋に来ていた。
ウル達も一緒だ。昨日の一件もあり、司令部を心配するにょんちゃんだが、会議に向かわなければならない為、司令部を頼みに来ていたのだ。
「君が留守の間、この司令部を護ってみせよう。心配は要らんよ」
「助かるにょんよ。そう簡単に崩されるような司令部じゃないにょんが、昨日の一件に、大将会議の情報漏洩の事もあるから」
「やはり、私の部下への疑いは晴れんかね?」
「すまないにょん」
「疑いは晴らせばいいだけだ。私は、部下の無実を晴らすべく動く。構わんだろう?」
「それは構わないにょん。無実なら、それに越したことはないにょん」
「にょんちゃん大将。そろそろ時間だって」
「そうにょんね。それじゃあ行ってくるにょん」
こうしてにょんちゃんは、研究所へと向かった。
〈研究所の悲劇〉の、カムール研究所へ。
※ ※ ※
薄暗い建物の中は、蜘蛛の巣や埃で年月を感じさせる。にょんちゃんは、注意深く歩いていく。どんどん突き進んでいくと、異臭漂う空間に辿り着く。仮面をしているにょんちゃんでも、その異臭を敏感に感じてしまう。
「誰だ」
「その声は……はっちん?」
「その呼び方は……九か?」
「にょんちゃん、だにょん」
「相変わらずの頑固さだ。流石は救世主」
「ヨイショは、やめるにょん。にょんちゃんは別に、救世主なんかじゃないにょん」
「そう固辞すんな。おれ達が無事なのは、紛れもなくおめえの功績なんだからよ」
「太鼓持ちは疲れるにょんよ? で、他は?」
「隣で待ってる」
にょんちゃんとはっちんは、隣の部屋に移動する。
円卓を囲む軍服の面々。部屋は明るく照らされているが、軍服の威圧感が部屋を圧迫している。
「皆お揃いにょん」
「違うっしょ。一が居ない」
「一、にょんか。あの日以来、一の顔を見てないにょん」
「軍人なのは間違いないっしょ? 知らせが届いてないっしょか?」
「ろっくん、それはないにょん。一の居る司令部には必ず、知らせがいってるにょん」
「一は、どこの司令部だったっしょ?」
「ロイズ司令部にょん。……そういえば……」
「どうしたんだ? 九」
「今、にょんちゃんの司令部に、ロイズからの流れ者がいるにょんが、その人が言ってたんだにょん」
にょんちゃんは、ライドから聞かされた事を話した。それを聞かされた一同は騒然とする。
「一に知らせが届く前に、何者かが情報を盗み見ていたって言うことか」
「そうにょん。彼には悪いにょんが、彼の部下が怪しいにょん」
「おれ達とは無関係な人間が来るのか。おれ達を探ろうという訳か」
「面倒事は御免っしょ。はっちん、九。あとは頼んだっしょ」
「六。おれ達に何でも押し付けるんじゃない」
「来るなり殺せば? 厄介者だったら」
「四!?」
「アタイ達の事を探っていたなら、それも已む無し。今の軍にとってアタイ達は、極秘な存在なんだし」
「殺生は好まないにょん」
「甘いよ、九。だから殺し損ねたんだし……博士を」
「博士は死んだにょん」
「分かってるし」
「やめないか! わざわざ昔を蒸し返すこともない」
「はっちんは真面目だし。大将は違うねえ」
「皆、大将だろう。もっとしっかりしたらどうだ? 部下に示しがつかないだろう」
「アタイを慕う部下なんか居ないし」
研究所で行われる会議。そんな会議を阻むかのように、足音が一歩一歩、会議部屋へと近付いてくる。
「誰か来るにょん!」
「来るのか」
「どんな奴っしょ」
「面倒なら殺すだけだし」
扉がゆっくりと開く。軍服を纏った女性が姿を現した。警戒する一同に対し、女性は問う。
「ロイズ司令部、キリナ少尉です。皆さん、お話があります」
「少尉? これは意外にょん」
にょんちゃんはキリナを招き入れた。
キリナは咳払いをし、話始めた。




