気配
「そんじゃあにょん。にょんちゃんも忙しいにょん」
「貴重な話をありがとう。明日の会議、どうするつもりかね?」
「さあにょんね。研究所に集まる大将達は、あの実験を指示した人間、つまり、元帥を恨んでいるにょん」
「……では何故……軍へ?」
「里親への恩返しのひとつだにょん。研究所の子供達のその後を知っているのは、里親と元帥だけだにょん。その子供達が軍に入ったとすれば、元帥は見逃すわけにはいかないにょん。口封じも兼ねて〝大将〟の地位を無条件に与えてきたにょん」
「周囲は穏やかではないね」
「同じ大将は勿論、少将や中将からも冷たい目をされているにょんね」
「ロイズの大将も研究所の?」
「ロイズ? 違うにょん。ロイズに研究所出の人間は居ないにょん」
「なんだって!?」
「どうしてにょん?」
にょんちゃんに、アルンからの情報を話した。
話を聞いたにょんちゃんは、仮面の前に人差し指を翳して唸る。表情は分からないが、困っているのは明白だった。
「きな臭いかね?」
「うん。何で関係のない人間が会議の事を知っているのかにょん……」
「さあ、それは分かりません。あの大将には私も苦手意識がありまして」
「……そっちじゃないにょん。どうしてライドクンの部下は、その情報を知っているのかにょん」
「何を言いたいのかね」
「研究所の出身者達が情報を洩らすとは思えないにょん。どこから情報を?」
「私の部下を疑っているのかね!」
「正直にょん。なんだか疑わしいにょん」
「……」
「気分を悪くしたのならごめんにょん。けどやはり……」
「片隅に置いとこう。しかし私は、部下を疑いたくはないです」
「それはにょんちゃんも同じにょん」
敬礼をして去っていくにょんちゃん。
ライドの心境は更に複雑になった。
(部下に……まさか)
※ ※ ※
「お? 仮面の!」
「やあ」
「大尉とは会えたって?」
「会えたにょん。お話も出来たにょんよ」
「そりゃあよかったって!」
ウルは安心して歩き出す。しかし、ウルの足は直ぐに止まった。ティタはウルの変化に気付く。
「ウル?」
「殺気だ……とんでもない殺気。俺の第六感だって」
ウルの眉間に皺が出来る。拳を握り、脇を締め、体勢を低くする。戦闘態勢に入った合図だった。
「にょんにょんにょん」
仮面の下の目付きが鋭くなる。
にょんちゃんも、構えを取って呼吸を整えていた。




