カムール司令部の危機
「オイ、ウル。僕達にも分かるように説明を!」
「んな余裕ないって! クッソ……どこだって!」
「にょんちゃんも感じるにょん。殺気を」
「にょんちゃん大将は、物分かりがよくて助かるって」
「「ぎゃああ!!」」
司令部の中から悲鳴が聞こえた。ウル達はその場所に向かった。そこは会議室の一つで、先程まで使われていたのだろう、書類が散乱しており、軍人達が椅子から転げていた。
「何があったって!?」
「と、突然、突き飛ばされて」
「顔は?」
「姿が見えなかったんだ」
「見えなかったって!?」
「姿が見えない……核師かもにょん。自分の姿を消せる核師にょん」
「そんなヤツがいるのか!?」
「核には色んな可能性があるにょん。変身、生成、瞳術だけじゃないにょん」
「透明になるということか!?」
「ウル、メイル。二人の瞳術では見れないの?」
「俺のはあくまで、ギルからの授かり物だ。本来の持ち主と同等かそれ以上のことは出来ない」
「僕でも無理だ。そんな都合よくはいかん」
「そうにょんね。見えないものを見れるってことになると、透視も出来るかもにょん。好奇心旺盛の男の子が、そんな瞳を持ったら最後、女の子を見放題だにょんよ?」
「メイルが、ボクの身体を隅々までとか?」
「そうにょん」
「おう! それはそれで……」
「バカなことを言ってないで、周りを警戒するんだ!」
「そんなにボクの身体を見れないのが悔しい?」
「そうじゃない!」
にょんちゃんとメルにペースを狂わされるメイル。
対してウルは、落ち着いて周囲を警戒している。司令部内で悲鳴が聞こえてきても、慌てず冷静に観察していた。
「にょんちゃん大将、シャワー室は?」
「一番奥にょんよ」
「今は誰か居る?」
「いつでも使えるにょんから、誰かしら居るかもにょん」
「皆、シャワー室だ! 何だかそんな気がするって!」
ウル達は急いで、シャワー室へと向かった。男性側に入ったウルとメイル、女性側に入ったティタとメル。それぞれ使っている人は居なかったが、何故かシャワーからお湯が出ていた。
「どうなってんだって!?」
「とりあえず、シャワーを止めるぞ。使ってないのに流しておくのは勿体ない」
「そうだな」
シャワーを止めた二人。浴槽を見たが異変はなく、諦めてシャワー室から出ようとした二人。
「「キャーッ!!」」
「今の声!?」
「メルとティタの声だぞ!」
二人は隣のシャワー室へと向かっていくが、にょんちゃんに阻止されてしまった。女湯に入っていくのはマズイとのこと。にょんちゃんは、軍の人を呼び止めて代わりに入ってもらった。
「にょんちゃん大将も行ってくれって!」
「にょんちゃんは、にょんちゃんだにょん。男湯にも女湯にも入らないにょん」
※ ※ ※
「このー!」
見えない相手に四苦八苦するティタとメル。加勢に来た軍人も、どこに攻撃すればいいのか分からないでいた。
「わあ!?」
軍人の身体に感じる感触。それは正しく人の感触だった。涙目になる軍人。振り払おうとするが、相手の力が遥かに勝っていた。
「軍人さん!」
「貴女達は、外の大将を呼んで! こっちは堪えられますから!?」
「軍人さん!?」
「うっ……うう~……」
一気に体勢を崩された軍人は、軍服をズルズルと脱がされていく。ティタはシャワーをおもいっきり向けた。軍人も巻き沿いを食らったが、裸を見られるよりはマシだろうという判断だ。
「そこよ!」
シャワーのノズルでおもいっきり殴ったティタ。
激しい物音を立て、見えない犯人は倒れこむ。能力が解けたのか、犯人の姿が露になる。
「「キャアアアー!!」」
堪らず手で顔を覆うティタとメル。それもその筈、犯人の正体は、裸の男だったのだ。
軍人の女性の身なりを整え、ウル達を呼びに行った二人は堪らず、ウルとメイルに泣き付いたのだった。




